“Boo”t!full Nightmare

片喰 一歌

文字の大きさ
上 下
34 / 119
We witch you a happy halloween!!

We witch you a happy halloween!!【3】

しおりを挟む

「どうぞお入りください」

「お邪魔しまーす……」
 
 パックが重そうな扉を押さえて待ってくれてたから、非現実的な妄想はさっさと頭から追いやって、あとがつかえないようにさっさと中に入った。
 
 イケメン神父にエスコートしてもらった感動よりも、ようやく手を離してもらえた安心感が上回っちゃったの地味に悲しいんだが。長年の夢とはなんだったのか。乙女ゲームの主人公に転生しても心までなりきれないタイプとか言うなし。予測可能回避不可能m9(^Д^)プギャー
 
「……内装もかっこよ!」

 入ってすぐのロビーには真正面には少し上ったあたりで二股に分かれる大きな階段があって、テンションが上がった。もちろんみんな大好き(?)豪華なシャンデリアも吊るされている。
 
 立派なのは外装だけじゃなかったんだな。疑ってたわけじゃないけど。照明や調度品の具合のせいか重厚な雰囲気で、バイオに加えてホンテっぽさもちょっと入った感じ。
 
「ちょっとしたパーティー開くにはいい感じだよね~。掃除さえサボらなければ!」
 
 この時点で人体実験のための施設ってセンはかなり薄れたにしても、いまいちなんのための建物なのかわからない。お前はバイオ風建造物のイメージに引きずられて不名誉で不穏な妄想までしてたのかって? めっちゃしてました。すんません。

「うふふ。こっちだよぉ」

「見学したければあとで言ってくれ。案内する」
 
 あっちこっちに視線を飛ばしている私にチルははぐれないようにやんわり注意してきたけど、スーは代替案を提示する事で自然と注意を引き付けた。全然違う二人のリアクションに、双子しぐさに湧く短絡的思考が恥ずかしくなって泣いちゃった……。
 
 二人のあとに続いて階段を上り、左手に曲がった。長い廊下の途中、数個目の部屋の前でが立ち止まった双子はアイコンタクトを取ったかと思うと、両開きの大きな扉を同時に開けてくれる。王道の双子アクションを見せつけられちゃってどうしようね。舌の根も乾かぬうちにとは思ったけど、いまのはテンション上げるなってほうが無理くない!?
  
「……あのさヴィニー、言おうか迷ったんだけど言っていい?」

「え、なになに~? カリンちゃんのダマスカス包丁みたいな言葉にも慣れてきたし、遠慮しないでなんでも言ってよ♪」

 ダマスカス包丁とはなんぞや? 包丁だから切れ味抜群的な? ヴィニーも結構言うようになったじゃん。そのほうがこっちとしてもやりやすくて助かるし、気を許してくれたみたいで嬉しい。けど、ぬか喜びかもだからあとでググろ。……とか思うだけ思って忘れるまでがワンセット。
 
 包丁の種類さっぱりわかんないんだよね。実家にあったやつもそこまで高価なやつじゃなかったと思うし、いま家で使ってるのも百均で適当に選んだやつ。豆腐とか白菜とか切るのにたまに使うくらいしか出番ないけど。いま自炊メニューがほぼほぼ鍋しかないの即バレしたよね。ウケる。一年の中で突出してちゃんと自炊してるのが冬って事も同時にバレる仕様。鍋はいいぞ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

処理中です...