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幼女転生
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酷い……
あまりにも酷い!
信じていたのに……
ママと共にボールで遊んでいたわたしの頭に聞き覚えのある声が響く。
あ!
先ほどまでボールと戯れていた楽しい気持ちが吹き飛び、怒りと悲しみが心を黒く染め上げる。
この気持ちはわたしのじゃない、俺の思いだ!
明日で三歳になるこの日、私は前世の記憶を思い出すと同時に衝撃によろめき、気を失って倒れた。
目を覚ますと東欧風銀髪巨乳美女が心配そうな顔でわたしを見つめていた。
「サーシャ、だんない?」
ママが心配そうに問いかけながらわたしの頭をなでる。
「だんないえ、まま」
歳のせいか滑舌の良くない口調で私が答える。
どうやら倒れた後ママがベッドまで運んでくれたようだ。
わたしのなまえは橘アレクサンドラユウキ、あしたでさんさいになるおんなのこだ。
ママはもとサッカーのだいひょうのせんしゅだったが、にほんのちーむにいせきしてパパたちとしりあってむすばれてからずっとにほんにすんでてわたしをうんだ。
なんかあたまがむずむずする。
「サーシャ、まだ調子良うないねんな? あんじょうしよし」
ママにそう促されわたしはまた眠る。
夢の中に前世のわたしの記憶が流れ込む。
わたしは三十八年間デブ・チビ・ハゲ・不細工と馬鹿にされながら、それに負けまいと努力を重ね、世間で勝ち組と言われる収入を得ていた。
そんな俺に対して初めて
『人の価値は外見じゃない』
と公言し、俺の事を愛していると言ってくれた女が、裏で他の男に俺の稼いだ金を貢ぎ、
『やっぱイケメンの方が抱かれがいはあるね』
と俺の事を嘲笑っていたことを知り全てに絶望した。
そこで一瞬意識が途切れるが、逆上した俺は女と間男を殺したようだ。
地獄の獄卒も真っ青になるむごたらしい殺し方で嬲り殺しにするとそのあと崖から車ごとダイブした。
そして視界に映る綺麗な星空を目にし、生まれ変わって女になっても外見で男を見下さないような女性になりたいと願ったことを思い出した。
女の子に生まれたんだから外見で男を差別しない女にならないとな……
そう、この世界がどういう世界であってもそれだけは守らなければ。
今世で女として生まれてきてからの記憶が前世の記憶と混じりあう。
この世界は前世と違い医療技術が低い時代が長かったらしい。
その為男の子は赤ん坊の内に亡くなる場合がほとんどで、男の子が多く生まれるが育つのは一割を超えるかどうか? 程度だったらしい。
だが百年ほど前に医療技術に革命的進歩があり、男児乳幼児の死亡率が激減した。
結果として男女の出産比率が9:1ほどだったのがそのままに、男児が増え続け生殖可能な男女比が99:1を超えるという超女性希少化社会になってしまった。
そして社会は一妻多夫が当たり前になり、どんなに外見に恵まれていない女性でもオタサーの姫のように持て囃される。
そんな社会で美人で巨乳で性格も良いママはプロのサッカー選手として、治安のいい日本に活動の拠点を移したのは女性が希少で引く手数多であれば当然だろう。ましてや女側に無数の選択肢があるのであれば尚更だ。
ママは日本で橘グループという財閥を主導する立場の橘本家に嫁入りし、橘家当主であるパパを始めパパの兄弟や親戚の人たちの子供を産んでいるらしい。
ちなみにママの日本語がおかしいのは、初来日時に所属したクラブが京都にあり、そこで日本語を学んだせいらしい。
素直なママは京都の人がナチュラルに持つ嫌味を含まない、毒のない京風訛りを喋るのが非常に良い!
今世のわたしもママの口調につられたせいか? 怪しげな京言葉のようになっている。
方言女子はストライクなのでこの怪しげな方言路線は維持しようと汚れたおっさんの欲求に固く誓う。
わたしにはお兄様達がいるらしいが今のところ会ったことはない。
何故なら本家では唯一の女の子であり、箱入り娘として蝶よ花よと育てられているからだ。
女に飢えた兄たちに会わせるなどとんでもない! 自分たち父親たちですら滅多に会えないのに!
