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合宿二日目 謎の美少女現る?
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合宿二日目。
相変わらずの地獄のメニューだけど、二日目にはそれだけじゃない異変があった。もちろん天災が起きたとか、私が寝坊して朝ごはんに間に合わなかったとかは無い。
う、うん、無いよ。ぎりぎりで諸先輩に笑われただけで
サチが夜通し耳元で怪談するのに、イライラして寝れなかったのが理由とか無いよ?
「ぼ~っとしない!声だしてっ」
部員全員で体育館内を走る。
とにかく走る。
バドミントンって本当陸上部の次に走るんじゃないかって位に走る。
最初の日から比べると走りすぎて、足太くなってないかな。
ふくらはぎとかは、完全に筋肉ついてきて固くなってきた実感がある。
と、そんな時、あまりにも場違いなスーツ姿の大人たちが体育館に入ってきた。
掛け声が上の空になり、皆の視線は自然とそちらの方に向く。
顧問の先生と、スーツ姿の間に、ちらりと小さな女の子が見えた。
小麦色に日焼けした長い髪の少女で、小柄で細っ。
見たイメージだけなら、小学生にも見えるくらいだ。
「もぅ、ほら次いくよ~」
コーチ役の先輩が、すばやく雰囲気を察してメニューを次のシャトルランへと切り替える。体育館の端から端まで十名位で横一列に並んでの全力ダッシュだ。
他の組が走っているときは息を整えられるが、ただ走ればいいだけじゃなく、全力って所がポイント。
力を抜いて走っているとすぐに先輩にばれ、追加でダッシュさせられる。
しかもその時は、先輩の先輩方も参加してのプレッシャーランにランクアップするし。
そんなだから、私はもう謎の美少女のことを見てる余裕などなくなり、ダッシュに集中することになった。
はぁ、すきっ腹にきついよ~。
なんとか午前中の練習を切り抜けて、さあもうすぐお昼の時間だ!
これでちょっとはお腹も落ち着きを取り戻すはず。と言う私の淡い期待は見事に裏切られる事になった。
もう隠しようもないお腹の音に、周囲が眉を顰めて、コウメでさえもちょっと厳しい顔だ。これはおかんコウメが出てきて、寝坊して朝ごはんに送遅れるひかるが悪いの、とか言ってるに違いない。
可愛いコウメもよいけど、しっかり者のおかんコウメもたいそう魅力的だね。
「はい、みんな集合、ちょっと急だけど、これから彼女が練習に参加するけどお願いね、先生よりずっと偉い所からの話だから、意見はあると思うけど却下だからね」
三人いる顧問の先生の内、一番若い皐月先生が説明した。他二人の男先生達は、ずっと偉い所の人たちの対応をしているみたい。
さっきのスーツ姿の集団がそうなのだろう。
「※※※※※、※※※※※※」
皐月先生に促されて前に出てきた少女の口から出てきたのは日本語以外の言語。多分英語なんだろうけど、ごめんなさい、私にとっての英語はハローとグッバ~イくらいしか判らない。ニュアンスとしてはたぶん自己紹介なんだろうけど、うん、まったく分からない。英語苦手なんだよね。
「はい、彼女はえっと確か東南アジアの方からの留学生で、今はインターナショナルスクールの入学手続き待ちなのね、それでその間どっかの部活でバドミントンがしたいからって事で急遽今日から参加するの、日本語は出来ないわけじゃないけど、得意なのは英語とジャワ語だから、ここは皆さんの英語力を試すいい機会になるわよ」
その言葉で、すぐに何か言おうとしていたサチが止まる。
たしかサチも私と同じくらいには英語が苦手だったはず。
誰とでも仲良くなれるコミュ力もいきなりの海外の人だと怖気づくみたい。さすがに言語の壁は厚いって事かな。それにジャワ語って何?昔そんな名前のカレーが有ったような気がするけど、カレーの国の関係者って事かな?
