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We witch you a happy halloween!!
We witch you a happy halloween!!【9】
しおりを挟む「……と、その前にカリン。よかったら、こちらのエプロンをお使いください」
私の様子を見ていたパックは、綺麗に折り畳まれたシンプルなエプロンを差し出してきた。だからどこから出してんの、それ。
「ありがと。貸してもらうね」
「みんなの分も出しておきましたよ」
色味もデザインも同じエプロンがあと四着出てきた。三人は口々に感謝を述べて、あっという間にエプロンを着ける。
「始めるとは言ったけど、分担どうしよっか?」
いよいよスタートというときになって、ヴィニーから出てきたのはまっとうな疑問。言われるまでちっとも浮かばなかったけど、最初から分担したほうが何事もスムーズに進行するよね。場当たり的ダメ。ゼッタイ。
「とりあえず、かぼちゃを切るのは僕が引き受けよう。皮も実も硬くて、力のいる作業だ。客人にさせるわけにはいかない」
名乗り出たのはスー。流石にもう口調でわかるよね。ここまでお読みくださりありがとうございます。真面目か。まぁたまにはね。
「正直助かる。ありがとう」
知ってはいたけどなんてイケメンなんだ、スー……! 全私が泣いた。『女性に任せるわけにはいかない』って言わなかったのもめっちゃ好感度高い。
そうやって同席してる人にまで伝わるように宣言されるとポイント稼ぎっぽくて閉店ガラガラしたくなっちゃうじゃん。気難しくてごめんだけど。ただ、非力さは平均的な女性かそれ以下だし気遣い不要ってわけじゃないってのがよりコトを面倒にしちゃってるところ。
なんたって『は~ 腕力無エ 握力無エ そもそもそんなに体力無エ』みたいな感じでお送りしてるからね。惰弱惰弱ゥ! 私だってこんな肉体いやだっつーの。二次元ならサイコ系凶悪犯罪者になってそうな発言やめようか。
「じゃあ、ぼくはその間にお湯を用意してようっと。そのあとは……あとで決めればいっかぁ。うふふ」
スーとチルは宣言してすぐ持ち場についた。残るはヴィニーとパックと私の三人だ。
「OK、スーちゃんチルちゃんはパンプキン班ね~。自動的にパックと俺がポテト班になったけど……カリンちゃん、どっちに入る?」
ちょっと略し方気になったけど、そんな事まで選ばせてくれるんだ。私、インパしてたっけ? ちょっとドリームガーランドシール書いてくれんか、そこのキャストさん。
「お好きなほうで大丈夫ですよ」
「うーん……。あ、そうだ。私、どっちもレシピわかんないけど、イモ剝いたり切ったりは一番最初にしなきゃだよね?」
頭の中につやつやふっくらのスイートポテトを思い描く。黄金のボディに丸く美しいフォルム。そして滑らかなのどごし。それらの条件を満たすには、皮を剥いて実を潰す作業が必要になるはずだ。
「ええ、大正解です。引き受けてくれるんですか?」
「うん。そのくらいなら私にもできるし、味に関わらない分、気楽にやれそう!」
「アハハ! 分量はちゃんとこっちで把握してるし、なんにも心配いらないよ~。味にガッツリ関係する工程もあとで教えるから一緒にやろうね!」
面倒だと思う気持ちはなくなってたけど、責任重大な大役から逃れられたと思ったのに。『待ちなさーい! あの子、料理らしい工程から逃げ果せるつもりよ! そんなの許さないわ!』って事なんです? そういやヴィニー、ポリスコスしてたわ。見慣れたしエプロン着けたから忘れてたけど。
「あたしゃ先行き不安だよ……トホホ……」
「毎週日曜日の午後六時に会えるキャラクターのモノマネでしょうか。なかなかお上手ですね。でも大丈夫、私たちがついています。なにも難しい事はないですよ」
わかってくれると思ってなかった。いや、わかってても言及してくれるとは思わなくて感動してるなう。顔に走ったタテ線も即消えたわ。後半へ続く。
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