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第80話 逃走ですね
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馬車の中で美しい所作で紅茶を飲みお菓子を食べるエリスはレイナに聞いてくる。
「貴女は魔物退治の経験はあるのかしら?」
「はい。先日ニコラ様と初めて訓練しました」
弱い魔物であったが一応レイナにも経験はある。
魔物は特殊な生物でありレイナとしては気持ち悪いものといった印象が強い。
出来るなら出会いたくなというのが正直なところだが、もしもの場合はエリスの護衛として戦わざるを得ないとも思っている。
「前にも言った通り魔物が出ても貴女は何もしなくていいわ」
エリスはレイナに言う。
それは有り難いのだがレイナとしては、そう言う訳にもいかない。
出来ることならエリスにも馬車で大人しくしていて欲しいと言うのがレイナの本音だ。
それが無理と言う事は護衛のリーダーから事前に聞いている。
エリスは自ら戦いに参加する性分であり、実際には戦力として貢献しているので守られているだけなのは嫌と言う事だ。
「魔物だ! 振り切るぞ!」
「「「!?」」」
案の定というのだろうか、レイナの思いは届かずに魔物は出現してしまう。
レイナは急いでお茶のセットを片付ける。
とは言っても【インベントリ】に適当に突っ込むだけなのだが。
向かってくる魔物は全て排除すると言う事は無く、逃げられるなら逃げる事を選択するのは生きる為に必要な事だ。
このパーティーも先ずは逃走を試みる。
エリスの安全が第一なら当然の選択だろう。
馬車の中から確認すると数名が殿となり魔物を引き付けエリスの馬車を逃がす作戦の様だ。
いつも通りなのか、護衛達は手慣れている様子でそれぞれが動く。
魔物達を振り切り馬車が開けた場所に着いてから暫くすると魔物を引き付けていたメンバーも戻ってくる。
どうやら作戦は成功した様だ。
魔物と戦った返り血なのか怪我をしたのか分からないが戻ってきた護衛達の服は赤い。
そんな彼ら二人にレイナは車内から【ヒール】をかける。
更に馬にも同時にかけておく。
馬上にいた護衛達と馬の体が光ると歓声が上がった。
「「おおっ!」」
「傷が治ったぞ!」
どうやら成功した様だ。
レイナが外に出ないで車内から【ヒール】をかけたのは横着からではなく、エリスの安全の為だと言う事をレイナの名誉の為に言っておく。
それを見ていたエリスが言う。
「貴女、なかなかやるわね」
「えっ?」
言われたレイナは何がだろうと思うが、もしかして馬車内から回復魔法をかける横着さ加減が酷かったのだろうかとレイナは考える。
するとエリスは言う。
「普通の【ヒール】であの距離にいる人間二人と馬にも同時にかけられるなんて」
「えっ、そうなのですか?」
どうやら回復魔法の事だと分かりレイナは安堵する。
「しかも魔力循環が淀みなくて綺麗だわ!」
「あ、ありがとうございます」
「悔しいけれど流石はニコラの弟子って事かしら」
レイナとしては複数の人間を同時に回復させるのは必要な事だった。
回復要員として行った第二騎士団の団員達は次から次へと治療に来たので、この技術が身に付いたのは必然と言える。
「お役に立てたなら嬉しいです」
「ふーん」
エリスのレイナに対する見る目が少し変わった様だ。
「貴女は魔物退治の経験はあるのかしら?」
「はい。先日ニコラ様と初めて訓練しました」
弱い魔物であったが一応レイナにも経験はある。
魔物は特殊な生物でありレイナとしては気持ち悪いものといった印象が強い。
出来るなら出会いたくなというのが正直なところだが、もしもの場合はエリスの護衛として戦わざるを得ないとも思っている。
「前にも言った通り魔物が出ても貴女は何もしなくていいわ」
エリスはレイナに言う。
それは有り難いのだがレイナとしては、そう言う訳にもいかない。
出来ることならエリスにも馬車で大人しくしていて欲しいと言うのがレイナの本音だ。
それが無理と言う事は護衛のリーダーから事前に聞いている。
エリスは自ら戦いに参加する性分であり、実際には戦力として貢献しているので守られているだけなのは嫌と言う事だ。
「魔物だ! 振り切るぞ!」
「「「!?」」」
案の定というのだろうか、レイナの思いは届かずに魔物は出現してしまう。
レイナは急いでお茶のセットを片付ける。
とは言っても【インベントリ】に適当に突っ込むだけなのだが。
向かってくる魔物は全て排除すると言う事は無く、逃げられるなら逃げる事を選択するのは生きる為に必要な事だ。
このパーティーも先ずは逃走を試みる。
エリスの安全が第一なら当然の選択だろう。
馬車の中から確認すると数名が殿となり魔物を引き付けエリスの馬車を逃がす作戦の様だ。
いつも通りなのか、護衛達は手慣れている様子でそれぞれが動く。
魔物達を振り切り馬車が開けた場所に着いてから暫くすると魔物を引き付けていたメンバーも戻ってくる。
どうやら作戦は成功した様だ。
魔物と戦った返り血なのか怪我をしたのか分からないが戻ってきた護衛達の服は赤い。
そんな彼ら二人にレイナは車内から【ヒール】をかける。
更に馬にも同時にかけておく。
馬上にいた護衛達と馬の体が光ると歓声が上がった。
「「おおっ!」」
「傷が治ったぞ!」
どうやら成功した様だ。
レイナが外に出ないで車内から【ヒール】をかけたのは横着からではなく、エリスの安全の為だと言う事をレイナの名誉の為に言っておく。
それを見ていたエリスが言う。
「貴女、なかなかやるわね」
「えっ?」
言われたレイナは何がだろうと思うが、もしかして馬車内から回復魔法をかける横着さ加減が酷かったのだろうかとレイナは考える。
するとエリスは言う。
「普通の【ヒール】であの距離にいる人間二人と馬にも同時にかけられるなんて」
「えっ、そうなのですか?」
どうやら回復魔法の事だと分かりレイナは安堵する。
「しかも魔力循環が淀みなくて綺麗だわ!」
「あ、ありがとうございます」
「悔しいけれど流石はニコラの弟子って事かしら」
レイナとしては複数の人間を同時に回復させるのは必要な事だった。
回復要員として行った第二騎士団の団員達は次から次へと治療に来たので、この技術が身に付いたのは必然と言える。
「お役に立てたなら嬉しいです」
「ふーん」
エリスのレイナに対する見る目が少し変わった様だ。
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