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第87話 才能開花ですね
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それからはエリスは実戦でも魔法を使い続けた。
制御の乱れが無いか安定されられるかの検証を行う為だ。
結論から言うと問題が無い事が確認出来た。
レイナによるエリスの治療は上手くいったという事だろう。
エリスは昔を思い出して胸が痛む事もあるが、魔法制御に支障が出る程では無く安定している。
こうなるとエリスにとって、周りの魔物達は相手にならない。
エリスは大規模な魔法を展開する事も可能になったが、既存の通常魔法の威力も増大した。
魔力制御が安定した事で元々持っていた膨大な魔力を十全に使えるようになり才能が一気に開花した形だ。
護衛無しでも一人で国間を行き来出来る程の成長を見せる。
その結果からエリスはレイナに礼を言う。
「ありがとう。レイナ、貴女のお陰だわ」
「あらエリス様、名前で呼んでくださるのですね」
レイナはエリスの中で、その他大勢の貴女呼びから名前呼びに昇格した様だ。
「わ、私は真面目な話をしているのよ!」
「はい。エリス様のお役に立てて良かったです」
これは嘘では無くレイナの素直な気持ちだ。
エリスも照れくさそうにしているが、レイナへの感謝の気持ちは本物なのだろう。
見せる笑顔も今までと違い、憑き物が落ちたような晴れやかなものになった。
自分の能力が人の心にも作用したのは不思議だが、エリスの力になれたのだから良しとしようとレイナは思う。
エリスの護衛達にもレイナはお礼を言われた。
今回の魔物から守った事もそうだが、エリスの悩みを解決した事が一番の理由らしい。
周りには隠していたつもりだったみたいだが、エリスが悩んでいた事は見抜かれていた様だ。
周囲の心配事を解決出来た事はレイナとしても嬉しい。
「これでニコラ様とも仲良く出来ますね」
わだかまりが解決出来たのだから問題ないはずであり、姉弟が喧嘩状態なのも良くないだろう。
レイナは提案する。
「……そうね。私も大人にならないといけないわね」
「はい。それがいいかと思います」
「でもニコラ、絶対に嫌みを言うわよね?」
「それは間違いないかと!」
「やっぱりそうよね!」
その時のニコラを想像すると思わず二人で笑ってしまう。
エリスとレイナは随分と打ち解けたようだ。
それから数日、問題なく進み対に魔法学園へ到着した。
エリスを無事に学園に届ける事にレイナ達は成功する。
レイナも護衛など初めての経験なので緊張していた様で、任務を完遂出来た事に安堵する。
「みんなお疲れ様。レイナもありがとう」
エリスは感謝と皆の労をねぎらう。
後は数日この付近の観光をしたりして、イーサン達にお土産でも買おうかと想像してレイナの心は踊る。
その時、レイナ達の頭上を黒い影が通り過ぎた。
「な、何あれ!」
巨大な生物にレイナは驚く。
「ド、ドラゴンだ!」
誰かが叫ぶ。
それは圧倒的な体躯と迫力でありレイナは身構える。
「魔物……、敵なの?」
レイナはどうやってエリスを守ろうかと考えを巡らせる。
まともにやりあってもどうにもならないだろう。
全力で逃げる方法を考えるしかない。
しかしエリスはレイナに答えるように言った。
「あれは、味方よ! 緊急時に使用される【飛竜】よ!」
エリスの話によるとイブライン王国で手懐けている魔物であり、襲われる事はない様だ。
「あそこに降りるぞ!」
【飛竜】と呼ばれたそれは高度を落とし着陸態勢を取った。
「レイナも行くわよ!」
「はい!」
レイナを含めた全員で【飛竜】元へと向かう。
※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※
いつもご覧いただきありがとうございます。
現在、最終話(92話)を執筆中です。
更新は10月23日予定です。
よろしくお願いいたします。 かるぼな
制御の乱れが無いか安定されられるかの検証を行う為だ。
結論から言うと問題が無い事が確認出来た。
レイナによるエリスの治療は上手くいったという事だろう。
エリスは昔を思い出して胸が痛む事もあるが、魔法制御に支障が出る程では無く安定している。
こうなるとエリスにとって、周りの魔物達は相手にならない。
エリスは大規模な魔法を展開する事も可能になったが、既存の通常魔法の威力も増大した。
魔力制御が安定した事で元々持っていた膨大な魔力を十全に使えるようになり才能が一気に開花した形だ。
護衛無しでも一人で国間を行き来出来る程の成長を見せる。
その結果からエリスはレイナに礼を言う。
「ありがとう。レイナ、貴女のお陰だわ」
「あらエリス様、名前で呼んでくださるのですね」
レイナはエリスの中で、その他大勢の貴女呼びから名前呼びに昇格した様だ。
「わ、私は真面目な話をしているのよ!」
「はい。エリス様のお役に立てて良かったです」
これは嘘では無くレイナの素直な気持ちだ。
エリスも照れくさそうにしているが、レイナへの感謝の気持ちは本物なのだろう。
見せる笑顔も今までと違い、憑き物が落ちたような晴れやかなものになった。
自分の能力が人の心にも作用したのは不思議だが、エリスの力になれたのだから良しとしようとレイナは思う。
エリスの護衛達にもレイナはお礼を言われた。
今回の魔物から守った事もそうだが、エリスの悩みを解決した事が一番の理由らしい。
周りには隠していたつもりだったみたいだが、エリスが悩んでいた事は見抜かれていた様だ。
周囲の心配事を解決出来た事はレイナとしても嬉しい。
「これでニコラ様とも仲良く出来ますね」
わだかまりが解決出来たのだから問題ないはずであり、姉弟が喧嘩状態なのも良くないだろう。
レイナは提案する。
「……そうね。私も大人にならないといけないわね」
「はい。それがいいかと思います」
「でもニコラ、絶対に嫌みを言うわよね?」
「それは間違いないかと!」
「やっぱりそうよね!」
その時のニコラを想像すると思わず二人で笑ってしまう。
エリスとレイナは随分と打ち解けたようだ。
それから数日、問題なく進み対に魔法学園へ到着した。
エリスを無事に学園に届ける事にレイナ達は成功する。
レイナも護衛など初めての経験なので緊張していた様で、任務を完遂出来た事に安堵する。
「みんなお疲れ様。レイナもありがとう」
エリスは感謝と皆の労をねぎらう。
後は数日この付近の観光をしたりして、イーサン達にお土産でも買おうかと想像してレイナの心は踊る。
その時、レイナ達の頭上を黒い影が通り過ぎた。
「な、何あれ!」
巨大な生物にレイナは驚く。
「ド、ドラゴンだ!」
誰かが叫ぶ。
それは圧倒的な体躯と迫力でありレイナは身構える。
「魔物……、敵なの?」
レイナはどうやってエリスを守ろうかと考えを巡らせる。
まともにやりあってもどうにもならないだろう。
全力で逃げる方法を考えるしかない。
しかしエリスはレイナに答えるように言った。
「あれは、味方よ! 緊急時に使用される【飛竜】よ!」
エリスの話によるとイブライン王国で手懐けている魔物であり、襲われる事はない様だ。
「あそこに降りるぞ!」
【飛竜】と呼ばれたそれは高度を落とし着陸態勢を取った。
「レイナも行くわよ!」
「はい!」
レイナを含めた全員で【飛竜】元へと向かう。
※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※
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現在、最終話(92話)を執筆中です。
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よろしくお願いいたします。 かるぼな
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