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We witch you a happy halloween!!
We witch you a happy halloween!!【11】
しおりを挟む「パックに見惚れちゃダメってわけじゃないけど、ノールックで刃物使うのは確かに危ないよね。マミーみたいに包帯ぐるぐるにされたくなかったら、ちゃんと手元見てほしいな~」
万が一包丁でケガしたとしても全身ぐるぐる巻きにする事なくない? これもゴーストジョーク? でも、ひとついいかな。
「見惚れてない!」
ぴしゃりと言い放って、二人がなにか言い出す前に残りのイモをやっつけることに集中した。
「うん、いいねいいね~。その調子!」
「結構もったりしてて重いんだね」
「量が量ですからね」
お次は無事にマッシュが済んださつまいもに砂糖や牛乳などを加えて混ぜる。ただでさえ大量のイモにいろんな物を投入するから何倍にもなっちゃって、この作業は三人全員でやる事になった。
「けど、すでにいい匂いしてきたし、やってみると楽しいかも!」
「カリンちゃんのボウルの中身も滑らかになったね」
「ええ、もうそのくらいで大丈夫そうです。腕は疲れていませんか?」
二人のOKが出たので、ボウルを再びレンジ送りにする。病院送りみたいな表現やめい。精神の治安が基本的に悪すぎんだよ。
「ありがと。まだだいじょぶ! ……この状態でも美味しそう」
「気持ちはわかりますが、焼いたらもっと美味しいですよ」
もう一度生地に熱を入れている最中に独り言のつもりでぽつりと呟いたら、パックが当然のように答えてくれた。
「私、そんなにつまみ食いしそうな顔してた?」
「んー。どっちかっていうと、お腹空いてる顔?」
「無理もないですよ。カリンだけではなく、みんな空腹のはずです」
パックが言い終えたのと同時にオーブンがスイートポテトの出来上がりを知らせてくれた。道理で幸せな匂いがするわけだよ。バターは魔性。抗える人間、マジで尊敬する。
「ちょうど第一便が完成したようで。味見しちゃいましょうか」
天板を交換しながらの提案はこのうえなく魅力的で、ぱぁっと表情が明るくなったのが自分でもわかった。
「いまの聞こえてたよね? チルちゃんもスーちゃんもキリのいいところになったらおいでよ」
「うふふ。ありがとう」
「こっちも終わりそうだ。すぐに行く。……といっても、ここから冷やさなくてはいけなかったな。食べられるのは数時間先になるか」
「数時間なんて、みんなで食べて話してたらすぐだって」
「そうですね。現時点で出来上がっているものを運んで、ぼちぼちパーティーを始めましょうか」
そんなに長居していいのかなって思ったけど、とっくにテッペン越えてるし、いまさら気にしても仕方ないか。……にしたって、四人とも時間が経てば経つほど元気になってくじゃん。おばけってか夜闇の魔物? 私もどっちかっていえば夜型だけど、みんなには負けるわ。
複数のサービスワゴンに料理を乗せ、みんなで客間まで戻る。エレベーターまで設置されているガチの豪邸だって事も道中で判明した。自宅にエレベーターがあるってどんな気持ちなんだろう。
一瞬羨ましくなったけど、エレベーターがあったって同じ階の移動には使えないし、総合的に見て狭い家に住んだほうがたぶんものぐさな私には向いてる。
『カリン、よく聞いてくれ。豪邸に住むのは大変だよ』ってセバスチャンの台詞パロ思いついちゃったけど、なにそのみじめすぎるアンダー・ザ・シー。引っ越し考えてる人の足引っ張ろうとしてる的なテキーラ?
『ワンルームの生活こそなによりも楽なんだから』ってか? 続きまで考えるなし。アンダー・ザ・シーなんてとんでもない。それはただのアンダーレイヤーだよ。
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