40 / 92
第39話 病気の様ですね
しおりを挟む
「クリスティーナ様、レイナです」
「どうぞ、お入りください」
ノックをすると中からあの澄んだ声が聞こえる。
王宮内に用意されたクリスティーナの為の部屋にレイナは呼ばれた。
中に入ると流石は王族の婚約者の部屋であるり、煌びやかさにレイナは感動を覚え、辺りを見回してしまう。
「ふふ、ようこそレイナさん。そこにお掛けになってください」
そんなレイナを見てクリスティーナは微笑む。
クリスティーナから勧められたソファーにレイナは腰掛けると、すっぽりと体を包み込むような柔らかさにレイナは驚く。
自分の家には無かった品質の物だ。
装飾品もさることながらソファーも相当な高級品なのだろうとレイナは野暮な事を考えてしまう。
レイナがソファーを堪能しているとクリスティーナが声を掛けてくる。
「先日はわたくしの友人が不躾なお願いをしてしまい申し訳ありません。ですが彼女達は私を思っての行動であってレイナさんの能力については知りません」
確かに彼女達はレイナがクリスティーナの弟を治療出来るかもしれないとは思っていた様だが詳しい事は言っていなかった。
それはクリスティーナも同じであるはず。
だとしたらレイナの所に来る事自体、変なのではとレイナは考える。
そんな曖昧な情報でわざわざ来るだろうか?
しかしクリスティーナは何か知っている様子。
「彼女達にはレイナさんが、もしかしたらわたくしの弟の治療が可能なのかもしれないと言う事を伝えていました」
「それはクリスティーナ様が、私が薬草を作っていた事をご存知だったと言う事でしょうか?」
「ええ、そこから生成された回復薬についても知っておりますわ」
やはりクリスティーナは薬草の事を知っていた。
「薬草の事はイーサンから聞いたのでしょうか?」
レイナは一番可能性が高いイーサンの名前を出しクリスティーナの様子を見る。
「いえ、彼等からは聞いておりません。わたくしの影にレイナさんを見張らせておりました」
「!?」
この世界にはプライベートの侵害と言う言葉がないのかしらとレイナは思ってしまう。
周りを見ても全く影の存在は皆無だ。
バレなければいいのかとレイナは当てずっぽうに何もない空間を睨んで見るも、勿論反応はない。
「申し訳ありませんレイナさん。イーサンが貴女の事を連れて来たと聞いてどの様な女性なのかと興味がありましたの」
「それで監視していたと?」
「はい。嫌な思いをさせてしまい申し訳ありません」
何だかクリスティーナには謝って貰ってばかりだとレイナは思う。
でも黙っていれば分からない事をわざわざレイナに伝えてくると言うのは余程の事だろうとレイナは考える。
「今日レイナさんをお呼びしたのは他でもありません。レイナさんが作る薬草についてですわ」
「弟さんの事が関係しているのでしょうか?」
「ええ、その通りですわ」
やはりとそれしかないかとレイナは思う。
クリスティーナは手の内を明かしてまで弟の為に出来る事をしたいのだろう。
「弟さんが病気だとご友人がおっしゃっていましたけど?」
「はい。一年程前から体調がおかしくなり今では寝たきりとなっていますわ」
「原因は何なのですか?」
「それが原因も治療法も分からず困っているのです」
「権威ある回復師の方が見ていると聞いています。そんな方達が治せない病気が私に治せるのでしょうか?」
レイナは当然の疑問を口にする。
するとクリスティーナは複雑そうな笑みを見せて言う。
「レイナさんが何か特別な能力をお持ちである事は報告で聞いております。勿論他言はいたしません。ですが弟の為にその力を使っては貰えないでしょうか?」
クリスティーナは真剣な表情でレイナに訴えた。
「どうぞ、お入りください」
ノックをすると中からあの澄んだ声が聞こえる。
王宮内に用意されたクリスティーナの為の部屋にレイナは呼ばれた。
中に入ると流石は王族の婚約者の部屋であるり、煌びやかさにレイナは感動を覚え、辺りを見回してしまう。
「ふふ、ようこそレイナさん。そこにお掛けになってください」
そんなレイナを見てクリスティーナは微笑む。
クリスティーナから勧められたソファーにレイナは腰掛けると、すっぽりと体を包み込むような柔らかさにレイナは驚く。
自分の家には無かった品質の物だ。
装飾品もさることながらソファーも相当な高級品なのだろうとレイナは野暮な事を考えてしまう。
レイナがソファーを堪能しているとクリスティーナが声を掛けてくる。
「先日はわたくしの友人が不躾なお願いをしてしまい申し訳ありません。ですが彼女達は私を思っての行動であってレイナさんの能力については知りません」
確かに彼女達はレイナがクリスティーナの弟を治療出来るかもしれないとは思っていた様だが詳しい事は言っていなかった。
それはクリスティーナも同じであるはず。
だとしたらレイナの所に来る事自体、変なのではとレイナは考える。
そんな曖昧な情報でわざわざ来るだろうか?
