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第7章 エンディング?いやいやハッピーエンドは遠すぎる
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さて、とりあえず俺は死の世界を歩くことも無く、一応無事に今日も生きている。
あの時俺を助けてくれたサテルスは、老練な将軍の一撃を盾で受け止めたのだが、その衝撃に耐えられず、両腕を骨折・・・。瀕死の状態だったのになんて威力だ。
そのせいでサテルスは結果的に無傷状態だった俺とは違い、まだ治療中となっている。命に別状はないけれど、両腕がまともに動かせないせいで食事も一人ではできない哀れな姿かと思いきや、治療小屋の治療師見習いの下級悪魔娘とねんごろになったらしい。下級悪魔同士せいぜい仲良くなればいいさ・・・。最後の最後まであがいた結果なんだから少しは報われるのも有りだろう。
あの後どうなったかと言うと、裏切りを画策していた老練な将軍が死んだせいで、搦め手門は守られ、残った者たちは姉お嬢様悪魔と一緒になって最後の抵抗を試みるのか?みたいなシチュエーションになったらしいのだけれど、悲壮な決意で敵を待っている間に、どっかの偉い悪魔が軍を率いて敵を蹴散らしたのだそうだ。
俺はその時、俺を守ったサテルスが倒れてきたせいで地面に頭を激突させ、意識を失っていたせいで見てはいない。
どうもやってきた偉い悪魔はこの辺り一帯を治める国主?的な立場の悪魔で、領主たちの諍いを止める為に現れたんだとか。俺からしたらふ~ん、だったらもっと早く来いよってなもんだけど、偉い悪魔には偉い悪魔の考えとかもあったんだろうし、どうでもいい。
姉お嬢様悪魔は親である領主の跡を継いで、女性領主となって半減した領地に配属された。残りの半分と敵対していた領主の全部の土地は最後にやってきた偉い国主様に持っていかれたそうなんだが、そっちもどうでもいい。
妹お嬢様悪魔、たしか名前はリアス様とか言うらしいが、彼女は偉い国主様に連れていかれて、形ばかりは側室とかになったとか、実は上級悪魔だけど奴隷みたいな生活になったとか言う噂だ。
そんなのがあの後の周囲の状況。
んで、俺だ。
俺がどうなったかと言うと、農奴に戻ることも無く小さな村を預かる小領主になったあの本陣に居た中級悪魔の下について、この村のインプ達のまとめ役になった。出世と言えば出世なんだろうけど、俺の下にいるのは俺と同じやっぱりインプ。
だらけるは、言う事は効かないは、面倒な事この上ない。
因みに一緒にいたインプも俺の補佐役として、今でも一緒にいる。
サテルスも完治したらこの村に行流するそうだから、なんか砦の中にいた顔見知りが集まった感じがある。なんかの思惑があるのか?
「お頭、今日の予定はどうするんだ?」
いつも一緒にいたインプ。本来インプには名前が無いのだが、俺たちの内部でだけは面倒なので名通称で呼び合う事にした。俺はお頭で、こいつは小頭という勝手な役職をでっちあげての命名だ。いずれサテルスみたいな名前を考えよとは思っているけど、壊滅的にネーミングセンスがなかったので、仮にと言う前提でこれにした。
「んだよ、人がちょっと思い出に浸っているってのに間の悪い奴だ、今日の予定は前から言っているだろ、農奴隊と建築隊に分かれて、お前は農奴、俺は建築のインプを率いるってよ」
この村は小さいながらも、北から南下してくるまた別の悪魔の国主を抑える重要な役割の村なんだとか・・・。なんでそんな重要な村に、敗残兵みたいな俺たちが集められたのか?想像するに、北から南下を画策している国主にたいして俺たちを救ってくれた国主は実は敵対したくなくて、最前線だけど弱小のインプばかりだから気にしないでね?と言いたいのだろうな。
中級や上級の悪魔ばかりを配置すると、敵対準備ととられるかもだから・・・。
なんか悪魔って人を騙して魂を奪ったり、悪魔同士で天地を揺るがす魔法術式を打ち合って世紀末しているイメージだったけど、実はこんなみみっちいやり方もしているみたいだ、今までは農奴として、また雇われ農兵として目の前の事しか見えてなかったけれど、これからは一つの村と言う拠点を足場にしていくからには少しは周りを見ないといけないかもしれない、
あの時、黒猫に約束させられた言葉。人種族に現れる勇者を人からも悪魔からも、天使や神からも守って守って、守りぬけという約束を守るためには、地力が絶対的に必要になるんだからな。
あ。そうそう、ファル先生はどうなったかと言うと、なんと彼女は俺が割り当てられた小屋に同居している。これって同棲?とか一瞬ドギマギしたけど、結局羽虫サイズと同居しても、色恋はありえない。
いっぱい敵を倒して、せめてインプである俺と同じくらいのサイズになってもらえば、その先は、うん、あるかも?はは・・・。
とりあえず今は悪魔の中で少しは力をつけていかなきゃな。
まずは仕事をこなして、出世だ。出世して上級悪魔とも渡り合えるように下級、中級と上がっていかなきゃ。
そんな悠長な事を考えていた俺だったが、そんな甘い考えはすぐに打ち砕かれることになる。
