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We witch you a happy halloween!!
We witch you a happy halloween!!【4】
しおりを挟む「こういうのは『ちょっとした』どころか『ちゃんとした』パーティー会場って言うんだよ……」
「そっか~。今夜のお客様にとってちゃんとしてるならよかったよ」
そういう問題じゃないと思うけど、ヴィニーが可愛いからいっか!
真っ先に通されたここは客間かなにかだろうから仕方ないのかもしれないけど、いまのところなんの変哲もない普通の豪邸にしか見えない。あ、豪邸な時点で普通でもないか。
話しぶりからしてここに四人で暮らしてるのは確実だと思うけど、絶対持て余しちゃうじゃん。人それぞれちょうどいい住居の大きさは違うだろうから一概には言えないけど、四人で生活するにはかえって不便そう。こんだけ広いと掃除が特に。代行サービス頼んでるって感じでもなさそうだし、謎が深まる。
「今年って、参加できないメンバー多かった感じ?」
「ううん。全員揃ってるよ」
他の住人がいないと仮定しても、私以外の招待客が見当たらないのは不自然な気がしたから聞いてみたんだけど、ヴィニーに不思議そうな顔をされてしまった。いきなりこんな質問されても意味わかんないか。
「そうなんだ。いや、ここすごい広いからさ、いつめんがめっちゃ大人数なのかなと思って」
「……あ~、そういう事ね! でも、これで全員だから大丈夫。来れてない人もいないし穴埋め要員として呼んだわけでもないし、心置きなく楽しんじゃって♪」
「優しいねぇ、カリンは」
そんな風に言ってくれるチルや色々察してケアに回ってくれるヴィニーのほうがずっと優しいと思うけど。
「ご歓談中失礼します。キッチンの準備が出来ましたよ」
開け放たれた扉のほうから声が掛かった。パックの姿を見ないと思ったら別室にいたのか。スーも見当たらないけど、別の場所にいるのかな。
「うふふ、ありがとう」
「来たばっかだけど移動しよっか。上着とか邪魔な物あったらそこのソファに置いていいよ」
パックは私のほうを見て言ってくれたけど、そこのソファって具体的にどこ?
「そんなこと言われましても」
豪邸あるある。すべての家具がクソデカ。ヴィニーが指定したソファもリムジンかと思うくらい長くて、どこに置いたらいいのやら。
「アハハ! カリンちゃん、パックみたいな口調になってる!」
「どこでもお好きに置いていただいて大丈夫ですよ。貴女の持ち物が汚れないならソファでなくても構いません。口調の件については……長年連れ添っていますからね、そういう事もあります」
敬語についてはノータッチかと思って油断してたらコイツまたボケやがりましたわよ。仕方のない相方ですこと。わたくしのツッコミがなくてはダメなんですから……。咄嗟にやれやれヤカラ系お嬢様になっちゃったじゃん。属性の過積載か?
「いや、今日会ったばっかなんだけど!?」
「……ふふ、やはりカリンのツッコミはいいですね。ダマスカス包丁とは言い得て妙でした、ヴィニー」
だから、ダマスカス包丁ってどんなんよ。いや、無知な私が悪いけど。『友達に似てる~』って言われたときに近いモヤモヤ感。私とあなたは友達なのかもだけど、私とあなたの友達は別に友達でもなんでもない赤の他人なんだわ。
「でしょ? 切れ味鋭いだけじゃなくて的確なツッコミがすぐ飛んでくるから、綺麗な模様入っててよく切れるダマスカス包丁っぽいなって思ってたんだよね~」
解説乙。マジでありがとう。またひとつ賢くなったけど、ちょっと照れる。そんないいもんに例えてくれてたとは思ってなかったし。納得している私の横ではパックとヴィニーがぐっと握手を交わしてた。可愛いかよ。
「うふふふ。スーが待ってるからそろそろ行こう?」
チルの一声で現状を思い出す。そうだ、スーを待たせてるんだ。
「ごめん、いま行く!」
雑に脱いだ上着をソファに乗せて、数分前に到着したばかりの客間に背を向けた。
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