というのがパパたちの間での主流の意見らしい。
なのでわたしは生まれてからママと希少な女性のお手伝いさん、それとたまに会えるパパたちしか人に会ったことがない。
ママは若い頃に現役を引退しているので、娘であるわたしには世界を舞台にして活躍するサッカー選手になって欲しいようで乳飲み子の頃からボールを与えられそれで遊ぶように仕向けられていた。
でも現代の世界的な女子プロスポーツ選手は成績以上に求められることが多い。
バキバキに鍛え上げて試合の成績だけで評価されるトッププレイヤーもいるが、基本的に女子の試合を見にくるお客さんは性的な視点で見ているらしく、外見が性癖に合う選手が人気で、人気のある選手には歌や踊りが求められる。
処女性を希少視し重要視する人も多く男の影がない方が良いという人が多い一方、グラビアでマイクロビキニで挑発的なポーズをとる選手を好む人もまた多いとか。
これは性癖の違いでしかないがプロでやっていくなら市場の動向は知っておくべきだろう。
わたしは日本人のきめ細やかな肌を持ちながら、美少女であったママにそっくりで銀髪もママから受け継いでいる。
多分このまま大きくなったらママに和風なアレンジを加えた超絶巨乳美少女に育つだろう。
髪は伸ばしてツィンテールにしたいな。
前世の好みで眼鏡もかけよう。
とりあえずローティーンからミドルティーンにかけては
『男の人なんて興味ありません』
という路線で売って、同じチームの可愛い子との百合ップル……いや百合ハーレムの女王として売り出し、この世界は13歳で結婚可能ならしいからそれ以降は男もイケますに路線変更すればいいか?
どうせ家の都合でどこかに嫁には行かないといけないだろうし、前世の記憶が入って抵抗感はあるがここまで、そしてこれからも恵まれた育ちを提供してくれる家に利益をもたらす必要はあるだろう。
それは仕方ない。
この世界ではまだ精子同士や卵子同士から子供を作る技術はなさそうだし、卵子を提供して体外で育てるのも無理だ。
嫁に行くまでに何とか受け入れられるようにするしかないだろう。
セックスは女に出産というリスクがある分何倍も気持ちいいという話も聞いたことあるし、ここ百年の医療革命で媚薬の類は異常に発展した。
いざとなればそれに頼ればいい。
前世の記憶と今世の記憶が入り交じり人格に影響が出ていく。
わたしはこの世で何を成し遂げるべきか?
時間はまだある、ゆっくり考えればいい……そう思い至ると深い眠りにつくのだった。
あまりにも酷い!
信じていたのに……
ママと共にボールで遊んでいたわたしの頭に聞き覚えのある声が響く。
あ!
先ほどまでボールと戯れていた楽しい気持ちが吹き飛び、怒りと悲しみが心を黒く染め上げる。
この気持ちはわたしのじゃない、俺の思いだ!
明日で三歳になるこの日、私は前世の記憶を思い出すと同時に衝撃によろめき、気を失って倒れた。
目を覚ますと東欧風銀髪巨乳美女が心配そうな顔でわたしを見つめていた。
「サーシャ、だんない?」
ママが心配そうに問いかけながらわたしの頭をなでる。
「だんないえ、まま」
歳のせいか滑舌の良くない口調で私が答える。
どうやら倒れた後ママがベッドまで運んでくれたようだ。
わたしのなまえは橘アレクサンドラユウキ、あしたでさんさいになるおんなのこだ。
ママはもとサッカーのだいひょうのせんしゅだったが、にほんのちーむにいせきしてパパたちとしりあってむすばれてからずっとにほんにすんでてわたしをうんだ。
なんかあたまがむずむずする。
「サーシャ、まだ調子良うないねんな? あんじょうしよし」
ママにそう促されわたしはまた眠る。
夢の中に前世のわたしの記憶が流れ込む。
わたしは三十八年間デブ・チビ・ハゲ・不細工と馬鹿にされながら、それに負けまいと努力を重ね、世間で勝ち組と言われる収入を得ていた。
そんな俺に対して初めて
『人の価値は外見じゃない』
と公言し、俺の事を愛していると言ってくれた女が、裏で他の男に俺の稼いだ金を貢ぎ、
『やっぱイケメンの方が抱かれがいはあるね』
と俺の事を嘲笑っていたことを知り全てに絶望した。
そこで一瞬意識が途切れるが、逆上した俺は女と間男を殺したようだ。
地獄の獄卒も真っ青になるむごたらしい殺し方で嬲り殺しにするとそのあと崖から車ごとダイブした。
そして視界に映る綺麗な星空を目にし、生まれ変わって女になっても外見で男を見下さないような女性になりたいと願ったことを思い出した。
女の子に生まれたんだから外見で男を差別しない女にならないとな……
そう、この世界がどういう世界であってもそれだけは守らなければ。
