銀色の精霊族と鬼の騎士団長

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五章 スイ、男娼デビューする

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「……めちゃくちゃ怒ってたに決まってるだろ。お前が馬鹿なことするからだぞ」
「ご、ごめん! 本当に悪かった!」

 スイは必死に謝った。

「だから一人にしないでくれ! 反省してるから、きみからエリトに取りなしてくれないか? きみの言うことならエリトも耳を貸すだろ? 信頼してるもんな?」

 激怒するエリトと二人きりになるのは怖い。しかし、フラインはスイの懇願を片手でいなした。

「今回は完全にお前が悪い。エリトが怒るのもしょうがない。というか俺も怒ってるから。エリトが来なかったらお前本当に危なかったんだぞ? ああいうところを甘く見るんじゃない」
「うっ……」
「これからは行動する前にもうちょっと考えろよ」
「はい……」

 フラインはスイの鼻先でばたんと扉を閉めた。逃げ道を断たれ、スイは仕方なくそこにあった椅子に腰かけた。

「うう……帰りたい……」

 エリトが来ないうちにこっそり帰ってしまおうか。そんなことを思ったが、しばらくもしないうちに扉が開いて部屋の主が入ってきた。スイはさっと椅子から立ち上がる。

「お、おかえり……」

 愛想笑いをしてねぎらうように声をかける。エリトはそれを無視して、マントと上着を脱いで書斎机の上に放り投げた。

「さて。約束通り、たっぷりしてやるからな?」

 にっこり。こんなに怖い笑顔がこの世に存在することを、スイは初めて知った。



 くちゅりと水音を立てて中をかきまわされ、スイは白い喉をのけぞらせた。

「あ、ああっ」

 スイはカウチソファに転がされ、後ろに指を突っこまれている。のしかかったエリトの大きな左手がスイの両手を頭上に縫い止めているので、逃げたくても逃げられない。服はあっという間にすべて脱がされた。

「ふあ、あ、やだ、や……っ」

 いつの間にか指は二本に増えており、否応なく高められていく。しかし、いいところをかすめるばかりで達しそうで達せられない。その状態でもてあそばれ続け、スイはいやいやと頭を振った。

「あ、あっ……、それ、いや……っ」

 頭上でエリトがくすりと笑う。

「せっかくたっぷりしてやってるのに」
「ああっ!」

 ぐりっとしこりをこすられて腰が跳ねたが、すぐに指が離れていってしまう。

「ううー……」

 スイは下唇を噛んだ。わざと達しないようにされている。

「こ……こうしてほしいなんて言ってない!」
「そう? ああ、もっとしてってこと?」
「ん、あ!」

 ぐっと指が奥に差しこまれる。ひっかくようにしてぐちゅぐちゅと出し入れされ、真っ白な快感が登ってきた。

「ひあっ、あ、あっ!」

 イきそう、と思ったとき、するりと指が引き抜かれた。

「ぁあ……な、なんで……」

 エリトをにらみつけると、エリトは捕食者の笑みを浮かべた。

「指責めが好きな客だっているかもしれないだろ? 勉強のためだと思って、がんばれよ」
「な、なに言っ……あうっ」

 再び指に押し入られた。すっかり中は溶けていてエリトの指を締め付ける。誘うようにひくつく淫靡なそこに、エリトは思わず笑みをこぼした。

「ん、ふっ、っあ」

 エリトはスイの体をよく知っている。イかせることはもちろん、イけないぎりぎりの部分だけを責め続けることもできる。

 達しそうになり、足がぴんと伸びるとすぐに指が引っこめられる。それを何度も繰り返され、スイの頭の中はどろどろだった。後ろはすっかり赤く花開いてもうちょっとの刺激を待ちわびている。もう自分でしごいて達したい。そう思って両手の拘束を抜けようとしたが、いくら引っ張ってもエリトの左手は石のように動かない。

「こら。一人でイこうとすんな」

 エリトはスイの考えなどおみとおしだ。

「うう……、っすん」

 ついにスイの目から涙がこぼれ落ちた。ぐすぐすと泣き始めたスイをエリトは目を細めて見下ろす。

「あー……泣き顔かわい……」

 ぼそりとそんなことを呟かれ、スイは絶望的な心地になった。エリトはスイが泣いてよがるのを楽しんでいる。この体力馬鹿は一晩中でも喜んでスイを責め続けるに違いない。

 スイは中の指をいいところに当てようと腰をゆらした。

「んん……」
「自分で気持ちいいとこ探してんの?」

 スイはきっとエリトをにらんだ。

「お前が、意地悪するから……!」
「イきたい?」
「い……」
「それともこのままがいい?」
「いや……」
「どっち」
「い、イかせて……」

 恥ずかしすぎて目をそらしながら言うと、頭上でなぜかエリトがため息をついた。

「はあ……やべえな……」

 エリトはスイの両手をつかんでいた左手を離し、スイの目尻の涙をすっと拭ってからスイを抱き起こした。

「おいで」

 ソファに腰かけたエリトが手を広げた。上に乗れということらしい。スイはおずおずとエリトにまたがり、肩に手を置いた。

 エリトはズボンの前をくつろげ、スイの腰をつかんで臨戦態勢のものの上におろした。とろとろの秘部はぐじゅんと卑猥な音を立てて怒張を飲みこんだ。

「あぁ……!」

 あまりの気持ちよさにスイの腰がびくびくと震える。しかしエリトはスイを抱きかかえたまま動かない。スイがきょとんとすると、エリトはスイを抱き寄せて胸の飾りを舌で転がした。

