“Boo”t!full Nightmare

片喰 一歌

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Have a spooktacular night!

Have a spooktacular night!【6】

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 『なにかがおかしい』って事ははっきりしてるのに、それがなんなのかについて考え出すと途端に靄がかかる。疲れてるのかな。

 ……そりゃそうだよね。今日普通に仕事あったし。偉すぎてエラ呼吸。働き出すとアンダー・ザ・シーの歌詞は真理だなって実感するよね。『Up on the shore they work all day Out in the sun they slave away』って部分。
 
 単語ひとつひとつの音の流れ最強に好きだけど内容つらすぎ。ガチのマジでSHACHIKU NO KIWAMI。

 日本語訳じゃ気持ちマイルドになってるけど、ハイ・ホーの所業は忘れてないからな。別に仕事なんか好きじゃないんだから。か、勘違いしないでよねっ!

 この言い方じゃ誤解されそうだから言っとくけど、かくいう私もライスワーク派の人間だ。
 
 低賃金長時間重労働は悪。はっきりわかんだね。こんな悲しい三重苦トリオがあってたまるかってんだよ。

 法定労働時間の上限をさも平均であるかのように扱って平気な顔で雇用者たちをこき使う雇用主たち、食ってやろうか。

 Go to HELL地獄へ落ちろ……メット!

 ……いいなぁ、海。

 思えばここ数年、コンクリートジャングルこの街からほとんど出ずに過ごしてきた気がする。職場と家を往復するだけの毎日……って言ったら語弊があるけどね。

 なんでもは言い過ぎだけど、大体のものは通勤路にあるお店で揃っちゃうし。知っての通り根っからのインドア派だし。もし話題のスポットが気になったとしても、ここからそう遠くない場合がほとんどだから。

 でも、故郷は海の近くだったし、通学路も海沿いだったから、たまにすごく恋しくなるんだよね。

 ……いいなぁ、海。

 『ずっと遊んでラッキー』とは思わないけど、気圧の低い日とか指の一本も動かしたくないじゃん。日頃酷使しまくってるありとあらゆる関節や筋肉に休息を与えてあげたい。

 もはや海の底で物言わぬ貝になりたいまである。節子、それアンダー・ザ・シーやない。サウダージや。

「……カリン」

 スーはひとつ咳払いをした。なんか注意されるような事したかな。心当たりがありすぎて。

「ん?」

「うふふふ。せっかく決めたのに、手……繋がないの?」

「……あっ!」

「忘れてた? でも、カリンちゃんだけが悪いわけじゃないと思うよ。ここはパックが『エスコート』しないとね?」

 ヴィニー、さっきのパックとのやりとり覚えてたんだ。ちょっと恥ずかしいな。

「ふふ、そうですね。では、僭越ながら…………」 

 と言うや、パックはその場に跪いて私を見上げた。

「さぁ、お手をどうぞ……。ええと」

 跪いたパックは、先ほどまでの饒舌が噓のように固まった。どうした。固まりたいのは私も同じなんだけど。目の前で跪かれた経験とかないからさ。

 あと、神父ってより執事とか騎士とかの立ち居振る舞いじゃないのか、それ。妙に様になってるしいいけど。バトラー服も似合いそうだな、パック。……うわ、めっちゃ見てみたい。
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