“Boo”t!full Nightmare

We hope your Halloween is a ”Treat”!

We hope your Halloween is a ”Treat”!【24】

「カリンちゃん、戻ってきて！　想像の方向は正しいから！　さっき言ってたことをベースに、もう一回考えられる？　『四十五リットル入るゴミ袋がいっぱいになるくらい大量のゴミを捨てた人』がどうなりそうか……って話♪」

　けど、ヴィニーが声を掛けてくれたおかげで、現実に復帰できた。

「ゴミは大量で種類もバラバラ……だけど、人間はたった一人。……ってことは、もしかしてキメラっぽくなる！？」

　私の脳内に浮かんできたイメージは大量の虫の詰まった麻袋ウギー・ブギーだった。
　
　個人的な不快感としてはブギーのほうが上だけどね。
　
「ええ。ご推察のとおりです。カリンがどんな怪物を思い浮かべたかはわかりませんが、醜く、見るに堪えない彼らの内面を反映したかのような外見だったのではないでしょうか？」

　これまでも何回か感じてたことだけど、パックは本当にポイ捨てした人間のことが許せないというか、この中でいちばん強い怨念が具現化した存在なんだと思う。

　だって、恨まれるようなことを一度もしてない私でも、さっきから背筋が寒くてしょうがない。

　伝わるかわかんないけど、パックが一言発するたびに、氷でできた剣で全身撫でられてるみたいな感じ。
　
「まぁ……人間時代より邪悪さが可視化されていいんじゃない？　画期的だね。エグいけど。どこまで逃げても無駄とか……逃げなきゃならないようなことするほうが悪いけどさ」

「もちろん冥界の一区画内でしか発動しないけどね！　ハーさんは『理論上は可能』って言ってたけど、必要ないからアップデートは保留中なんだって」

「…………え？　そんな狭い範囲だと逃げられちゃわない？　奴ら、名前を言ってはいけないあの不快害虫並みにどこにでも湧くし、無駄にすばしっこいよ？　なんで見送ってるの？　早急に実装したほうがいいアプデ堂々の第一位だと思うんだけど！？」　

「ポイ捨てをなさった方々は、ポイ捨てをしたその瞬間に『あの区域をここから一歩も出たくない』状態になる仕組みなので、今・年・も・一・人・残・ら・ず・無・事・に・人・間・と・し・て・の・生・を・ご・卒・業・で・き・た・と思いますよ。めでたしめでたし、ですね」
　
「な……なんか深く聞かないほうがよさげなところはスルーするけど。ゴミが急に減ってた理由のひとつは、人とゴミが入れ替わってたせいってことね。人とゴミの数そのふたつだったら、圧倒的にゴミのが多いか。イベント後のボランティアなんて、イベント参加者に比べたらしょぼいもんだし……。まぁ納得できる説明ではあったかな」

　情報量が多すぎてこのままだとパンクしそうだったから、セルフ今北産業で事無きを得た。