「あ、んっ、あ」

 ぴんととがった突起をなめられると、じんわりと下腹部が熱くなる。もう片方は指でこねられた。

「ひ、あ、……っ」

 エリトのせいでいつの間にやら乳首も感じるようにされてしまっている。スイは胸に与えられる刺激に息を荒げたが、それだけでは達せられない。中に居座るものでたくさん突いてほしいのに。

 胸をいじられながら中をきゅっと締め付けてしまい、エリトはくわえていた突起を離した。

「なに? そんなに中ひくつかせて」
「だ、だって……」
「なんだよ。今こっちいじってやってるだろ」

 指で胸をぴんとはじかれ、スイは痛さと気持よさにびくっと震えた。

「んっ」
「ほら、こっちも好きだろ」
「そ、そうじゃなくて……」
「ん?」
「なんで、動かないの……?」

 エリトはにやりとほくそ笑んだ。

「動いてほしい?」
「そりゃ……まあ……」
「でもここ狭いし。自分で動いて」
「え」

 エリトはカウチソファに座っているが、確かに大柄なエリトにこのソファは少し小さい。奥まで腰かけているのにだいぶ膝がソファから飛び出している。

 スイはしぶしぶ自分で腰を浮かした。エリトの肩につかまって力を抜き、腰をおろす。

「んあっ」

 自重で最奥まで貫かれ、スイは体中を走るしびれにあえぎ声を上げた。快楽の種を見つけてしまい、貪欲にエリトの上で腰を振った。

「んうっ、は、あ、あっ……」

 気持ちが良くてとまらない。スイは必死に腰を動かした。だが狭いソファの上ではいまいちバランスがとれず、エリトの足からずり落ちそうになった。すかさずエリトが抱きとめてくれたが、この調子では達することができない。

「……エリト」
「なんだよ」

 エリトは一向に自分で動こうとはしない。スイは恥ずかしいやら情けないやらで、顔を真っ赤にして涙ながらに訴えた。

「ごめんってば! 今日のことは謝るから、動いてよっ」
「ああ? もうちょっとがんばれよ」

 エリトはスイの脇腹をするりとなでる。スイはエリトの肩に思いきり爪を立てた。

「エリトっ」
「いててて、わかったよ。悪かったって」

 エリトはスイを抱きしめながら立ち上がった。

「よっと」
「!? わっ」

 後ろに入れられたまま持ち上げられ、スイは慌ててエリトの首にしがみついた。エリトはそのまま部屋を歩き、書斎机とセットの大きな肘掛け椅子に腰かけた。

 ほっとしたのもつかの間、いきなり下から突き上げられて脳天に快感がたたきつけられた。

「んあああっ!」

 そのままぐちゅぐちゅと激しく出し入れされる。

「ああ! あっああっ、あ、ひっ!」

 急に強烈な快楽を与えられてスイは白濁を散らした。ぴくぴくと足が痙攣する。

「あっあっあっ、い、あっ」

 スイが達しているあいだもエリトは容赦なく動き続けた。スイはずっと達しているような感覚を味わった。自身からはとろりと白濁が流れ続け、エリトのシャツを汚していく。

「あーっ、あっ、も、やあっ……」

 強すぎる快楽に涙がこぼれた。エリトはスイの後頭部をつかんで引き寄せ、かみつくようにキスをした。スイは揺さぶられながらエリトの舌に自分の舌を絡めた。

「んん……っ」

 エリトは一度自身を抜くとスイを立たせて机に手を突かせ、後ろから突っこんだ。スイは周囲のことなど考えずにあえぎまくった。初めて会う客相手なんてとんでもない、エリトじゃないとこんなに気持ちよくならない。

 エリトが達し、ずるりと中から半身が引き抜かれた。ぼたりと白濁が床に落ちる。

「う……」

 しかしエリトは気にせずスイの秘部に指を突っこんで出したものを掻き出した。恥ずかしい染みが床にできてしまい、スイは慌ててその辺にあった書き損じの紙でぬぐってきれいにした。

「さて帰るか」

 用事は済んだとばかりにエリトが言う。

「……このためにおれをここに呼んだのか?」

 スイの質問は黙殺された。エリトは書斎机の上にあったいくつかの書類にさっとサインをすると、それを持って部屋を出て行き、しばらくして手ぶらで戻ってきた。どうやらエリトの裁可を待っていた団員がまだ残っていたようだ。

「先にやれよそんなの……」

 二人がおっぱじめてしまったせいで夜中近くまで待たされた団員に、スイは心の中で謝罪した。というか声が聞こえていなかったか心配だ。かなり大きい声を出してしまった気がするが。大丈夫だったと思いたい。
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