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It's time 4 a coffin break!
It's time 4 a coffin break!【4】
しおりを挟む「ええ、本当に。私たちは先ほどの貴女の浮かない顔の理由について尋ねはしませんし、無理に言う必要もありません。もちろん、気になるのは確かですが……」
「そうだな。ストレスや悩みを忘れろと言われてすぐに忘れられるものだと甘く見ているわけじゃない」
「それでも、ずっと悩んだり苦しんだりしているのはしんどいしさ」
優しさが天元突破した言葉を聞いているうちに、なんとなく浮かんできた事がある。
これは恐ろしく自分中心に物事を考えたうえでの予想だけど、たぶん私を脅迫(※ってほどじゃなかったけど)してまでお菓子作りに参加させたのは、なにかに集中してれば気が紛れると思っての事だったんじゃないかなって。
実際、楽しくて一週間分の疲れは軽く吹っ飛んだし、ゴミ拾ってるときのぐるぐるした気持ちとかもちょっとは整理できてきたし。
「みんなの言う通りだね。くよくよしすぎも鬱陶しいし!」
萎れた花に水をやるように、自分を励ますために大きな声を出した。出来るだけ明るく、溌剌と。言わなくても元気だと伝わるように笑顔をキープして。
たぶんさ、楽しい事って自分が必要としてる以上に沢山必要になってくるんだよね。
普段からガッツリ息抜きしてるつもりだったけど、本当は全然だったのかも。まぁそりゃそうか。大体なにするにしても一人だったし。
「あ、流石に一気に元気出してとまでは言ってないよ?」
平気なふりしてたけど、自覚するのを避けてきただけで私は寂しかったんだと思う。もうずっと何年も。
今日この時間をこんなに楽しく過ごしてるのがなによりの証拠だ。誘ってもらった時点ですっごい浮かれてたしね。『誰かとこんな遅くに遊ぶのなんて何年ぶり?』って。
「ああ。僕たちもそこまでスパルタじゃない」
私は個人的な人との交流に飢えてたっぽい。
一人でもやろうと思えば出来る事は意外と転がってるけど、本当の本当に一人で出来る事ってそんなにない。ていうか、ひとつもないのかもしれない。本当は。
ネットだって電力を供給してくれる人がいて、画面の向こうに玉石混交の情報を発信する人がいて成り立つように。その場には自分一人しかいなくても、人との関わりを完全に無にする事は出来ない。
「そうそう。少しずつでいいんだよぉ」
そういうお膳立て抜きで、『その場にいる人数が一人でも出来る楽しい事』って意味だったら多くの娯楽が該当すると思うけど、他の人と一緒にやって初めて楽しめる事も中にはあるわけで。
その二種類の『楽しい』のうち、どっちか片方ばっかり充実させて、もう片方を蔑ろにしてばっかりいたら苦しくなってきちゃうんだ。きっと。
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