“Boo”t!full Nightmare

片喰 一歌

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We hope your Halloween is a ”Treat”!

We hope your Halloween is a ”Treat”!【2】

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「ん? 俺も聞こえなかったな~。ふたりでなに話してたの?」

 ヴィニーも加勢してくれた。
 
「それよりもこれ、ぼくが作ったんだよぉ」

 けど、チルがそんな事を言い出して、結局パックがなにを言ったのか聞き出せなかった。

 ぶっちゃけそこまで知りたかったわけでもないし、もういいか。

「え、そうなんだ。すごいじゃん」

「うふふふ。良かったら食べてみてほしいなぁ」

 チルはご丁寧にスーの手品に使われたクッキーをお皿に並べて渡してくれる。

 横並びにしてあるから、ゴーストや黒猫が手を繋いでるみたいに見える。めっちゃかわいい。この時点でボーテ百点!

「ありがと。じゃ、早速食べてみるね」

 ……にしても、いつの間に取ったんだろう。双子どっちも手先器用かよ。

「召し上がれ~」

 と言いつつ、チルはさりげなくお皿もう一枚クッキーを追加した。

 え!! 何枚もおなじクッキーを!? 食えらあっ!
 
「……うん、美味しい。すごいねチル。レジ横に置いてあったら毎回買っちゃいそう。いや買うね。絶対買う!」

 まずそうとか思ってたわけじゃないけど、期待以上の味。

 食べる前はかわいくて食べちゃうのもったいないと思ってたけど、この味知ったらそんな事言ってられないなって思うくらい。

「ほんと? 嬉しいなぁ」

 ふわふわにこにこのチルを見つめながら考える。
 
 普通に中身見せて売るのもいいけど、野菜とかでありがちな生産者の顔がデカデカ載っかってるパッケージみたいにしても案外売れそう。
 
 なんてったってこの子も顔が良いからね。
 
「…………あ、そうだ! ここから見る夜景、すごく綺麗なんだよね~。カリンちゃんはそういうの好き?」
 
 ヴィニーがいつもの調子で話しかけてきた。

 せっかく励ましてくれてるのに気落ちしたままに見えたのかもしれない。
 
 ごめん、チルの手作りお菓子のパッケージを真剣に考えてただけなんです。
 
「夜景? 夜景なら、マリンタワーがいいかな?」

 少し驚いたのと申し訳なさとで、咄嗟に好きな夜景スポットを答えてしまった。カリン、一生の不覚。

 一緒に行きたいとか思ってないし全然別に。

 しかも、なんで『おそうざいなら、キンピラがいいかな?』風に言った?

「残念ながらこの通り縁はないけどね」

 夜景見るのは好きだけど、わざわざ人と一緒に観たいかって聞かれると微妙だからいいけどさ。

 ちっちゃな頃からモテなくて、十五で非リアと呼ばれたよ♪
 
 悲しすぎる替え歌をやめろ。ギザギザハートの子守唄っていうかもはや鎮魂歌だよそれ。
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