そしたら、カレーに一言とか言って、私の国のカレーを馬鹿にするなとか怒られそう・・・。
一方、コウメの方は、目を輝かせてる。
コウメの英語の成績は、正直私とサチを合わせたよりも上だから、もしかしたら意思疎通が出来るのかもしれない。
「ね、ねぇコウメ、彼女さっきはなんて言ってたの?」
「え、簡単だよ、私の名前はタフィって呼んでとか、日本の学校は初めてですとか、バドミントンは八歳の頃からお父さんに習っていましたとかだよ」
すごい、サチが越えられなかった壁をコウメはやすやすと超えていた。
どちらかと言うと人見知り気味なコウメだけど、タフィちゃんとは仲良くなれるかもしれない。
「※※※ ※※※ ※※※※※※ ※※※」
「えっ?えっ何、なんて?」
いつの間にか近くまで来ていたタフィちゃんに何か言われているが、やっぱり全然わかりません。救いを求めてコウメの顔を見る。
サチはと言えば、サチらしく一歩離れた距離で様子を見守っている。自分は話しかけられないけれど、興味はあるって感じだ。
「えっとね、貴方、ってひかるの事ね、ひかるは手足が長くてとってもバトミントンプレーヤーにとって羨ましいスタイルしているって言ってる、それと一緒に練習しましょうって」
はい?
手足が長くてスタイルが良いですと?
なんですかそれは。
最近手足が筋肉で太くなってきて、固そうとかの間違いじゃないの。コウメの翻訳間違いかも?
「※※※ ※※※※※ ※※※※※※※」
「ちょっと足を見て、私は手足が短くてその分一杯動かなきゃいけないから、ひかるが羨ましいって言ってる」
「ちょっとちょっと、コウメ~タフィちゃんに私が初心者でまだバドミントンの経験は三か月しかないって伝えて~褒められ死にしちゃうから~」
「はいはい分かった、ちょっと待ってね」
流暢な英語で二人が話し出す。そばで聞いてる私にはまったくついていけない、わかったのはたまに出てくる固有名詞だけだ。
相変わらずの地獄のメニューだけど、二日目にはそれだけじゃない異変があった。もちろん天災が起きたとか、私が寝坊して朝ごはんに間に合わなかったとかは無い。
う、うん、無いよ。ぎりぎりで諸先輩に笑われただけで
サチが夜通し耳元で怪談するのに、イライラして寝れなかったのが理由とか無いよ?
「ぼ~っとしない!声だしてっ」
部員全員で体育館内を走る。
とにかく走る。
バドミントンって本当陸上部の次に走るんじゃないかって位に走る。
最初の日から比べると走りすぎて、足太くなってないかな。
ふくらはぎとかは、完全に筋肉ついてきて固くなってきた実感がある。
と、そんな時、あまりにも場違いなスーツ姿の大人たちが体育館に入ってきた。
掛け声が上の空になり、皆の視線は自然とそちらの方に向く。
顧問の先生と、スーツ姿の間に、ちらりと小さな女の子が見えた。
小麦色に日焼けした長い髪の少女で、小柄で細っ。
見たイメージだけなら、小学生にも見えるくらいだ。
「もぅ、ほら次いくよ~」
コーチ役の先輩が、すばやく雰囲気を察してメニューを次のシャトルランへと切り替える。体育館の端から端まで十名位で横一列に並んでの全力ダッシュだ。
他の組が走っているときは息を整えられるが、ただ走ればいいだけじゃなく、全力って所がポイント。
力を抜いて走っているとすぐに先輩にばれ、追加でダッシュさせられる。
しかもその時は、先輩の先輩方も参加してのプレッシャーランにランクアップするし。
そんなだから、私はもう謎の美少女のことを見てる余裕などなくなり、ダッシュに集中することになった。
はぁ、すきっ腹にきついよ~。
なんとか午前中の練習を切り抜けて、さあもうすぐお昼の時間だ!
