婚約破棄と追放をされたので能力使って自立したいと思います

かるぼな

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第70話 準備ですね

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「えっと、冒険者用の洋服ですか……」
「そうだ。持っていないのか?」

 冒険者らしい格好と言えばレイナが国を追放され旅に出た時に着ていたのだが、盗賊に襲われて矢を射られてしまい血で汚れてしまった。
 レイナとしては洗って修繕すれば、まだ着られるかと思ったが、怖い経験をした事が思い出されるので、仕方がなく廃棄してしまった。
 それ以外は冒険者らしい服装をレイナは持っていない。

「ええ、普段着のドレスなどスカート類が多いですね」
「そうか。じゃあ揃えた方がいいな」
「メイド服では駄目ですよね?」
「そうだな。魔物を狩るのにその格好は問題だろ」
「はあ、まあそうですね……」

 ニコラの苛烈な特訓をメイド服で受けているレイナとしては何故いけないのかと疑問が残る。
 でも冒険者らしい服装と言うのにもレイナは憧れはあるので買いに行くのには賛成だ。

「ドレスよりは安そうですし私でも買えそうですね」
「服はこちらで準備する」
「えっでも仕事着って訳でもないですよね?」

 メイドとして働いているとはいえ、それほど給金を貰っていないレイナとしては支給してくれると言う事ならありがたいとは思う。

「何だお前、金の心配をしているのか?」
「ええ、それはそうですよ」
「お前が納めた薬草でお釣りがくる。そんなに金が気になるなら後で兄上にでも確認してみるといい」

 実際には貴重な回復薬を作れる薬草を大量に作っているのだから家でも買える程の金額になっているだろうが、報酬はイーサンに預かって貰っているのでレイナは分かってはいない。
 
「変装の意味もあるからな、必要な事だ」
「冒険者として魔物狩りに行くのですね」
「そう言う事だ。二人パーティーだ」

 レイナは想像してみる。
 色白で自分より小さな男の子と、か弱そうな少女の冒険者パーティー。
 デビューしたての新人パーティーにしか見えない。
 周りから見れば保護者はいないのかと心配されるレベルだ。

「うーん。他のメンバーはいないのですか?」
「ん? 影は付くが基本的には俺達だけだ」
「だ、大丈夫なんですか?」

 レイナとしては当然の疑問だろう。

「まあ、それ程強力な魔物はいない場所だし戦力的には過剰なぐらいだ」
「そ、そうですか」

 複数の魔法を操りそのどれもが強力なニコラがいれば問題ないのかもしれない。
 見た目の問題だけだからとレイナは納得しようと努める。

「ニコラ様がいれば平気そうですね」
「はあ、何言っているんだ。お前がメインで戦うに決まっているだろ!」
「ええっ! 私、魔物と戦った事なんてないですよ」
「だからこその訓練だろ」

 そう言われてしまえばそうなのだがレイナとしては納得しがたいものがある。

「危なくなったら助けてやるからやってみろ」
「わ、分かりました」

 今までの訓練を思い出し本当に助けてくれるかなと心配になったが信じてやるしかないとレイナは覚悟を決めた。
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