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We hope your Halloween is a ”Treat”!
We hope your Halloween is a ”Treat”!【34】
しおりを挟む「まぁ、何年もこんな生活を続けていれば、多少はな」
「いつも空けてくれてるんだよねぇ、パックは。みんなが気まぐれに買って来たものが入るスペース。ねぇ、スー」
「そうだな、チル。僕たちがまるきり同じものをふたつ買ってしまったとしても無理なく置けるのは、本当に有難いことだ。感謝する、パック」
顔を見合わせたあと、パックを見上げる双子ちゃんのかわいさよ。
「ぐう聖……!」
「救世?」
ヴィニーが首を傾げる。
ぐう聖が通じないにしても、咄嗟にそんな単語出て来る? さてはキャストリア推しか?
「大体合ってる奇跡。にしても、シンクロ率たけーな、オイ」
食べたいものがしょっちゅう被るのもかわいいけど、自分の分だけじゃなくて必ずふたつ買ってるっぽいのはもっとかわいい。
この双子、保護指定。ソシャゲならレア度関係なく引いたら即ロックかけてた。
「いえいえ。むしろ私たちまでご相伴に与ってしまって……。おふたりがそれぞれふたつずつ食べるのだって、選択肢としてはアリでしょう?」
「そうそう! なのに、俺たちにまでご馳走してくれて優しいよね~。実質スイーツ係みたいな感じだよ。チルちゃんとスーちゃんは」
とパックとヴィニーが証言した。人間同士の会話よりよっぽど思いやりに溢れてる……。
会話だけじゃないな、行動もだな。冷蔵庫のプリン奪い合うような人たちは見習ったほうがいいよ。ガチで。
「うふふ。これからも期待しててねぇ」
「ああ。話を戻すが、冷蔵や冷凍の必要な物はいいんだが、常温での保存が可能な物となると、途端に感覚が狂うようでな……」
「うん、野菜とかね……」
スーとヴィニーが遠い目になっちゃった。
そういうことなら、常温保存できる食品の在庫管理はふたりがやったらいいんじゃないかと思うけど、部外者の私が口出しするのもな。
パックの感覚がどの程度狂うのかもわからないし。……いや、確か……。
「……ああ。そういえば、ストッカー一段占領してたもんね。さつまいも……」
スイーツ作ったのなんてせいぜい数時間前なんだろうけど、その数時間に色んな事情知りすぎたせいで遠い昔だったような気がする。
「ん? ああ、そうか。カリンは実際に見て知っているんだったな」
「うん。キッチン入らせてもらったからね」
ストッカーには、当然だけどさつまいもの他にも常温保存可能な野菜がどっさり入っていた気がする。
一番下の段には、かぼちゃがゴロゴロしてたような……。それもあって、スイートポテトとパンプキンプリンって組み合わせにしたのかな。
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