71 / 92
第70話 準備ですね
しおりを挟む
「えっと、冒険者用の洋服ですか……」
「そうだ。持っていないのか?」
冒険者らしい格好と言えばレイナが国を追放され旅に出た時に着ていたのだが、盗賊に襲われて矢を射られてしまい血で汚れてしまった。
レイナとしては洗って修繕すれば、まだ着られるかと思ったが、怖い経験をした事が思い出されるので、仕方がなく廃棄してしまった。
それ以外は冒険者らしい服装をレイナは持っていない。
「ええ、普段着のドレスなどスカート類が多いですね」
「そうか。じゃあ揃えた方がいいな」
「メイド服では駄目ですよね?」
「そうだな。魔物を狩るのにその格好は問題だろ」
「はあ、まあそうですね……」
ニコラの苛烈な特訓をメイド服で受けているレイナとしては何故いけないのかと疑問が残る。
でも冒険者らしい服装と言うのにもレイナは憧れはあるので買いに行くのには賛成だ。
「ドレスよりは安そうですし私でも買えそうですね」
「服はこちらで準備する」
「えっでも仕事着って訳でもないですよね?」
メイドとして働いているとはいえ、それほど給金を貰っていないレイナとしては支給してくれると言う事ならありがたいとは思う。
「何だお前、金の心配をしているのか?」
「ええ、それはそうですよ」
「お前が納めた薬草でお釣りがくる。そんなに金が気になるなら後で兄上にでも確認してみるといい」
実際には貴重な回復薬を作れる薬草を大量に作っているのだから家でも買える程の金額になっているだろうが、報酬はイーサンに預かって貰っているのでレイナは分かってはいない。
「変装の意味もあるからな、必要な事だ」
「冒険者として魔物狩りに行くのですね」
「そう言う事だ。二人パーティーだ」
レイナは想像してみる。
色白で自分より小さな男の子と、か弱そうな少女の冒険者パーティー。
デビューしたての新人パーティーにしか見えない。
周りから見れば保護者はいないのかと心配されるレベルだ。
「うーん。他のメンバーはいないのですか?」
「ん? 影は付くが基本的には俺達だけだ」
「だ、大丈夫なんですか?」
レイナとしては当然の疑問だろう。
「まあ、それ程強力な魔物はいない場所だし戦力的には過剰なぐらいだ」
「そ、そうですか」
複数の魔法を操りそのどれもが強力なニコラがいれば問題ないのかもしれない。
見た目の問題だけだからとレイナは納得しようと努める。
「ニコラ様がいれば平気そうですね」
「はあ、何言っているんだ。お前がメインで戦うに決まっているだろ!」
「ええっ! 私、魔物と戦った事なんてないですよ」
「だからこその訓練だろ」
そう言われてしまえばそうなのだがレイナとしては納得しがたいものがある。
「危なくなったら助けてやるからやってみろ」
「わ、分かりました」
今までの訓練を思い出し本当に助けてくれるかなと心配になったが信じてやるしかないとレイナは覚悟を決めた。
「そうだ。持っていないのか?」
冒険者らしい格好と言えばレイナが国を追放され旅に出た時に着ていたのだが、盗賊に襲われて矢を射られてしまい血で汚れてしまった。
レイナとしては洗って修繕すれば、まだ着られるかと思ったが、怖い経験をした事が思い出されるので、仕方がなく廃棄してしまった。
それ以外は冒険者らしい服装をレイナは持っていない。
「ええ、普段着のドレスなどスカート類が多いですね」
「そうか。じゃあ揃えた方がいいな」
「メイド服では駄目ですよね?」
「そうだな。魔物を狩るのにその格好は問題だろ」
「はあ、まあそうですね……」
ニコラの苛烈な特訓をメイド服で受けているレイナとしては何故いけないのかと疑問が残る。
でも冒険者らしい服装と言うのにもレイナは憧れはあるので買いに行くのには賛成だ。
「ドレスよりは安そうですし私でも買えそうですね」
「服はこちらで準備する」
「えっでも仕事着って訳でもないですよね?」
メイドとして働いているとはいえ、それほど給金を貰っていないレイナとしては支給してくれると言う事ならありがたいとは思う。
「何だお前、金の心配をしているのか?」
「ええ、それはそうですよ」
「お前が納めた薬草でお釣りがくる。そんなに金が気になるなら後で兄上にでも確認してみるといい」
実際には貴重な回復薬を作れる薬草を大量に作っているのだから家でも買える程の金額になっているだろうが、報酬はイーサンに預かって貰っているのでレイナは分かってはいない。
