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It's time 4 a coffin break!
It's time 4 a coffin break!【9】
しおりを挟む「そうそう! やっぱりカリンちゃんは理解が早いね~」
ここまで読んでくれてる人にはとっくにバレてる事実だけど、私は本当に物を知らない。いまだから言うけど、みんなの名前が現実に存在する名前としてありえるものなのかどうかもわからなかった。
「驚いたんじゃないか? 騙すつもりじゃなかったんだが、癖で……気を悪くしてしまったならすまない」
「びっくりはしたけど、普段通りにしてただけでしょ。謝る事ないじゃん。そうしてるのも理由があるんじゃないの?」
みんながライフワーク派で仕事大好き人間、余暇も仕事したくてうずうずしてるってタイプなら、勤務中の名前で普段から呼び合ってるってのもわかる。
でも、四人もいて全員がそうってのは考えにくいし。スーの『騙すつもりじゃなかった』って言葉が気になった。『騙す』必要のある相手がいるって白状してるみたいなものだよ。
「ご推察の通りです」
「ほとんどはちゃんとしたお客さんだけど、一部の人はぼくたちの事が好きになりすぎてプライベートな事も知りたがるんだよ」
「行動を把握されて、追いかけ回されたり待ち伏せされたりしていてはかなわないからな」
話聞く限りはどれも現実で使われてる名前っぽいけど。無知な私にも伝わるヤバ客の実在証言に背筋が寒くなる。人怖はシャレにならんのよ……。
「つきまといとかストーカーとかってやつ……?」
一定以上上の世代の、育ってきた時代の常識が全然違う人たちが、若い頃アイドルの追っかけをしてた思い出を武勇伝とか自分の青春を代表するエピソードみたいに語ってくれる事があるけど、とんでもないよ。
その人は大好きな人に近付けて幸せだったかもしれない。てか、そうだったから楽しそうに語れるんだよね。でも、だったら、『一度でもその大好きな人の立場に立って考えた事はあるか』って聞きたい。
私はそういうのを聞くたびに、その人がそれを迷惑行為だと認識できていない事実にただただ怖くなる。罪に問われる可能性なんて考えてない。昔を振り返って、自分の行いを黒歴史だったと思って恥じる事の出来る感性すら持ち合わせてない。
現代ageをしたいわけじゃないよ。倫理観の欠落した人間も距離感のおかしい人間も、どんな時代にだって形を変えて存在するから。令和には令和の狂人。人には人の乳酸菌。
「あ、でも実際に被害に遭ったメンバーはここにはいないから大丈夫! チルちゃんとスーちゃんが説明してくれたのは、お店で仮の名前を使う理由だよ。俺たちが特別なんじゃなくて、お店全体の方針なんだよね~。店長が考案した困ったお客さん予防策っていうか、キャストを守るための方法?」
ほとんど息継ぎなしでフォローと補足が加えられても私は全然安心できなかった。
ヴィニーの全方位に配慮の行き届いた台詞って、ジャンル的には洒落怖とか意味がわかると怖い話ってやつじゃない?
『ここにはいない』が単に過去の事件かつ被害者がここにいるメンバー以外って事を強調するためのものだったらいいんだけど、被害規模について話してくれる気はなさそうなのが引っかかる。
粘着質でメンがヘラった人間に『永遠にあたしの物……♡(殺害or無理心中エンド)』されたとかいう暗喩じゃないよね?
ヴィニーのぼかし方ってひっかけ問題とか言葉遊び的っていうか、毎回絶妙に嘘じゃないラインを攻めてる気がして。
直接の言及があったわけでもないのに、時間差で『人じゃない』発言と『男でもない』発言の重みが増してくのやめて。呼んでないから子泣きじじいは。
「気持ちが嬉しいですよね。非力な一般の方に上か下の名前だけわかったところで、私たちをどうこう出来るはずはないとは思いますけど♡」
そこで一段と光るパックの頼もしさ。土台が違うよ、土台が!
『物理だけじゃなくて社会的に葬るのも得意そう』とか口に出したら、私の首と胴体が泣き別れになっちゃうカナ?
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