村に飛び込んできた斥候役として配置していた四つ足の悪魔が、北の国主の同行を伝えたからだ。
「北の国主、出陣!」
と。
あの時俺を助けてくれたサテルスは、老練な将軍の一撃を盾で受け止めたのだが、その衝撃に耐えられず、両腕を骨折・・・。瀕死の状態だったのになんて威力だ。
そのせいでサテルスは結果的に無傷状態だった俺とは違い、まだ治療中となっている。命に別状はないけれど、両腕がまともに動かせないせいで食事も一人ではできない哀れな姿かと思いきや、治療小屋の治療師見習いの下級悪魔娘とねんごろになったらしい。下級悪魔同士せいぜい仲良くなればいいさ・・・。最後の最後まであがいた結果なんだから少しは報われるのも有りだろう。
あの後どうなったかと言うと、裏切りを画策していた老練な将軍が死んだせいで、搦め手門は守られ、残った者たちは姉お嬢様悪魔と一緒になって最後の抵抗を試みるのか?みたいなシチュエーションになったらしいのだけれど、悲壮な決意で敵を待っている間に、どっかの偉い悪魔が軍を率いて敵を蹴散らしたのだそうだ。
俺はその時、俺を守ったサテルスが倒れてきたせいで地面に頭を激突させ、意識を失っていたせいで見てはいない。
どうもやってきた偉い悪魔はこの辺り一帯を治める国主?的な立場の悪魔で、領主たちの諍いを止める為に現れたんだとか。俺からしたらふ~ん、だったらもっと早く来いよってなもんだけど、偉い悪魔には偉い悪魔の考えとかもあったんだろうし、どうでもいい。
姉お嬢様悪魔は親である領主の跡を継いで、女性領主となって半減した領地に配属された。残りの半分と敵対していた領主の全部の土地は最後にやってきた偉い国主様に持っていかれたそうなんだが、そっちもどうでもいい。
妹お嬢様悪魔、たしか名前はリアス様とか言うらしいが、彼女は偉い国主様に連れていかれて、形ばかりは側室とかになったとか、実は上級悪魔だけど奴隷みたいな生活になったとか言う噂だ。
そんなのがあの後の周囲の状況。
んで、俺だ。
俺がどうなったかと言うと、農奴に戻ることも無く小さな村を預かる小領主になったあの本陣に居た中級悪魔の下について、この村のインプ達のまとめ役になった。出世と言えば出世なんだろうけど、俺の下にいるのは俺と同じやっぱりインプ。
だらけるは、言う事は効かないは、面倒な事この上ない。
因みに一緒にいたインプも俺の補佐役として、今でも一緒にいる。
サテルスも完治したらこの村に行流するそうだから、なんか砦の中にいた顔見知りが集まった感じがある。なんかの思惑があるのか?
「お頭、今日の予定はどうするんだ?」
いつも一緒にいたインプ。本来インプには名前が無いのだが、俺たちの内部でだけは面倒なので名通称で呼び合う事にした。俺はお頭で、こいつは小頭という勝手な役職をでっちあげての命名だ。いずれサテルスみたいな名前を考えよとは思っているけど、壊滅的にネーミングセンスがなかったので、仮にと言う前提でこれにした。
「んだよ、人がちょっと思い出に浸っているってのに間の悪い奴だ、今日の予定は前から言っているだろ、農奴隊と建築隊に分かれて、お前は農奴、俺は建築のインプを率いるってよ」
この村は小さいながらも、北から南下してくるまた別の悪魔の国主を抑える重要な役割の村なんだとか・・・。なんでそんな重要な村に、敗残兵みたいな俺たちが集められたのか?想像するに、北から南下を画策している国主にたいして俺たちを救ってくれた国主は実は敵対したくなくて、最前線だけど弱小のインプばかりだから気にしないでね?と言いたいのだろうな。
中級や上級の悪魔ばかりを配置すると、敵対準備ととられるかもだから・・・。
なんか悪魔って人を騙して魂を奪ったり、悪魔同士で天地を揺るがす魔法術式を打ち合って世紀末しているイメージだったけど、実はこんなみみっちいやり方もしているみたいだ、今までは農奴として、また雇われ農兵として目の前の事しか見えてなかったけれど、これからは一つの村と言う拠点を足場にしていくからには少しは周りを見ないといけないかもしれない、
あの時、黒猫に約束させられた言葉。人種族に現れる勇者を人からも悪魔からも、天使や神からも守って守って、守りぬけという約束を守るためには、地力が絶対的に必要になるんだからな。
あ。そうそう、ファル先生はどうなったかと言うと、なんと彼女は俺が割り当てられた小屋に同居している。これって同棲?とか一瞬ドギマギしたけど、結局羽虫サイズと同居しても、色恋はありえない。
いっぱい敵を倒して、せめてインプである俺と同じくらいのサイズになってもらえば、その先は、うん、あるかも?はは・・・。
とりあえず今は悪魔の中で少しは力をつけていかなきゃな。
まずは仕事をこなして、出世だ。出世して上級悪魔とも渡り合えるように下級、中級と上がっていかなきゃ。
そんな悠長な事を考えていた俺だったが、そんな甘い考えはすぐに打ち砕かれることになる。
村に飛び込んできた斥候役として配置していた四つ足の悪魔が、北の国主の同行を伝えたからだ。
「北の国主、出陣!」
と。
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