「変装の意味もあるからな、必要な事だ」
「冒険者として魔物狩りに行くのですね」
「そう言う事だ。二人パーティーだ」
レイナは想像してみる。
色白で自分より小さな男の子と、か弱そうな少女の冒険者パーティー。
デビューしたての新人パーティーにしか見えない。
周りから見れば保護者はいないのかと心配されるレベルだ。
「うーん。他のメンバーはいないのですか?」
「ん? 影は付くが基本的には俺達だけだ」
「だ、大丈夫なんですか?」
レイナとしては当然の疑問だろう。
「まあ、それ程強力な魔物はいない場所だし戦力的には過剰なぐらいだ」
「そ、そうですか」
複数の魔法を操りそのどれもが強力なニコラがいれば問題ないのかもしれない。
見た目の問題だけだからとレイナは納得しようと努める。
「ニコラ様がいれば平気そうですね」
「はあ、何言っているんだ。お前がメインで戦うに決まっているだろ!」
「ええっ! 私、魔物と戦った事なんてないですよ」
「だからこその訓練だろ」
そう言われてしまえばそうなのだがレイナとしては納得しがたいものがある。
「危なくなったら助けてやるからやってみろ」
「わ、分かりました」
今までの訓練を思い出し本当に助けてくれるかなと心配になったが信じてやるしかないとレイナは覚悟を決めた。
12
お気に入りに追加
3,299
あなたにおすすめの小説
精霊に好かれた私は世界最強らしいのだが
天色茜
ファンタジー
普通の女子高校生、朝野明莉沙(あさのありさ)は、ある日突然異世界召喚され、勇者として戦ってくれといわれる。
だが、同じく異世界召喚された他の二人との差別的な扱いに怒りを覚える。その上冤罪にされ、魔物に襲われた際にも誰も手を差し伸べてくれず、崖から転落してしまう。
その後、自分の異常な体質に気づき...!?
めでたく婚約破棄で教会を追放されたので、神聖魔法に続いて魔法学校で錬金魔法も極めます。……やっぱりバカ王子は要らない? 返品はお断りします!
向原 行人
ファンタジー
教会の代表ともいえる聖女ソフィア――つまり私は、第五王子から婚約破棄を言い渡され、教会から追放されてしまった。
話を聞くと、侍祭のシャルロットの事が好きになったからだとか。
シャルロット……よくやってくれたわ!
貴女は知らないかもしれないけれど、その王子は、一言で表すと……バカよ。
これで、王子や教会から解放されて、私は自由! 慰謝料として沢山お金を貰ったし、魔法学校で錬金魔法でも勉強しようかな。
聖女として神聖魔法を極めたし、錬金魔法もいけるでしょ!
……え? 王族になれると思ったから王子にアプローチしたけど、思っていた以上にバカだから無理? ふふっ、今更返品は出来ませーん!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
婚約破棄された第一王女~婚約者を奪ったくせに今頃、帰ってきてくれ? ごめんなさい、魔王に溺愛されてるので難しそうです~
柊彼方
ファンタジー
「申し訳ございませんエリス様。婚約を破棄させていただきたく」
エルメス王国の第一王女である私、エリスは公爵令息であるマルクと婚約していた。
マルクは賢明で武術においても秀でおり、更には容姿も抜群に整っていた。要約すると最高の婚約者であるということだ。
しかし、そんなエリスの将来設計を一瞬でぶち壊す者がいた。
「ねぇ~マルク~私と姉さんどっちが好き~?」
「…………もちろんミーナ様です」
私の妹、第二王女のミーナだ。
ミーナは私の婚約者を奪ったのである。
エリスは第一王女としての価値を失い、父から第一王女の地位を剥奪されてしまう。
全てを失ったエリスは王宮から追放された挙句に平民になってしまった。
そんなエリスは王宮から出て一人頭を抱えてしまう。
そこでエリスは一つのことを思いだした。幼い頃に母親から読み聞かせてもらっていた冒険者の物語だ。
エリスはそのため、冒険者になることを決心した。
そこで仲間を見つけ、愛情を知っていくエリスなのだが、
ダンジョンである事件が発生し、エリスはダンジョン内で死んでしまった……ということになった。
これは婚約破棄をされ、更には妹に取られてしまうという不幸な第一王女が、冒険業でをしていたところ、魔王に溺愛され、魔界の女王になってしまうような物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる