“Boo”t!full Nightmare

片喰 一歌

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We hope your Halloween is a ”Treat”!

We hope your Halloween is a ”Treat”!【20】

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「ああ、すまない。カリン。回答がまだだったな? 『明確な入り口はどこだったのか』という話であれば、あの一帯はイベント開始時からボランティアが終わるまで歩行者天国になるだろう?」

「うん。車側からしたらいい迷惑だよね」

「そのへんはともかく、『冥界の一区画それ自体の規模は、ホコテンになってたエリア』ってことになるね」

「なるほど、想像よりは狭かった! ちゃんと一区画って言えるくらいには収まってるんだ」

 親切なスーとヴィニーのおかげで、疑問があっという間に解決していく。
 
「広い狭いで考えたことなかったけど、言われてみると確かに狭いね~。……で、あとは『入り口はどこか』って話だったっけ? これもカリンちゃんが来た方向から推測したら、大体の場所は絞り込めるんじゃないかと思うんだけど、どうかな?」 

「えーっと、私は駅のロッカーに荷物預けてから来たから……あ~。もうあのあたりから冥界突入しちゃってたんだ。なんにも違和感なかったけど」

「そうなんだぁ。店長は『空気の質が最後まで再現出来なかったみたいなこと』言ってたけどねぇ。イベントのお祭り騒ぎっぽい雰囲気がいい感じにカモフラージュになってたのかも?」

 空気の質ってあれかな。iPhoneで確認できる大気質だかって項目?

 ……って、空気もそっち産なの? 冥界って空気あるんだ。生きてる人いないのに。
 
 地面をこう、ぺいっとやって、ひょーい! って感じのやっつけ工事を想像してたんだけど、どうもそうじゃないっぽいな。

 面じゃなくて、空間ごと入れ替わってるのか。

「え!? じゃあ、いま吸ってるのも冥界の空気なんだ……。ちょっと考えれば当たり前かもだけど、そんなに違うなんてわかんなかったな。においとかもいつもと同じだし、大気中の成分なんて元々見えないし、現地の人間目線だと再現度高いと思うんだけど」

 『外国の人が日本に来ると空気をお醬油臭く感じる』とかって言うけど、そういうのも全然ない。

「そうか。貴重な意見だな。伝えておく」

「………………」

 スーがなんか言ってるけど、唐突な閃きが降りてきたせいで聞こえない。
 
「カリン?」
 
「……これさ、『冥界エアー』って商品名つけて売れないかな? 缶とかに詰めて」

「なに考えてるのかと思ったら、思ったよりとんでもないこと考えてるね!?」 
  
「こらこら、そんなところに商機を見出さないでください。カリン。寿命が縮むかもしれない空気なんて…………意外と需要がありそうなわりに倫理に悖りますから。貴女だって、お縄なんて御免でしょう?」

 ヴィニーとパックのおかげでハッと我に返った。

 危ない。気が冥界ナイズドされてた……!

 まさか精神感応系の空気だった……!? わけないね。私の様子は元からおかしかった。
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