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Unhappy Halloween?
Unhappy Halloween?【6】
しおりを挟む「ちなみにだけど、パックの物腰に騙されないほうがいいよ。たぶん、この中じゃいちばんコワイから」
ヴィニーと呼ばれたポリスコスの男がそっと耳打ちしてくる。ちょっとちょっとお兄さん、距離が近くないですか。踊り子さんには手を触れないでくださーい……ってのは冗談で。
わざわざ教えてもらわなくても、さっきから見てたらわかる。ヤバい奴やん。
「まだまだ蹴られ足りないご様子ですねぇ? 気が利かない男で申し訳ない限り……です♡」
うわぁ、いい笑顔。とってつけたような語尾と同時に長い脚が振り下ろされる。完全にかかと落としだ。
その神父、バイオレンスにつき……とか言ってる場合か? ポリスくん、無事なの?
「ひえっ…………」
大事なことなので、もう一度言っておくとしよう。さっきから見てたらわかる。ヤバい奴やん。
「痛いなぁ、もう。言いたいことは山ほどあるけど、男でもないでしょ? 俺たち全員さ」
ポリスはどこ吹く風でツッコミに回る。私の心配を返せ。でも、無事でよかったわ。
……って、君ら男じゃなかったの?
「…………は?」
そういえば。さっきはうっかり納得しかけたけど、悪魔の恰好をした双子はともかく、この二人は警官と神父。仮装してもバリバリ人間だ。
なら、『人間じゃない』というのはどういう事なのか。中身までなりきってるんだと思ってたけど、それだと辻褄が合わない。『人間じゃない』に加えて『男じゃない』ときたら、まるで…………。
背筋に冷たいものが走る。私はいま、一体なにと会話してるんだ?
「うふふ。ヴィニーは失言が多いね」
双子の片方が笑う。悪魔が来りて爆弾(発言)落とす……じゃなくて!
失言ってなに!? やっぱ聞いてはならない系の話題だったのほぼ確じゃん。やだもうこの人たち怖い! 消される? 我、消される?
あーあ……短い人生だったなぁ。
悔い? ありまくりだよコンニャロウ!!
とりあえず、来世はハロウィンに恋人とよろしくやってるパリピ希望しとくわ。街を汚すコスプレモンスターは御免だけど。
あ、いまはパリピじゃなくてやりらふぃーとかって言うんだっけ? どっちでもいいけどパリピのが短く済んでよくない?
「僕たちもいつも手を焼いている」
こっちの悪魔は呆れ顔。
言いたい事はそれだけか? 次の瞬間に『お命頂戴!』とかしてくる感じ?
と思ったけど、なにも起きない……だと……? 命の危機ではないみたいだ。寿命三億年縮んだわ。
嘘だけど。オタクの盛り癖、一生直らんね。言ってるそばからすげー盛るじゃん。
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