77 / 119
Happyyy Halloweeeen!
Happyyy Halloweeeen!【20】
しおりを挟む「『……私も残念ですが、この先は自分で考える事にしましょう。長い長い一生の、退屈しのぎには丁度良い。最後まで聞いてくださったみなさんも、ここで過ごす素敵な時間の中で、自由に想像の翼を羽ばたかせてみてください。あなたを囲む美しい顔のキャストたちは、一体なにを企んでいるのでしょうか……?』」
少しためを作って語ったヴィニーがにっこりと唇を結ぶ。物語はそこまでらしい。
最初からそうしようと決めていたわけではないが、話を聞き終えた私の手は勝手に動いて彼らに賞賛の拍手を惜しみなく送っていた。
きっと普段もこんな感じでお客さんを楽しませてるんだろうなと思ったら、ますます足を運んでみたくなった。一風変わったそのコンカフェに。
「……いまのめっちゃ童話っぽいナレーションはなんだったの? ナレーションかどうかもわかんないけど」
「お店のコンセプト……というかストーリー、かな? それぞれの席に絵本も置かれてるんだよね~」
視線を合わせたままのヴィニーが答えてくれた。
とんでもない凝り方じゃん。プロが監修してたりするのかな。読書と無縁な私でも知ってるくらい有名な作家やライターの人が書いててもおかしくない。
まぁどんな世界にもプロ顔負けのアマなんていっぱいいるし。作品の評価なんて好みに左右されがちだし。オタク語に翻訳するとたまたま私に『刺さった』だけなんだろうけど、終わってみるとなかなか楽しい話だった。
でも、何度考えても絵本まで作っちゃうなんて相当な作り込みだよね? ある意味変態的というか……いや、この表現が適切かどうかはわかんないけど。
「その絵本にも続きは書かれてないの?」
何はなくとも続きが知りたい一心で尋ねる。わざと結末を伏せるなんてステマの常套手段だし。
連ドラでされると萎えるやつ。放送分の最終回まで見ても消化不良で、スピンオフと題して続き……ってか実質的な最終回を動画配信サイトで独占配信! 観たければ契約してね! って誘導してくる手口。お腹いっぱいですわ。
……でも、みんながそんな事をするとは考えにくい。人間性への信頼もあるけど、ここには私しかいないから、どんなに興味をそそっても新規で獲得できる客は一人。効率が悪すぎる。
『あ、みんなは人間じゃないんだったっけ』とパックやヴィニーのゴーストジョークを思い出してにやけそうになる。
「残念だけど、ないんだよねぇ」
チルが即答した。被せ気味だったのに、ゆったり間延びした口調は相変わらず。
「ああ。『実際にキャストたちと交流して、物語の続きを想像してほしいから』だったか」
スーの補足も完璧に要点を押さえてる。
そういう理由なら仕方ないか。キャストはさっきの話に出てきた魔物たちって設定なんだもんね。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

私と継母の極めて平凡な日常
当麻月菜
ライト文芸
ある日突然、父が再婚した。そして再婚後、たった三ヶ月で失踪した。
残されたのは私、橋坂由依(高校二年生)と、継母の琴子さん(32歳のキャリアウーマン)の二人。
「ああ、この人も出て行くんだろうな。私にどれだけ自分が不幸かをぶちまけて」
そう思って覚悟もしたけれど、彼女は出て行かなかった。
そうして始まった継母と私の二人だけの日々は、とても淡々としていながら酷く穏やかで、極めて平凡なものでした。
※他のサイトにも重複投稿しています。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる