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第3章 おかしな町のおかしな住人
第8話 変な感じ
しおりを挟む「や、ごめん! そんないくつもなかったかも? どこの地域にも特色みたいなものはあるけど、他の地域の人が見たら変わってるってだけで、そこに住んでいる人的には常識の範疇だったりするじゃん。たぶんあたしが変だと思うものの大半はそういうものっていうか」
「ええと、つまり……。マリカさんも元は外部の人間だからおかしいと思うだけで、別段おかしなことではない……?」
「うんうん。大体はね! だから、あんま怖がんなくて大丈夫! 例えば、ド真ん中に教会あるのも町全体がなんかの宗教の息がかかってるみたいに見えちゃうかもだけど、災害のときの避難場所とか兼ねてるだけかもしんないじゃん?」
マリカはテーブルの上に指で正方形を書き、真ん中に封を切る前の煎餅をドドンと置いた。
「確かに……! 同じ町内でも近い人と遠い人がいるのは公平ではないものね」
「そうそう。そういうこと! それでも真ん中寄りと外側のほうで距離は変わってきちゃうけど、四隅のどこかにあるよりずっと納得出来るよね」
「…………となると、ますますマリカさんでさえおかしいと思うことの中身が気になってくるのだけど……」
「あたしがおかしいと思ってることについては今から話すよ。……でも、どう話したら伝わりやすいんだろうな~……。実際に確かめてもらうのがいちばん――――だけど、話してみないことには始まらないか!」
案理はこくこく頷いて続きを促した。
「今日はアンリちゃんちにお邪魔してるけど、昨日はあたしんちでお茶したじゃん。自分ち出るときとあたしんち敷地内に入るとき、なんか変な感じしなかった?」
「家を出るときとマリカさんの御宅にお邪魔したとき? ……何もおかしなところはなかったけれど…………?」
変な感じというのが具体的に何を指すのかわからないが、目立った異変があれば強く印象に残っているはずだ。案理は傾げていた首を横に振った。
「…………ん、そっか。じゃあさ、明日あたしんちから帰るとき、ちょっとだけ感覚研ぎ澄ませてみてほしいんだ。ずっとじゃなくていいの。敷地出るときとアンリちゃんち入るときだけ。普通に通り抜けるんじゃなくて、手とか出しといたらわかりやすいかも?」
「手を?」
「そう。こんな風に――体の前に出しておくみたいな感じ。指先って神経集中してるからさ」
マリカは右手を胸の位置まで上げ、言葉通り少し前に出してみせた。
「わかったわ」
そんなことをして一体何がわかるというのか。
「…………明日まで待てない?」
上の空の返事を受け、マリカがにやりと口端を上げた。
「ええ。気になって眠れないかも」
「じゃあ、一緒に確かめてみちゃおっか♪ そうと決まればレッツゴー!」
「え!? 今から?」
「そう、今から!」
テーブルを回ってきたマリカに手を引かれ、案理は足を縺れさせつつ玄関に向かうのだった。
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