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We hope your Halloween is a ”Treat”!
We hope your Halloween is a ”Treat”!【10】
しおりを挟む「ほとんど同じだし、めっちゃ似てるけど……私が思ってた場所じゃないと思うんだよね。そうなんでしょ?」
みんなは観念したように目を伏せるけど、誰ひとりとして口を開こうとしない。
なんでもいいから答えてくれないかな?
「……私、ちゃんと家に帰してもらえる?」
業を煮やして、いちばん聞きたかったことを聞いてみたのは、ちゃんと帰れるんだったら、いまいる場所がどこだって構わないと思ったからだ。
ここが異世界だってわかる前は嫌いで仕方なかったし、飛び出したくてたまらなかった元の世界だけど、全然片付いてない汚タ部屋はもちろん、海の近くにあるのだけが取り柄のクソ田舎でさえ恋しくなってきちゃってさ。
ほんと勝手すぎて笑えるし、もし戻れたとしても民度の低さに悪態つきまくるんだろうけど。
「大丈夫。お家には帰れるよぉ」
祈るような気持ちで答えを待っていると、ふわふわした声が聞こえてきた。
「! ありがと、チル。それだけ聞けたら、とりあえずは安心かな……」
脱力して思いっきり背凭れに倒れ込んだけど、逆に言えば『みんなとはもう二度と会えないかもしれない』ってこと?
……え、普通に嫌だが?
夏に花火見に来る約束だってしてるし、ゴミ拾いでだってまた会えるかもって楽しみにしてたし、次の週末にはみんなの働いてるお店に凸してお金落とす気満々だったのに!?
「心細かったんだな。すまない」
とスー。
「散々、隠し事をしておいて信じてもらおうとするなんて、虫が良すぎると思われるでしょうけど……私たちは、貴女を無事に家に帰すために、このパーティーにご招待したんです」
声に出さずにぐるぐる考えてたら、パックがまたなんか意味深なこと言ってきた。
『私たちが守護らねばならぬ』ってか。ますますわからん。
「…………わかった。それは信じる。みんなが悪い人じゃないのはわかるし」
パックはとんでもないボケをかますけど、大事な場面でふざけるタイプじゃないってことも。
「……ありがとう、カリンちゃん」
ヴィニーが少し寂しそうなのが引っ掛かって、たったいま言ったことを反芻したら、すぐに失言に気が付いた。
「あ、ごめん。いまの別にダブルミーニングのつもりなくて。私が怖いとか悪いとか思うのって、やっぱりどっかに良心落としちゃってるような奴らだし。さっきの怪談は怖かったけど、みんなのこと怖がってるわけじゃないよ」
自分でも不思議なんだけど、いまはみんなのこと全然怖くないだけじゃなくて、怯えながら接してたこともめちゃくちゃ後悔してる。
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