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It's time 4 a coffin break!
It's time 4 a coffin break!【7】
しおりを挟む「イベント?」
っていうと、元凶とでも呼ぶべき三日間続いた私の大嫌いなハロウィンイベントの事? こんなけったいな恰好で参加する理由なんて、やっぱりそのくらいしかないか……。
「それでは言葉足らずですよ、チル。間違ってはいませんけど。話せない事でもありませんし、もう少し詳しくお話ししてもいいのでは?」
パックは少し曲がってしまっていたチルの羽を直した。
「うん。でも、ぼくは説明が得意じゃないから」
「そんな事ないと思いますけどね。……ああ、もしかして面倒になっちゃいましたか?」
「いや、マカロニチーズを見つけてしまったらしい。マカロニチーズに目がないからな、チルは」
チルはお皿にマカロニチーズの小さな山を作って幸せそうにしている。確かにあの様子じゃ、当分話をする気はなさそう。
「なるほど。でしたら、私たちが引き継ぎましょう。カリンは『コンセプトカフェ』をご存知ですか?」
パックもそう判断したらしく、質問と視線を投げかけてきた。
「ああ、コンカフェか。何年か前から流行ってるやつね」
いつからか各地で耳にするようになったエンターテインメント型飲食店の名称をリピートする。
いままでその可能性に思い至らなかったのが不思議なほど、その今時な響きはみんなによく馴染んでいた。配信者やアイドル、ホストなんかよりずっと身近な職業なのに。
「それならよかった。説明も手短に済みそうです」
「だね。俺たちは同じ店のキャストで……」
「今日はそこでもハロウィン限定イベントをしてたからねぇ」
「そっか。この近くじゃ今日だけでもすごい数のイベントが開催されてただろうしね」
道理でイケメンしかいないわけだ。それにしたって、そのへんの芸能人なんて目じゃないくらいキラキラしてるけど。イケメンパウダー舞ってるし。(※幻覚です。)
たぶん流れる汗もシーブリーズのCMばりにさわやかだよ。綺麗なアクアって言ったほうがよかった? でもアイドルじゃないしな。概念的に近似値ではあるだろうけど。
「ええ。私たちの勤務する店舗では本日限りというわけではなく、ここ二週間ほどはずっとハロウィンイベントの期間でしたけどね」
「そのはずだけど、当日の盛り上がりは群を抜いてたねぇ。うふふふ」
「最終日だからね~。グランドフィナーレとか千秋楽って特別じゃん? どうしても『当日に会いたい!』って思ってくれた人が多かったみたいで、大忙しだったよ」
「やはりこういったイベントは書き入れ時だからな。店長も張り切って、それぞれに似合う衣装を見繕ってくれた」
「特に今年用意してくださったものは大好評でしたね」
店長、みんなの衣装決めるのめっちゃ楽しかっただろうな。裏山。どれも着てほしくてギリギリまで悩んでたんじゃないかって気もするけど。
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