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Unhappy Halloween?
Unhappy Halloween?【3】
しおりを挟む「…………は?」
思わず顔を上げ、自分を取り囲んでいる何者かを見回すと、そこには美形のレイヤー(?)が四人いましたとさ。
レイヤーかどうかはまだわからないけど、そう言ったのには訳があって。みんなハロウィンぽいコスチュームに身を包んでる。
「いや、顔がいいな!?」
おっといけない。ついつい脳直でリアクションしてしまった。
しかも、さっきの悪態の比じゃない大怨霊……じゃなかった、大音量で。怖い誤変換すな! 定番だけども。
私、メタ発言挟まんと死ぬんか?
でも、言い訳をさせてもらうなら……。誰だってこう言いたくなるだろうと思う。話しかけてきた四人が四人とも、絶世の美男子だったのだから。
「ありがとう。嬉しいね、スー」
私の無礼極まる発言もスルッとスルーして微笑んだのは、左隣にいる童顔美少年だ。……美青年、かな? そうだよね。未成年はこんな時間に出歩かない。私の考える普通の家庭の子は、だけど。
「そうだな、チル」
今度は右から声が聞こえた。
どれどれ、君はどんなお顔立ちをしているん……おお、こっちも童顔美少……いや、やっぱり青年か? わからん。
左の子とかなり顔が似てて、いまのところ見分けがつかないんだけど……。双子かな? オタクが好きな属性のひとつ! クソデカ主語スマソ。
この子たちは三次元だけど、二次元双子キャラならまず間違いなく見分け方がある。このふたりにもどこか相違点はないものかと全身を舐め回すように観察すれば、発見発見。
さっすが私。名探偵。見た目は大人! 頭脳は子供!
……て、それじゃイカンのよ。事件解決できないじゃん! そもそもお前は迷探偵のほうだって? 言えてる~!
まぁそんなんは置いといて、肝心の見分けポイント。さっきの子は羽を、この子は尻尾をつけてる。なんて初見に優しいんだ。トレビアン!
おっとすまん、私とした事が荒ぶってしまったようだ。お前は開始からずっと荒ぶってるだろって? それは本当にそう。
「それ本心から言ってる? ……てか、もしかして双子?」
両隣から私を挟んで会話していた二人に問いかける。イケメンじゃなかったら確実に怒っていたところだ。見ず知らずの人間を真ん中にしてマイムマイムしないでほしい。疎外感がヤベェのよ。マジで。
「大体そんな感じだ」
「ぼくたち、いつも一緒なんだよ」
揃いの黒いゴシック調の衣装に身を包んだ男二人は、私の質問ににっこりと笑って答えた。しかもハイタッチのおまけ付き。可愛いな。身長は案外可愛くないけど。
いやいや、そうじゃなくて。うまくはぐらかされた? まぁいいか、別に本物の双子じゃなくても。顔がいい者同士、仲がいいならそれだけで嬉しい。
「なるほど。悪魔コスってのも、なかなか乙なもんだね」
双子の頭の上の角でそう判断した。前から後ろにカーブを描いてまた前にくるんと戻ってくる、ヤギの角のような形が可愛らしい頭飾り。先端も尖っていない安心設計。こういう真面目な分析もできるんだぞ、えっへん。
しかし、我ながらコメントが少しばかりおっさんくさいのが気になるところだ。伊達に心にモブおじ飼ってないぜ!
……って、なに脳内で一人エキサイトしてるんだろうね。いっつもこうだけど。サーセン。
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