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タフィちゃんVSヒカガミ先輩
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さて、その後はダブルスの試合をやるはずだったんだけど、急遽予定が変わって全部員はある試合を見学することになった。その試合とはなんと現在体育館にいるプレイヤーの中で最高の実力保持者ヒカガミ先輩と、ルーキーって言うほどは誰も実力を知らない自称英語しかしゃべれない謎の美少女タフィちゃんの試合だ。
どうやら私とコウメが試合している中、タフィちゃんがヒカガミ先輩に試合を申し込んだらしい。英語だけしか喋れない設定のタフィちゃんは部内でコウメ以外に英語が堪能なハル先輩に通訳してもらい挑戦状を叩き付けた。
同じバドミントンを志す同士として、年齢差はあるけれどどうしてもこの学校に来た思い出に、最強の人と勝負したい、と。通訳したのがコウメではなくハル先輩なんで、なんか大袈裟な言い方だったけど、ヒカガミ先輩は快く受けて立った。
たぶんヒカガミ先輩、皆の試合ばかり見ていて、自分もやりたかったんじゃないかな?
すごいやる気満タンの表情で、コートで待ち受けるヒカガミ先輩にタフィちゃんは笑顔で立ち向かう。
ゲームスタートの直前、にっこりと微笑んだタフィちゃんの笑顔が印象的だった。ボクはチャレンジするよっと言いたげな。
試合は、もう、本当に異次元の物だった。豪快な一撃で相手を怯ませるタイプかと思っていたヒカガミ先輩のプレイは、驚くほど繊細にコースをつき、緩急自在なショットは目で追うのが大変で疲れてしまう位だ。
たいしてタフィちゃんは宙に浮いているんじゃないかって動きで、小さな体を操りヒカガミ先輩のいじわるショットに対応していく。
両者とも全力で対戦しているのが判る。最初はヒカガミ先輩が手加減するかもしれないよねって思っていたけど、どうやら杞憂みたいだ。ヒカガミ先輩は受けた挑戦は全力で対応するのが礼儀っていう、武士道みたいな人だった。
「あ、ああ~」
今にもタフィちゃんがリードされそうになるたびに、鮮やかステップで重力を無視した動きをする。返すシャトルもとりあえず返すのではなく、ネット際、サイドラインぎりぎりに返している。
点差はほとんど無い。
一回一回のラリーが長く、息を吸う暇も与えられない。
けれど、終わりは唐突にやってきた。縦一メートル横に二メートルくらい飛んだタフィちゃんがシャトルを返した直後、着地したままうごけなくなってしまったのだ。
主審をしていたハル先輩は、一瞬タフィちゃんの顔を見るが躊躇無く試合終了を宣言した。
義経の八艘飛びもかくやの大奮闘だったタフィちゃんだったが、スコアは12-11で負けてしまった。
「なんか、今の本当にバドミントンの試合だった?」
「う、うん、間違いなくバドミントンの試合だったよ、すごいハイレベルすぎて目が追い付かなかったけど、間違いなく」
「そっか~」
横で見ていたコウメの目が涙ぐんでいる。英語で仲良く話していたタフィちゃんがこんなすごい試合をしたことに感動しているんだろう。もちろん私もだ。もおぅタフィちゃんに、すごかったねって言いながら頭を撫でてあげたい。
「あ、あれ?」
ハル先輩に肩を借りたタフィちゃんは、私たちの所には来ないで、体育館の出口に向っていく。出口周辺には来た時に居たスーツ姿の大人たち、そして赤髪の女性がタフィちゃんを心配そうに見つめている。
お母さんかな?お迎えに来たのかも。
スーツ姿の大人たちに囲まれる様にタフィちゃんはそのまま出て行ってしまった。
出口まで肩を貸して戻ってきたハル先輩は
「タフィちゃんは怪我をした可能性もあるので、このまま病院で診てもらってから帰るそうです、インターナショナルスクールの手続きも段取りがついたそうで、我が校での練習も終わりになりました」
と言い、ついで合宿の終わりを宣言したのでした。
なんか、唐突な幕切れだった。ずっと一緒に練習とかできないって判っていたけど、最後に何も言えずにお別れなんて、ちょっと、いやかなりショック。
「行っちゃったねタフィちゃん、なんかもう部員の一人とか勝手に思っていたから残念」
英語が喋れないせいで、いつものコミュ力を発揮できなかったサチでも、こんな風に思ってたんだ。仲良く喋っていたコウメは大丈夫だろうか?と振り向くとコウメは無言で滂沱の涙を流していた。
どうやら私とコウメが試合している中、タフィちゃんがヒカガミ先輩に試合を申し込んだらしい。英語だけしか喋れない設定のタフィちゃんは部内でコウメ以外に英語が堪能なハル先輩に通訳してもらい挑戦状を叩き付けた。
同じバドミントンを志す同士として、年齢差はあるけれどどうしてもこの学校に来た思い出に、最強の人と勝負したい、と。通訳したのがコウメではなくハル先輩なんで、なんか大袈裟な言い方だったけど、ヒカガミ先輩は快く受けて立った。
たぶんヒカガミ先輩、皆の試合ばかり見ていて、自分もやりたかったんじゃないかな?
