“Boo”t!full Nightmare

片喰 一歌

文字の大きさ
上 下
56 / 119
It's time 4 a coffin break!

It's time 4 a coffin break!【14】

しおりを挟む

 そういえばさっき『手が空いていないし、足を延ばせない』って言ってたけど、ただ忙しいだけじゃなくて物理的に遠い場所にいる可能性もあるのか。

 本社が関西とかの主要都市にあって、そっちで重要なポストに就いてるけど、人手不足だからみんなの働くお店で店長も兼任してるとか? メインじゃなくサブ……いや、名目上のゴースト店長?
 
 ハッハッハ、面白い推理だ探偵さん。なんでもハロウィンにこじつけないと気が済まないのかね?

 私が思いついたにしてはありそうな説だけど、その場合も『どうしてその人が遠く離れた店舗の店長まで兼任する事になったのか』みたいな話になってくるから、きっとこれも不正解。

「……へぇ、やっぱ名物店長みたいな感じなんだ」

 まぁいっか、もうこの事について考えるのはやめよう。普通の人だと思ってた人がレジェンド級の人だったなんて稀によくあるし。
 
「ええ。ですが、使用者のいなくなったあともこの館を所有し続けた理由については、私たちも知りませんね。こんな一等地ですし、維持費も嵩むでしょうに……。きっとそうまでしても手放せない、取り壊せない事情があったんでしょう」
 
「……じゃあ、ここもある意味いわくつき物件なのかもね」

「アハハ! そうかも?」

 ヴィニーの楽しそうな笑い声は尊いけど、大島てるに載ってないだろうな?
  
「そうかもって……怪奇現象とか起きてないの?」

「体験した人、いる?」

 チルはみんなを見回した。そんなマイキーみたいに言わなくても……と思ったけど、三人とも気にしてないみたいで普通に頷いてる。

「もしあっても、気付かなければないのと同じだ」

 というスーの言葉にまたも頷く一同。みんな肝が据わってるっていうかなんていうか。

「まぁそうなんだけどさ」

 私がここに住むわけじゃないし。でも、ここにいる間には絶対出てこないでほしい。

「……そろそろパンプキンプリンが出来る頃か。様子を見てこよう。食べ頃だったら持ってくる」

 心の中でいるかもわからないおばけに念じてたら、スーが立ち上がった。

 大胆に話題を変えてきた事もそうだけど、もうそんなに時間が経っていた事にもびっくり。なんか今日、時間の感覚狂いっぱなしだけど、大丈夫か私。

「ほんとだ。よろしくねぇ」

 チルはマカロニチーズをおかわりしながらスーを見送った。何個のマカロニがその胃袋に吸い込まれていった事か。

 爆食してるはずなのに、テーブルの上のマカロニチーズは全然減ってるように見えない。もしかして可愛いマカロニモンスターのために多めに作っておいたのかもしれない。優しい世界。

 でも、お野菜もちゃんと食べてねチルちゃん。やさいせいかつ。ここまでテンプレ。ここからテンプラ……はダメダメ。

 白い粉の中毒性舐めたらいかんぜよ。この言い方は誤解を招くからもっとダメだね。

 でも、砂糖とか小麦粉とか……この世のおいしいものって大体白い粉で出来てるし。粉ものうまうま。ヤバいクスリより簡単に手に入る分、危険性はどっこいどっこいなんじゃ……?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~

海獺屋ぼの
ライト文芸
ある日、女子校に通う夏木聖那は『魔法少女募集』という奇妙な求人広告を見つけた。 そして彼女はその求人の日当二万円という金額に目がくらんで週末限定の『魔法少女』をすることを決意する。 そんな普通の女子高生が魔法少女のアルバイトを通して大人へと成長していく物語。

うりふたつ

片喰 一歌
恋愛
「あの、お心遣いには感謝しますけど、お兄さんのことは半分も信じてませんからね」 「しっかりしてるねえ。ひとまずは俺、初対面の馴れ馴れしくて怪しいお兄さんってことで」 (※本文より抜粋) ある日、アキノの前に現れたナンパ男は、死んだ恋人・ハルトにうりふたつだった。 無口な彼とは対照的におしゃべりなその男は、自分をハルト本人だと言い張る。 アキノは半信半疑ながらもその男の誘いに乗り、『冥界デート』に付き合うことに。 聞くと、彼は生前の目的を果たすために戻ってきたらしい。 その口から語られたのは、亡き恋人しか知らないはずの『一緒のお墓に入りたい』というアキノの願いだった。 戻ってきたハルトは、どのようにしてアキノの願いを叶えるつもりなのか? 衝撃のラストは必見です! 2024/5/6~ 1話あたりの分量を変えて帰ってきました! あなたはこの結末をどう読みますか?

ヌース、兎、ズッキーニ

脱水カルボナーラ
SF
五度目の世界大戦に見舞われた地球。政治家や軍事政権が何世代にも渡り、戦争を続けることで得られる利権などの為に、本来の目的や意味を失った戦争を続けている。時代の潮流の中で、国家という共同体の概念はいよいよ形骸化し、市民達により世界中に名も無きスラム街や自治区が樹立された。  ある日、日本国の自治区「洲ガモ」の喫茶店「人参房」のマスター、ウサギマスクのバニ沢は、バイトの滝川(年齢・性別不詳)と共にいつも通り暇な営業時間を過ごしていたが、店に突如飛び込んできた、怪しげな少女を保護する。 ※本作品は小説家になろう様、カクヨム様でも掲載をさせていただいております。

処理中です...