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We hope your Halloween is a ”Treat”!
We hope your Halloween is a ”Treat”!【9】
しおりを挟む「大きい……ってどのくらい?」
「あっちに見えてたやつより高いよ」
「観光名所だというのなら、夜にはきっとライトアップもされるんですよね」
「されるされる。めっちゃ綺麗だよ」
「色合いや特徴などは?」
「え、どんなんだったっけ。何種類かあった気するけど……詳しくは……。あ、でも、一個は紫系だったかな?」
ヴィニーとパックに質問されて、思ってたより無知な自分に初めて気付く。
毎日のように目にして、見知ったつもりになってただけで、私は自分の生活圏にあるもののことさえろくに知らなかったみたいだ。
さっきの銘菓の話じゃないけど、まさに灯台下暗しだね。
「高さがかなりあって……」
「紫系にライトアップされて……?」
「オブジェの近くにあるはずのタワー、か」
「…………」
みんなは追加された情報も込みでもう一回考えてくれてたみたいだけど、全員が口々に『ない』と答えるまでに数秒しかかからなかった。
「じゃあ、建設予定……。あ、逆? 取り壊された、とかは?」
「どっちも聞いたことないねぇ」
というチルの言葉に三人も頷いた。
最後の希望も潰えて、いよいよ私のいる場所が異世界だということが確定したらしい。
対ありでした。
これからはもう、この元の世界と微妙に違う世界で生きていかなきゃいけないのかな。
……でも、なんか引っかかるっていうか、諦めるのは早い気がするっていうか。
みんな、隠してることあるよね?
こっちの質問に答えるばっかりで、有益な情報どころかひとつも追加情報が出てこないとか怪しすぎ。
たぶん、異世界人の私の心労を思いやったうえでそうしてくれてるんだろうけど。
フッ、残念だったな……。
知らないがゆえの恐怖と知ってしまったがゆえの恐怖。
残念だけど、私は前者のほうがよっぽど怖いと思うタイプなんだよ。
「じゃあさ、私にも説明してくれる?」
「……説明、というのは?」
努めて冷静に切り返すパック。
手強いけど、それでこそ超相方(読み:ベストパートナー)だぜ……!
アスタ・ラ・ビスタ、ベイビー……。(親指を立てて溶鉱炉に沈んでいく音)
先月の単独ライブの盛り上がりを思い出すね。(※存在しない思い出)
……なんか私、東堂葵化が進行してないか?
本物の東堂葵は異世界に飛ばされても冷静に状況分析してたけど。(※グラブルコラボ参照)
まぁそんな現実逃避はここまでにしとこう。
「聞きたいことがあるのは私も、ってこと。たぶんみんな、なにか知ってるでしょ。私が知っててみんなが知らないことがあるんだから、みんなが知ってて私が知らないことだってあるはずだもん。もっとズバッと聞いたほうがいい? ……ここって一体、どこなわけ?」
今度はこっちが聞き役に回る番だって意気込んだのはいいけど、同じソファに座ってるヴィニーには足ガクガクしてるの完全にバレてて恥ずかしいな。
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