“Boo”t!full Nightmare

We hope your Halloween is a ”Treat”!

We hope your Halloween is a ”Treat”!【26】

「…………こんなときでも、自分よりも他人の心配か」

　スーがぼそっと呟いたのが聞こえてきたけど、わりとずっと自分の心配ばっかしてたよ！？

「もちろん、みなさんご無事です。本来なら、カリンにもその方々と一緒に避難して…………というのは表現が正しくありませんね。こんな大規模な計画が実行されていることも知らずに、通年通り正規のボランティアを続けられていたはずですよ」

「まぁ、それでも『一時的に冥界に転移させられる』のは避けられなかったと思うけどね～」

　ヴィニーは濁してるけど、『他の人たちの退避場所も冥界』ってことがたったいま確定した。

　場所の入れ替えなんて概念が出てきたときから覚悟はしてたし、実行者のハデス神的にもいちばん手間がかからない方法がそれだったんだろう。

「あー……。やっぱりそうなるか。目的は『ポイ捨てした奴をそいつの捨てたゴミと立場を入れ替えて、そいつが失意のうちに処分する』ことだから、結構場所取るだろうし、作業スペース必要だよね。私以外のボランティアの人は、いつの間にか冥界に移動させられてることにも気付かないで、いつもどおりのゴミ拾いを続けてたってことか……」

　コンセプトストーリーとして聞かされてたときにはぼかされてたけど、みんなが企てた復讐ってそれで合ってるよね。

「ああ、そういうことになる。冥界の時間の流れは人間界よりも……確か六倍程度早かったと思うが、ボランティアの人たちのいる区域には、しっかりプロテクトがかけられている。だから、カリンが恐れているような事態にはならないはずだ」

「スーのこと信じてないわけじゃないけど、六倍って相当だよ！？　その区域の中だけとはいえ、元の時間の流れを保ってるってかなり力技じゃない！？」
　
「うふふ。きっと、もっとはっきり言ったほうが安心できるよねぇ。そ・こ・か・ら・出・な・い・限・り・は・ち・ゃ・ん・と・戻・っ・て・こ・ら・れ・る・し、戻・っ・た・と・き・に・一・気・に・老・け・込・む・み・た・い・な・こ・と・も・な・い・よぉ」

「そのプロテクトには、『そこから出たくないと思わせる作用』か『出てもいい状態になるまで絶対に出られない機能』みたいなものも含まれてると思っていいんだよね？」

「当然です。善良で模範的な方々のことは、私たちも総力を上げてお守りして差し上げなければなりませんから」
　
　パックは恭しく一礼してみせた。