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Happyyy Halloweeeen!
Happyyy Halloweeeen!【9】
しおりを挟む「まぁ極端に悪いわけではない、はず……」
とはいえ、急な話題転換にも慣れてきたし、特にツッコミを入れる事もなく尋ねられるままに答える。
「そうなんだねぇ。じゃあ、小さい頃から使ってて、いまも大事にしてる物とかある?」
「なんかあったかな。……あ、あれってどうなんだろ」
「あれって?」
「私、某夢の国が好きなんだけどさ、昔のチケットホルダーまだ捨てないで取ってあるんだよね。使い勝手も別に良くないし、肝心のチケット入れる部分が結構ちゃちいんだけど、上に付いてるキャラが可愛くて」
表情筋がいまだかつてないほどふにゃふにゃだ。ふにゃふにゃミルキーもかくやって感じ。
「なんかの拍子に壊れそうだし、紙のチケットも廃止されちゃったから、本当に取っておいてあるだけなんだけど」
廃止されるずっと前から使ってはなかったけど。
「…………見事に裏切ってくれましたね。貴女はピューロ派だと思っていたのに……残念です」
にやけが抑えられない私とは対照的に、パックは泣き真似を始めた。
ご丁寧にハンカチで目を抑えて臭い芝居……いや、いつの間に出したそれ。なんでも出してくるな、この人は!?
「えー。どっちも好きじゃダメ? 言うてその二つだったら圧倒的にDの派閥なんだけどさ、そういうの関係なく仲良くしようや」
Dの派閥ってなんだ。言ったのは私だけど、それだとデデニーじゃなくてワンピースにならないか?
『お前も鬼にならないか?』みたいに言うな。Dの一族は自分の意志でなれるもんじゃないだろうが。
咄嗟に上げてしまった右手がさらに上弦の参みを増してたからスッ……て下げた。
「ええ、構いませんよ」
なのに、パックは空気を読まずに右手を差し出してくる。
「寝返るの早いな。お気持ち表明の必要性!」
仕方なく引っ込めた右手をもう一度出して握手したのに、謎の造語には一切触れずに即答された。ちょっと寂しい。やんのかコラ。
でも、メゲナイ! ショゲナイ! 泣いちゃダメ! いけいけカリンちゃん!
「カリンがツッコミ、私はボケですから」
パックは慌てず騒がずボケを被せてくる。マジ歪みねぇなパック㌠。
パックさん、パックさん、パックさんのボケに気力と体力持ってかれるって知ってるかい?
これまでのゴーストジョークを踏まえると十歳程度は誤差の範囲だろうし、パックは赤いキャンディーで若返ったり、青いキャンディー食べて年取ったりはしないだろうけど。
「そいつはまさに大迷惑……ってやかましいわ!」
あれって新婚夫婦に襲い掛かった単身赴任を歌った悲劇だよね?
残念だけど、我々は今夜限りの相方……。私とパックの組み合わせは言うなれば秋の夜の夢で、間違ってもロミオとジュリエットではないが?
…………でも、『夜が明けるまでの馬鹿騒ぎ』ってとこだけ見れば何気にいまの状況と一致してるし、『夏の夜の夢』にもそういやパックいたわ。
いたずら好きな小妖精はPackじゃなくてPuckだけど。
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