27 / 119
Have a spooktacular night!
Have a spooktacular night!【9】
しおりを挟む「……それと、いくら知っていたとはいえ、馴れ馴れしく呼んですまなかった」
スーも決まり悪そうに謝ってきたけど、お互い様なんだから気にしなくていいのに。
「いや、それは別にいいんだけどさ。そっか、そういう事ね……」
「怖がらせてしまった事も合わせてお詫び致します。申し訳ございませんでした」
「ううん。拾ってくれて助かったし、全然気にしないで。変な人の手に渡ってなくてよかった」
「パック、落とし物はすぐ持ち主の元に届けてあげないとダメだよ? うふふふ……」
「…………ええ、本当にそのとおりです。その落とし物が故意でもそうでなくても、ね」
パックは今度こそなにも乗っていない手をすっと差し出してきた。
「よろしく」
「はい、よろしくお願いします。期間限定の恋人として考えても短すぎますが……。もしご所望でしたら、延長をお申し付けくださいね。何百年でも喜んでお受けしますよ」
白の手袋に包まれた手を取るなり飛び出してきたハロウィンらしい冗談に、直前にチルとパックがした不穏な発言なんて忘れて思いっきり吹き出してしまった。
「何百年て! どんだけ長生きするつもり?」
「本日の仮装テーマは『死後も迷える魂を導く神父』なので、道案内はお任せください」
いま考えた設定なのか前から考えていたものかはわからない。でも、パックが私を怖がらせた事に気を揉んでいて、彼なりに和ませようとしてくれた事はわかった。慇懃無礼だけどいい人じゃん。
「なにそのやけに凝った設定。神父面倒見よすぎ!」
個別ストでその理由が明らかになるやつ。
「なかなか良い設定だと思いませんか?」
「……そこの二人。良い雰囲気になるのは自由だが、僕たちもいるからな」
「そうそう。ぼくたちの事も忘れないでね?」
双子の言葉にはっとする。二人だけの世界に入っていたつもりはないけど、パックと話し込んでたのは事実だ。普段、一対一で話してばっかりで大人数でのお喋りに慣れてない弊害がこんなところに!
どうせグループLINEでも特定の人にしか返事しないタイプなんだろうって? 残念だがそもそもグループLINEに招待されないんだよ。はいはい、ぼっちぼっち。
わかる、わかるよマレフィセントの気持ち……。でも、いくらおこだったからって『招待されてない祝いの席に、いらないって前もって言われてる贈り物持って駆けつける』のはダメでしょ。
「もちろん忘れてなんていませんよ」
パックは笑みを絶やさずに答えたけど。違う、そこじゃない。薄々思ってたけど、この人ズレてるっていうかマイペース?
「いや、そこは『良い雰囲気』を先に否定しといてよ」
「これは失礼いたしました。私としては良い雰囲気だと思っていたもので」
「息ぴったりじゃないか」
「お笑い芸人みたいだねぇ。芸歴も長そう。うふふ」
またまた冷やかしてくる双子。いやいや、君たちのツーカーっぷりには負けますって。
「例えが具体的!」
「カリンがツッコミで私がボケですね。コンビ名はどうします?」
いまの返しで確信が持てた。マイペースっていうか『悪ノリが過ぎる』んだ、パックは。一見ストッパーっぽいのに、とんだブービートラップだよ。
「いや、組まないよ? てかいつまで続くの、この話題!?」
「お望みでしたら、何千年でも」
としたり顔のパック。こうなったら意地でも付き合ってやろうじゃん。
「出た、ゴーストジョーク! しかも延びとるがな!」
「カリンちゃん、ナイスツッコミ!」
口調と発言からはわかりにくいかもだけど、今度はどんなボケをかましてくるんだろうって私もだんだん楽しくなってきた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる