“Boo”t!full Nightmare

片喰 一歌

文字の大きさ
上 下
9 / 119
Unhappy Halloween?

Unhappy Halloween?【9】

しおりを挟む

 ごめん、話戻すね。ドライブ下手者へたんちゅもびっくりの急ハンドル!

「最高の一夜にしようね」

 声に出さずにああだこうだ釈明している中、次々と同意を示す返事が集まってきたけど、みんなは一体なんの話をしてるんだろう。

 特に最後、わけがわからないよ。私を置いてけぼりにしないでほしい。ただでさえストレンジャーだっていうのに。
 
「ヴィニーが言うとワンナイト目当てのナンパ男って感じ」

 ともあれ、率直な感想を述べる余裕はある。なんてったって私の口の悪さは折り紙付きだぜ!

 ……って、これも自慢できる事じゃないんだけど。ほんと、憎まれ口ばっかりうまくなってさ。こんなんだからほとんど友達いないんだよ。

 自滅の刃。毒の呼吸、ぼっちの型……『つむじ曲がり』!

 ちょっとありそうでやだな。n番煎じでも許して。オナシャス。

 ああいう必殺技とか奥義的なもの出すときってすごい滾るよね。

 みんな何が好き? 私はネウロが魔界能力どうぐ出すときの口上がめちゃめちゃ好き。漢字の当て方とルビも面白いし。
 
「カリンはパック並みに厳しいなぁ……」

 困ったように笑うヴィニーに、じわじわと罪悪感が滲み出してきた。ほとんど難癖みたいなもんなんだから怒っていいのに。冗談とはいえ、ひどい事言っちゃった。

「お前の言動が危なっかしいのも悪いんじゃないか?」

「しかも、パックもカリンも他の人には優しいのにね?」

 うっわぁ……。双子ちゃんもなかなか言う。やめたげてよぉ! ……って、これもどの口案件か。

 そういえば、ヴィニーの元気な反論が聞こえてこない。ただのしかばねのようだ。さっきの失言と照らし合わせると、笑えないジョークかもしれないけど。

「こらこら、それ以上はかわいそうですよ」

 パックが助け舟を出した。ナイス!

「そうだね。ごめんなさい」

「確かに言いすぎたな。すまなかった」
  
 チルとスーもパックには逆らわないんだな。このふたりを双子のテンプレに当てはめて考えるのはなんか違うかもだけど。

 でも、ちょうどよかった。乗るしかない、このビッグウェーブ謝罪の流れに。
 
「…………ごめん、私も言いすぎだった。本物のナンパ男はあんたみたいに紳士じゃないよ、ヴィニー。あいつら、所構わずベッタベタ触れてきてうざいんだよね」

 パックの言っていた事は真実だと思う。ヴィニーの言い回しは軽薄そのものだけど、場を和ますためにそういうキャラを演じてるんだろうなって事は、この短時間でも痛いほどわかった。

 あるじゃん。友達グループでも『他の人と立ち位置が被らないように』、『その場の狭い人間関係を円滑に進めるために』って考えて、本当は引き受けたくもない役割を演じる事を選ぶときって。

 まぁヴィニーはああいう感じの軽いノリでいるのが『いちばん楽だから』そうしてるってふうに見えなくもないか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...