これでちょっとはお腹も落ち着きを取り戻すはず。と言う私の淡い期待は見事に裏切られる事になった。
もう隠しようもないお腹の音に、周囲が眉を顰めて、コウメでさえもちょっと厳しい顔だ。これはおかんコウメが出てきて、寝坊して朝ごはんに送遅れるひかるが悪いの、とか言ってるに違いない。
可愛いコウメもよいけど、しっかり者のおかんコウメもたいそう魅力的だね。
「はい、みんな集合、ちょっと急だけど、これから彼女が練習に参加するけどお願いね、先生よりずっと偉い所からの話だから、意見はあると思うけど却下だからね」
三人いる顧問の先生の内、一番若い皐月先生が説明した。他二人の男先生達は、ずっと偉い所の人たちの対応をしているみたい。
さっきのスーツ姿の集団がそうなのだろう。
「※※※※※、※※※※※※」
皐月先生に促されて前に出てきた少女の口から出てきたのは日本語以外の言語。多分英語なんだろうけど、ごめんなさい、私にとっての英語はハローとグッバ~イくらいしか判らない。ニュアンスとしてはたぶん自己紹介なんだろうけど、うん、まったく分からない。英語苦手なんだよね。
「はい、彼女はえっと確か東南アジアの方からの留学生で、今はインターナショナルスクールの入学手続き待ちなのね、それでその間どっかの部活でバドミントンがしたいからって事で急遽今日から参加するの、日本語は出来ないわけじゃないけど、得意なのは英語とジャワ語だから、ここは皆さんの英語力を試すいい機会になるわよ」
その言葉で、すぐに何か言おうとしていたサチが止まる。
たしかサチも私と同じくらいには英語が苦手だったはず。
誰とでも仲良くなれるコミュ力もいきなりの海外の人だと怖気づくみたい。さすがに言語の壁は厚いって事かな。それにジャワ語って何?昔そんな名前のカレーが有ったような気がするけど、カレーの国の関係者って事かな?
そしたら、カレーに一言とか言って、私の国のカレーを馬鹿にするなとか怒られそう・・・。
一方、コウメの方は、目を輝かせてる。
コウメの英語の成績は、正直私とサチを合わせたよりも上だから、もしかしたら意思疎通が出来るのかもしれない。
「ね、ねぇコウメ、彼女さっきはなんて言ってたの?」
「え、簡単だよ、私の名前はタフィって呼んでとか、日本の学校は初めてですとか、バドミントンは八歳の頃からお父さんに習っていましたとかだよ」
すごい、サチが越えられなかった壁をコウメはやすやすと超えていた。
どちらかと言うと人見知り気味なコウメだけど、タフィちゃんとは仲良くなれるかもしれない。
「※※※ ※※※ ※※※※※※ ※※※」
「えっ?えっ何、なんて?」
いつの間にか近くまで来ていたタフィちゃんに何か言われているが、やっぱり全然わかりません。救いを求めてコウメの顔を見る。
サチはと言えば、サチらしく一歩離れた距離で様子を見守っている。自分は話しかけられないけれど、興味はあるって感じだ。
「えっとね、貴方、ってひかるの事ね、ひかるは手足が長くてとってもバトミントンプレーヤーにとって羨ましいスタイルしているって言ってる、それと一緒に練習しましょうって」
はい?
手足が長くてスタイルが良いですと?
なんですかそれは。
最近手足が筋肉で太くなってきて、固そうとかの間違いじゃないの。コウメの翻訳間違いかも?
「※※※ ※※※※※ ※※※※※※※」
「ちょっと足を見て、私は手足が短くてその分一杯動かなきゃいけないから、ひかるが羨ましいって言ってる」
「ちょっとちょっと、コウメ~タフィちゃんに私が初心者でまだバドミントンの経験は三か月しかないって伝えて~褒められ死にしちゃうから~」
「はいはい分かった、ちょっと待ってね」
流暢な英語で二人が話し出す。そばで聞いてる私にはまったくついていけない、わかったのはたまに出てくる固有名詞だけだ。
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