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第40話 承認は必要ですよね
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「どうでしょうかレイナさん?」
クリスティーナは懇願する様にレイナを見つめる。
真剣な頼みにレイナも誠実に答えなければと言葉を選ぶ。
「正直に言いますと治せるかどうかは分かりません。でも症状を見る事は出来ます。それでもよろしいでしょうか?」
どこまで【拒絶と吸収】の能力がクリスティーナに知られているかは分からない。
レイナとしては能力がバレる事はよろしくないし隠したい。
でも自分が助ける事が出来るなら助けたいとも思っている。
「勿論ですわ。例え治療出来なくても文句は言いません。診ていただいて判断して貰って構いませんわ」
クリスティーナとしては弟を治せる可能性があるなら縋りたい、その一心なのだろう。
しかしレイナとしても一言、言っておかなければならない。
「この事はイーサンには報告させてください。それが条件です」
雇用主であるイーサンに隠すなどレイナとしては考えられない。
イーサンに許可を取るのが筋であろうし、隠したとしても自分についている影には筒抜けのはず。
ならばそこから漏れるより自分の口から話したいと言うのがレイナの気持ちだ。
「それは構いませんわ。わたくしもそれが良いと考えておりました」
「はい。でしたらイーサンの許可が取れましたら弟さんの……」
「シールズです。弟の名前はシールズ・アルティアークと言いますわ」
「分かりました。シールズ様に一度会わせてください」
「はい。よろしくお願いいたしますわ」
レイナはクリスティーナの部屋を出た後考えを巡らす。
自分は影と言われる存在に見張られている。
それはレイナには見えないし何人付いているのかも分からない。
クリスティーナの影には全容は分からないとしてもレイナの能力の有無は知られている。
それならば当然イーサンの影もレイナについて同じ以上の情報を持っているはずだし、イーサンにも報告済みだろう。
更にレイナが毒矢を受けた際にレイナが治したとされる能力はイーサンも直接見ている。
つまりレイナが【鑑定】に判別されない能力を持っているのは明らかでありイーサンも把握しているのは間違いない。
にも関わらずレイナはイーサンからその事について言われた事はない。
「泳がされているのかしら?」
レイナの予想通りイーサンはレイナに自由を与え、様子を見ている状態だ。
勿論、監視は付けている。
レイナが特別な薬草が作れる様になった頃からは更に監視を増員してレイナの動向を探っていた。
これが自由かと言われれば微妙な所であるが、レイナとしては影は見えないのだから何人増えようが分からないのは同じだ。
それならばそこら辺も含めてイーサンに確認してみようとレイナはイーサンの元に向かう。
実際のところクリスティーナとイーサンが話し合い、弟の元にレイナを派遣する事は出来た。
レイナの行動決定権はイーサンが持っていると言ってもいいのでイーサンが言えばレイナは素直に従うしかない。
クリスティーナはそれも分かっていたが、強制的にやってもらうより直接レイナと話して依頼するのが筋だろうと今回行動した。
レイナにもそんな気持ちが伝わったから依頼を受けようと思った訳でクリスティーナの狙いは成功したと言える。
レイナとしてはそんなに深く考えてはいないが何とかクリスティーナの力になりたいとは思っているのは間違いない。
「本当にいるのかな?」
キッと空間を睨むもレイナにはやはり影の存在は見えなかった。
クリスティーナは懇願する様にレイナを見つめる。
真剣な頼みにレイナも誠実に答えなければと言葉を選ぶ。
「正直に言いますと治せるかどうかは分かりません。でも症状を見る事は出来ます。それでもよろしいでしょうか?」
どこまで【拒絶と吸収】の能力がクリスティーナに知られているかは分からない。
レイナとしては能力がバレる事はよろしくないし隠したい。
でも自分が助ける事が出来るなら助けたいとも思っている。
「勿論ですわ。例え治療出来なくても文句は言いません。診ていただいて判断して貰って構いませんわ」
クリスティーナとしては弟を治せる可能性があるなら縋りたい、その一心なのだろう。
しかしレイナとしても一言、言っておかなければならない。
「この事はイーサンには報告させてください。それが条件です」
雇用主であるイーサンに隠すなどレイナとしては考えられない。
イーサンに許可を取るのが筋であろうし、隠したとしても自分についている影には筒抜けのはず。
ならばそこから漏れるより自分の口から話したいと言うのがレイナの気持ちだ。
「それは構いませんわ。わたくしもそれが良いと考えておりました」
「はい。でしたらイーサンの許可が取れましたら弟さんの……」
「シールズです。弟の名前はシールズ・アルティアークと言いますわ」
「分かりました。シールズ様に一度会わせてください」
「はい。よろしくお願いいたしますわ」
レイナはクリスティーナの部屋を出た後考えを巡らす。
自分は影と言われる存在に見張られている。
それはレイナには見えないし何人付いているのかも分からない。
クリスティーナの影には全容は分からないとしてもレイナの能力の有無は知られている。
それならば当然イーサンの影もレイナについて同じ以上の情報を持っているはずだし、イーサンにも報告済みだろう。
更にレイナが毒矢を受けた際にレイナが治したとされる能力はイーサンも直接見ている。
つまりレイナが【鑑定】に判別されない能力を持っているのは明らかでありイーサンも把握しているのは間違いない。
にも関わらずレイナはイーサンからその事について言われた事はない。
「泳がされているのかしら?」
レイナの予想通りイーサンはレイナに自由を与え、様子を見ている状態だ。
勿論、監視は付けている。
レイナが特別な薬草が作れる様になった頃からは更に監視を増員してレイナの動向を探っていた。
これが自由かと言われれば微妙な所であるが、レイナとしては影は見えないのだから何人増えようが分からないのは同じだ。
それならばそこら辺も含めてイーサンに確認してみようとレイナはイーサンの元に向かう。
実際のところクリスティーナとイーサンが話し合い、弟の元にレイナを派遣する事は出来た。
レイナの行動決定権はイーサンが持っていると言ってもいいのでイーサンが言えばレイナは素直に従うしかない。
クリスティーナはそれも分かっていたが、強制的にやってもらうより直接レイナと話して依頼するのが筋だろうと今回行動した。
レイナにもそんな気持ちが伝わったから依頼を受けようと思った訳でクリスティーナの狙いは成功したと言える。
レイナとしてはそんなに深く考えてはいないが何とかクリスティーナの力になりたいとは思っているのは間違いない。
「本当にいるのかな?」
キッと空間を睨むもレイナにはやはり影の存在は見えなかった。
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