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Have a spooktacular night!
Have a spooktacular night!【12】
しおりを挟む「そうそう。カリンちゃんがどうしても気にしちゃうって言うなら、みんなで作ってもいいし!」
きゃぴきゃぴするヴィニーに癒されたはいいが、いまなにて?
「作る?」
まさか、『自炊すらほぼほぼしない人間にお菓子作りはハードル高い』というごくごく当たり前の真実をあなたがたはご存知でない?
カリンさんあれよ? 『体は冷食で出来ている(I am the born of the frozen foods.)』的な感じよ?
これが冗談だったらいいんだけど、冷食ってクオリティもコスパも申し分ないし、見かけるとついつい買っちゃうんだな~、これが。好き嫌いなくなんでも美味しく食べられるのって得だなって、一人暮らし始めて再確認した。
「ええ。材料ならまだ余ってます。冷蔵庫に保管してありますよ」
ああ、パックはマメそうだもんね。丁寧な暮らしが似合う。……繰り出される大味なボケからして、実は全然そうでもなかったりするかもだけど、お菓子を手作りしてる時点で確実に私よりは几帳面な性格だと思っていいはずだ。
「さすがパック。用意がいいねぇ。うふふふ」
「お菓子作れるの? 見た目通りのハイスペックじゃん」
だって、お腹がすいたら『調理済みの物を買って食べればいい』と考える私に、『食べる物を作る』発想なんてあるわけがない。
「ありがとうございます。でも、本当に簡単なものですし、私以外のメンバーも一通りこなせるはずですよ」
ねぇパック、知ってる? 出来る人の言う『簡単』は、ホラー耐性持ちの『怖くない』と同義なんだぜ。
つまり、『ここにいるメンバーは私よりも料理スキルが高い』と思ってまず間違いない。紅一点が一番女子力ないとかワロタ。いやまぁ家事スキルを女子力とかのたまう風潮クソ食らえだし別にいいんだけど。
「マジか」
昔は目玉焼きとか本当に初歩の初歩的なメニューくらいは作ってた気もするけど、いま卵も値上がりしてるし、自分で作った味気ない料理より各企業のグルメガチ勢の開発した冷食に軍配が上がるのは当然でしょ。
コンビニやスーパーのお弁当でもいいし、まとめ買いして冷凍しておく人もいるって聞くけど、冷食のほうがかさばらないから私は冷食派。保存するときはもちろん、捨てるときの事も考えてそうしてる。ゴミの回収日忘れがちな不注意人間にとって至上命題なんだよ、いかにゴミをコンパクトに抑えるかってのは。
「流石に普段から作っているわけではないけどな。作るのは特別なときだけだ」
スーはなんて事ない風に言ったけど、頻度がどうあれ『お菓子作りする事がある』ってだけですごいよ。お菓子作るときは自炊以上にきっちり分量量らないと上手くいかないって聞くし、正直めんどくさくて気乗りしないもんね。
知育菓子は何歳になっても好きだけど。枯山水のとかお寿司屋さんのとかああいうやつ。あの程度の作業はむしろ好き。精神年齢が幼稚園かそこらで永久に止まってる。
でも、一周回って大人も感動するしワクワクするじゃん。簡単に作れて、安全が保障されてて、物作りの楽しさを実感できるお菓子……って列挙すると改めてすごい。どっかの企業の回し者じゃないよ、一ファンです。
「そうだね~。俺だって毎回レシピと睨めっこしてるし!」
なにそれ見たい。全オタク垂涎ものの推しのクッキング(※今回はベーキングだけど)シーン! ヒョギフ大統領の貴重な産卵シーン風に言うな。
「分量を間違えて失敗するよりずっといいでしょう。……どうでしょう、カリン。一緒になにか作りませんか?」
油断してたらもう一度誘われた。今度はパックから。
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