今世で女として生まれてきてからの記憶が前世の記憶と混じりあう。
この世界は前世と違い医療技術が低い時代が長かったらしい。
その為男の子は赤ん坊の内に亡くなる場合がほとんどで、男の子が多く生まれるが育つのは一割を超えるかどうか? 程度だったらしい。
だが百年ほど前に医療技術に革命的進歩があり、男児乳幼児の死亡率が激減した。
結果として男女の出産比率が9:1ほどだったのがそのままに、男児が増え続け生殖可能な男女比が99:1を超えるという超女性希少化社会になってしまった。
そして社会は一妻多夫が当たり前になり、どんなに外見に恵まれていない女性でもオタサーの姫のように持て囃される。
そんな社会で美人で巨乳で性格も良いママはプロのサッカー選手として、治安のいい日本に活動の拠点を移したのは女性が希少で引く手数多であれば当然だろう。ましてや女側に無数の選択肢があるのであれば尚更だ。
ママは日本で橘グループという財閥を主導する立場の橘本家に嫁入りし、橘家当主であるパパを始めパパの兄弟や親戚の人たちの子供を産んでいるらしい。
ちなみにママの日本語がおかしいのは、初来日時に所属したクラブが京都にあり、そこで日本語を学んだせいらしい。
素直なママは京都の人がナチュラルに持つ嫌味を含まない、毒のない京風訛りを喋るのが非常に良い!
今世のわたしもママの口調につられたせいか? 怪しげな京言葉のようになっている。
方言女子はストライクなのでこの怪しげな方言路線は維持しようと汚れたおっさんの欲求に固く誓う。
わたしにはお兄様達がいるらしいが今のところ会ったことはない。
何故なら本家では唯一の女の子であり、箱入り娘として蝶よ花よと育てられているからだ。
女に飢えた兄たちに会わせるなどとんでもない! 自分たち父親たちですら滅多に会えないのに!
というのがパパたちの間での主流の意見らしい。
なのでわたしは生まれてからママと希少な女性のお手伝いさん、それとたまに会えるパパたちしか人に会ったことがない。
ママは若い頃に現役を引退しているので、娘であるわたしには世界を舞台にして活躍するサッカー選手になって欲しいようで乳飲み子の頃からボールを与えられそれで遊ぶように仕向けられていた。
でも現代の世界的な女子プロスポーツ選手は成績以上に求められることが多い。
バキバキに鍛え上げて試合の成績だけで評価されるトッププレイヤーもいるが、基本的に女子の試合を見にくるお客さんは性的な視点で見ているらしく、外見が性癖に合う選手が人気で、人気のある選手には歌や踊りが求められる。
処女性を希少視し重要視する人も多く男の影がない方が良いという人が多い一方、グラビアでマイクロビキニで挑発的なポーズをとる選手を好む人もまた多いとか。
これは性癖の違いでしかないがプロでやっていくなら市場の動向は知っておくべきだろう。
わたしは日本人のきめ細やかな肌を持ちながら、美少女であったママにそっくりで銀髪もママから受け継いでいる。
多分このまま大きくなったらママに和風なアレンジを加えた超絶巨乳美少女に育つだろう。
髪は伸ばしてツィンテールにしたいな。
前世の好みで眼鏡もかけよう。
とりあえずローティーンからミドルティーンにかけては
『男の人なんて興味ありません』
という路線で売って、同じチームの可愛い子との百合ップル……いや百合ハーレムの女王として売り出し、この世界は13歳で結婚可能ならしいからそれ以降は男もイケますに路線変更すればいいか?
どうせ家の都合でどこかに嫁には行かないといけないだろうし、前世の記憶が入って抵抗感はあるがここまで、そしてこれからも恵まれた育ちを提供してくれる家に利益をもたらす必要はあるだろう。
それは仕方ない。
この世界ではまだ精子同士や卵子同士から子供を作る技術はなさそうだし、卵子を提供して体外で育てるのも無理だ。
嫁に行くまでに何とか受け入れられるようにするしかないだろう。
セックスは女に出産というリスクがある分何倍も気持ちいいという話も聞いたことあるし、ここ百年の医療革命で媚薬の類は異常に発展した。
いざとなればそれに頼ればいい。
前世の記憶と今世の記憶が入り交じり人格に影響が出ていく。
わたしはこの世で何を成し遂げるべきか?
時間はまだある、ゆっくり考えればいい……そう思い至ると深い眠りにつくのだった。
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しばらくは他作品を優先するため不定期更新になると思います。
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