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Unhappy Halloween?
Unhappy Halloween?【16】
しおりを挟む「いっぱい頑張ったから疲れちゃったね」
襲い来る疲労感を少しでも和らげようと目を休めていると、目ざとく気付いたヴィニーが声を掛けてきた。
気配り上手。最高の推し。その設定まだ生きてたのかって? あたぼうよ。
「そうですね。ここにいてもする事ありませんし、くつろげる場所に移動しましょうか」
パックは手袋についた汚れを払いながら頷いた。ちなみに白。
急展開キタ━(゚∀゚)━! 笹食ってる場合じゃねぇ!
「あ。そういえば、私のことも遊びに誘ってくれたじゃん。めっちゃ嬉しいんだけどさ、なにする予定か聞いてなかったよね? あと、いまからどこ行くのか知りたいなー、なんて……」
さっきまでの威勢の良さはいずこ。実に不甲斐ない事にチキってしまった。
でもさ、冷静に考えたら私以外みんな正体不明だし、裏社会の人間って可能性も否定できないし。用心しておくに越した事ない。備えあれば嬉しいな!
「すまん。そういえば、まだ言ってなかったか」
「ぼくたちはここにいる五人でハロウィーンパーティーを開くんだよ。うふふふ」
わざと伏せてたわけじゃないっぽくて安心したけど、場所については教えてくださらない!
あとで聞くからいいけどね。君たちがッ! 吐くまで 尋ねるのをやめないッ!
「パーティー? いまから?」
我ながらすごい間抜けな声出た。
けど、そのパーティーが開かれる会場に移動する事がわかってるなら御の字だ。この近くにそんな場所あるんだ。貸しスペースで小規模な打ち上げしたりする感じかな。
行き先普通にカラオケかファミレスかもだけど、ライブとかイベントとかが終わったあと、興奮冷めやらぬ中で同行者と行くとほんと楽しいんだよなぁ。
迎えに来てくれた親切な友人相手にマシンガントークするのもそれはそれでよき。
「もちろん。起きてる限り、十月三十一日は続いてるからね~」
「私たちの解釈では、ですけど」
「あと……これも屁理屈なんだが。今年、この街で行われたハロウィンイベントの期間は三日間だっただろう?」
私のぐちゃぐちゃな情緒を置き去りに会話は進んでいくけど、これがまた気楽でいい。このご縁きっかけに友達になってくれないかなぁ……なんて。高望みしすぎか。
「うん。うんざりしたけど、大きな事件もなく終わってほっとしてるとこ……」
本 当 に な 。
私にとっては、みんなとの出会いもある意味大事件と言えなくもないけど。
「うふふ。お疲れさまだね」
「あんたたちもお疲れ様。マジでみんな頑張ったと思うよ」
「この世界の人たちは本当に前夜祭が好きだよね。クリスマスだって、なんだかんだイブの夜がいちばん盛り上がるじゃん?」
……ごめん、やっぱり私には完全に聞こえないふりはできないっぽい。引っかかる言い回しがありすぎて。
『この世界の人は』ってなんなの!? 彼岸の人なのか、あんたたちは?
『君も、ゴーストになるまで絶対、帰れませんぞ~!』的な。
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