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Happyyy Halloweeeen!
Happyyy Halloweeeen!【4】
しおりを挟む「ねぇカリン。ぼくたちって似てると思う?」
というのはチルの質問。確かめるまでもないとは思ったけど、二人の顔を見比べた。
「うん。真顔だと見分けつかないくらいそっくり」
ひとつのソファに並んで座る二人は、こっちに向けた顔の角度まで揃ってる。
「そうか。では、本物の双子だと思うか?」
「……に、見えるけど。いままでの発言的にはそうじゃなさそう」
振り返ってみても、『大体そんなもの』とか『いつも一緒』とか言ってお茶濁して、二人の関係を決定づける事はいままで一言も言ってないしね?
「正解だよぉ」
「ああ。一緒にいる事が多いし、周りからも基本的にセットで扱われる僕たちだが、双子というわけじゃない」
「血も繋がってないしねぇ」
交互に話す姿は脳がバグりそうなくらいそっくりなのに。
「他人の空似って現実にあるもんなんだ……」
「うふふ。『他人』って言い方も本当は正しくないんだけどね?」
「別の存在というところは合っているし、それでいいんじゃないか?」
スーと見つめ合ったチルは左に首を傾げ、チルと見つめ合ったスーは右に首を傾げた。そこに鏡があるようにしか見えない。どっちが鏡かはわかんないけど。
「そうだねぇ」
『別の存在だけど、他人って言い方は正しくない』。その言葉を素直にそのまま受け取って、現実的に考えるとしたら――――。
「…………ごめん、ちょっといい? みんなは自分たちの事人間じゃないみたいに言うけど、それってもしかしてお店のコンセプトが『なにかの擬人化』ってとこから来てたりする? あだ名と同じで、馴染んじゃってるから普段からそういう言動しがち、みたいな……」
チルとスーの話を遮って、さっきから考えていた事を聞いてみる。
歴史上の人物や武器や動物が美男美女になるのはオタクとしても馴染み深いし、それを三次元でやってるって考えたら、いままでの不可解な言動にも大体説明がつく。
憑依型の役者さんも、人によってはクランクアップ後に役落とし休暇が必要なくらいだって言うし。
「鋭い指摘ですね。流石です、カリン」
パックがヴィニーに意味ありげな視線を送る。
「結論から言うと大正解だよ~」
すると、ヴィニーは両腕で丸を作ってくれた。
こんなに可愛いんだから、ビニールの擬人化? 以外になんかあったでしょ。
「ああ。ヴィニーは『ビニールのg……おばけ』という設定だ」
おばけの前になにか言いかけたけど、少し待ってもスーは言い直さない。なんだ、噛んだだけか。
「『ビニールのおばけ』?」
思った以上に斬新で声が裏返る。擬人化ですらなかったんだ。人類にはちょっと早すぎない?
「なかなか聞いた事のない設定でしょう? それもお店の売りなんですよ」
「あの辺はコンカフェが何軒もあって競争が激しいからね~、ちょっとでも差別化しないと厳しいんだよ」
笑顔のパックと困り眉のヴィニー。二人の性格の違いがよく出てる。
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