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It's time 4 a coffin break!
It's time 4 a coffin break!【1】
しおりを挟む焼き芋焼酎なるものを傾けながら、みんなの様子をぼーっと眺める。奇数だし、一人だけ飛び入り参加した身だし、一応ちょっとは遠慮してるつもり。
「……あ、美味しい。今度自分でも買おっかな」
なんてかっこつけたけど、座り心地のいいソファに一回腰掛けたら立ち上がれなくなっちゃっただけ。そうそう、さっきのリムジンばりに長いソファに。
なんも考えないで上着の近くに座ったけど、よく見たらここちょうど真ん中らへんだな。まぁいっか。気にしたところで移動する気力もないし。
自覚してた以上に疲れてるっぽいな。なんか瞼まで重くなってきた……。いかんいかん、眠りこけて迷惑かけるわけにはいかないのに。
「なんか目が覚めそうな料理は…………ないか」
みんなスイートポテトが好きって事は甘党寄りなんだろうし、辛い物はなさそう。ハロウィンと辛い物って全然結び付かないしね。
「ひと仕事終えたあとのお酒は染みるねぇ」
「かもな。でも、チルは酒飲むのがというより、みんなとわいわいするのが好きなんだと思っていたが」
それでも諦め悪く眠気覚ましになるものを求めて視線を彷徨わせていたところで、チルとスーの会話が耳に入ってきた。
「わいわいするのも好きだけどねぇ、お酒のしゅわしゅわはもっと好き」
「そうか。言われてみれば、普段から炭酸飲料をよく飲んでいたな」
ほうほうなるほど。チルは炭酸が好き……っと( ..)φメモメモ
でも、こんな情報覚えたところでなんも意味ないか。彼らと会う事なんてきっと二度とないだろうし。面と向かって言われたわけじゃないけど、なんとなくそんな気がした。
「…………残りの時間、楽しまなきゃな」
『こんなしんみりした気分を振り払うには推しの力が必要だ!』と思った私は、すぐにヴィニーの姿を探す。
お目当ての人はここから数メートル離れた長テーブルの御馳走の前でパックと会話しているようだった。耳をそばだてるまでもなく、広い会場にヴィニーの明るい声が響く。
「ねぇパック。このへんのって全部パックが作ってくれた料理だよね?」
「そうですよ。よくわかりましたね」
二人は清潔なお皿を片手に、それぞれの持ち寄った料理を取り分けていた。
「だって盛り付けがプロいから」
「それはどうも。ところでなにか質問でも?」
「このポテサラみたいなやつなんだったかな~って」
問題の料理は……うん。確かに全体的に緑の多いポテサラに見えるけど。え、違うんだ逆に。
「こちらですか? コルカノンというアイルランド料理ですよ。ハーブを使用しているので、ポテトサラダを想像して食べた場合は風味が異なって驚くかもしれませんが、作り方は近いですし、同じようなものだと思っていいと思います」
へぇ。なんか可愛い響き。エスカルゴとかもそうだけど、ルのつく五文字の単語ってなんかウキウキしてて可愛い。でも食べ物ってより音楽用語か金管楽器とかっぽい。カノンに引っ張られすぎ。
それにしてもパックは説明が上手いし、なんだかんだ間違った事を言っても訂正の仕方が柔らかい。相手の感じた事自体は否定しないからそう思うのかな。子ども科学電話相談の神回的な。
ここにいるメンバーにはそれぞれ見習うべきとこが沢山あるなぁ。
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