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Happyyy Halloweeeen!
Happyyy Halloweeeen!【2】
しおりを挟む「そうだな。他言無用とまでは言わない。僕たちはカリンを信頼しているし、こうして長々と前置きをする必要もなかっただろう」
「だけど、気分を盛り上げる演出は欠かせないよねぇ。きっと他の人に話す気にはなれないだろうし……。うふふふふ」
雲行きが怪しい。心臓の弱いお客様はご遠慮ください的な?
「…………」
押し込めた恐怖がぶり返してきて無言になってしまう。精神的に強いダメージを受けた出来事について人が口を閉ざしてしまうのはよくある事だ。
「あんまりカリンちゃんの事怖がらせないであげて、スーちゃんにチルちゃん」
私が肩を震わせたのを見てヴィニーがスーに注意してくれたけど、もう聞いちゃったんだよなぁ。時すでにお寿司。
「ですが、いまの前置きを怖いと思うかどうかもカリン次第ではないでしょうか?」
余計なひと言を付け足したのはパック。絶対楽しんでるとしか思えない。
「いや普通に怖かったけど!? 前置きでこれなわけ? ギブギブギブ、さっき言った事は忘れて! 怖い話やっぱ無理だから!」
全力で背もたれに縋り付いていると、難しい顔で黙り込んでいたヴィニーが笑顔を浮かべた。今度はなにを企んでやがる。
「…………カリンちゃん。さっき言った事なんだけど、ちょっと訂正していい?」
「いいけど…………?」
「『怖さ控えめ』って言ったのは俺たちの主観だけど、そこは間違ってないと思う。でも、『嘘かほんとかわからない不思議な話』っていうのはちょっと誇張しすぎちゃった。そのほうが雰囲気出るかと思ったんだけど、いまから話すのは全部作り話だよ」
ここでヴィニーは左手に持っていたポッキーを齧った。パフェに刺さってたやつ。かぼちゃとチョコってめっちゃ合うよね。
ちなみに最後まで取っておいたのか食べ忘れていたのかは定かではない。緊張感どこいった。いいけども。
「いくらお店で使ってる名前の設定って言っても、普段から呼び合ってて本名より馴染んじゃってる特別な名前って前提をカリンちゃんとは共有してるわけだし、それっぽく……本当の事みたいに聞こえちゃうかもしれないけど」
……女性向け二次創作の注意書きかな?
そこまで念入りにフィクションって強調されちゃうと本当の事だって言ってるようなもんだけど、それを承知したうえで作り話として聞いてほしいんだろう。
でも、そうなってくると自動的に本名って事にならないかな。みんなの名前。
「…………了解。ヴィニーがそこまで言うって事は、かなりのリアリティなんだって期待していい?」
ビビり散らしても、好奇心には勝てないわけで。
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