すごいやる気満タンの表情で、コートで待ち受けるヒカガミ先輩にタフィちゃんは笑顔で立ち向かう。
ゲームスタートの直前、にっこりと微笑んだタフィちゃんの笑顔が印象的だった。ボクはチャレンジするよっと言いたげな。
試合は、もう、本当に異次元の物だった。豪快な一撃で相手を怯ませるタイプかと思っていたヒカガミ先輩のプレイは、驚くほど繊細にコースをつき、緩急自在なショットは目で追うのが大変で疲れてしまう位だ。
たいしてタフィちゃんは宙に浮いているんじゃないかって動きで、小さな体を操りヒカガミ先輩のいじわるショットに対応していく。
両者とも全力で対戦しているのが判る。最初はヒカガミ先輩が手加減するかもしれないよねって思っていたけど、どうやら杞憂みたいだ。ヒカガミ先輩は受けた挑戦は全力で対応するのが礼儀っていう、武士道みたいな人だった。
「あ、ああ~」
今にもタフィちゃんがリードされそうになるたびに、鮮やかステップで重力を無視した動きをする。返すシャトルもとりあえず返すのではなく、ネット際、サイドラインぎりぎりに返している。
点差はほとんど無い。
一回一回のラリーが長く、息を吸う暇も与えられない。
けれど、終わりは唐突にやってきた。縦一メートル横に二メートルくらい飛んだタフィちゃんがシャトルを返した直後、着地したままうごけなくなってしまったのだ。
主審をしていたハル先輩は、一瞬タフィちゃんの顔を見るが躊躇無く試合終了を宣言した。
義経の八艘飛びもかくやの大奮闘だったタフィちゃんだったが、スコアは12-11で負けてしまった。
「なんか、今の本当にバドミントンの試合だった?」
「う、うん、間違いなくバドミントンの試合だったよ、すごいハイレベルすぎて目が追い付かなかったけど、間違いなく」
「そっか~」
横で見ていたコウメの目が涙ぐんでいる。英語で仲良く話していたタフィちゃんがこんなすごい試合をしたことに感動しているんだろう。もちろん私もだ。もおぅタフィちゃんに、すごかったねって言いながら頭を撫でてあげたい。
「あ、あれ?」
ハル先輩に肩を借りたタフィちゃんは、私たちの所には来ないで、体育館の出口に向っていく。出口周辺には来た時に居たスーツ姿の大人たち、そして赤髪の女性がタフィちゃんを心配そうに見つめている。
お母さんかな?お迎えに来たのかも。
スーツ姿の大人たちに囲まれる様にタフィちゃんはそのまま出て行ってしまった。
出口まで肩を貸して戻ってきたハル先輩は
「タフィちゃんは怪我をした可能性もあるので、このまま病院で診てもらってから帰るそうです、インターナショナルスクールの手続きも段取りがついたそうで、我が校での練習も終わりになりました」
と言い、ついで合宿の終わりを宣言したのでした。
なんか、唐突な幕切れだった。ずっと一緒に練習とかできないって判っていたけど、最後に何も言えずにお別れなんて、ちょっと、いやかなりショック。
「行っちゃったねタフィちゃん、なんかもう部員の一人とか勝手に思っていたから残念」
英語が喋れないせいで、いつものコミュ力を発揮できなかったサチでも、こんな風に思ってたんだ。仲良く喋っていたコウメは大丈夫だろうか?と振り向くとコウメは無言で滂沱の涙を流していた。
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