しかしクリスティーナは何か知っている様子。
「彼女達にはレイナさんが、もしかしたらわたくしの弟の治療が可能なのかもしれないと言う事を伝えていました」
「それはクリスティーナ様が、私が薬草を作っていた事をご存知だったと言う事でしょうか?」
「ええ、そこから生成された回復薬についても知っておりますわ」
やはりクリスティーナは薬草の事を知っていた。
「薬草の事はイーサンから聞いたのでしょうか?」
レイナは一番可能性が高いイーサンの名前を出しクリスティーナの様子を見る。
「いえ、彼等からは聞いておりません。わたくしの影にレイナさんを見張らせておりました」
「!?」
この世界にはプライベートの侵害と言う言葉がないのかしらとレイナは思ってしまう。
周りを見ても全く影の存在は皆無だ。
バレなければいいのかとレイナは当てずっぽうに何もない空間を睨んで見るも、勿論反応はない。
「申し訳ありませんレイナさん。イーサンが貴女の事を連れて来たと聞いてどの様な女性なのかと興味がありましたの」
「それで監視していたと?」
「はい。嫌な思いをさせてしまい申し訳ありません」
何だかクリスティーナには謝って貰ってばかりだとレイナは思う。
でも黙っていれば分からない事をわざわざレイナに伝えてくると言うのは余程の事だろうとレイナは考える。
「今日レイナさんをお呼びしたのは他でもありません。レイナさんが作る薬草についてですわ」
「弟さんの事が関係しているのでしょうか?」
「ええ、その通りですわ」
やはりとそれしかないかとレイナは思う。
クリスティーナは手の内を明かしてまで弟の為に出来る事をしたいのだろう。
「弟さんが病気だとご友人がおっしゃっていましたけど?」
「はい。一年程前から体調がおかしくなり今では寝たきりとなっていますわ」
「原因は何なのですか?」
「それが原因も治療法も分からず困っているのです」
「権威ある回復師の方が見ていると聞いています。そんな方達が治せない病気が私に治せるのでしょうか?」
レイナは当然の疑問を口にする。
するとクリスティーナは複雑そうな笑みを見せて言う。
「レイナさんが何か特別な能力をお持ちである事は報告で聞いております。勿論他言はいたしません。ですが弟の為にその力を使っては貰えないでしょうか?」
クリスティーナは真剣な表情でレイナに訴えた。
39
お気に入りに追加
3,310
あなたにおすすめの小説
初めての異世界転生
藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。
女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。
まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。
このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
姉の陰謀で国を追放された第二王女は、隣国を発展させる聖女となる【完結】
小平ニコ
ファンタジー
幼少期から魔法の才能に溢れ、百年に一度の天才と呼ばれたリーリエル。だが、その才能を妬んだ姉により、無実の罪を着せられ、隣国へと追放されてしまう。
しかしリーリエルはくじけなかった。持ち前の根性と、常識を遥かに超えた魔法能力で、まともな建物すら存在しなかった隣国を、たちまちのうちに強国へと成長させる。
そして、リーリエルは戻って来た。
政治の実権を握り、やりたい放題の振る舞いで国を乱す姉を打ち倒すために……
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜
望月かれん
ファンタジー
中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。
戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。
暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。
疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。
なんと、ぬいぐるみが喋っていた。
しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。
天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。
※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。
目覚めれば異世界!ところ変われば!
秋吉美寿
ファンタジー
体育会系、武闘派女子高生の美羽は空手、柔道、弓道の有段者!女子からは頼られ男子たちからは男扱い!そんなたくましくもちょっぴり残念な彼女もじつはキラキラふわふわなお姫様に憧れる隠れ乙女だった。
ある日体調不良から歩道橋の階段を上から下までまっさかさま!
目覚めると自分はふわふわキラキラな憧れのお姫様…なにこれ!なんて素敵な夢かしら!と思っていたが何やらどうも夢ではないようで…。
公爵家の一人娘ルミアーナそれが目覚めた異なる世界でのもう一人の自分。
命を狙われてたり鬼将軍に恋をしたり、王太子に襲われそうになったり、この世界でもやっぱり大人しくなんてしてられそうにありません。
身体を鍛えて自分の身は自分で守ります!
追放された宮廷錬金術師、彼女が抜けた穴は誰にも埋められない~今更戻ってくれと言われても、隣国の王子様と婚約決まってたのでもう遅い~
まいめろ
ファンタジー
錬金術師のウィンリー・トレートは宮廷錬金術師として仕えていたが、王子の婚約者が錬金術師として大成したので、必要ないとして解雇されてしまった。孤児出身であるウィンリーとしては悲しい結末である。
しかし、隣国の王太子殿下によりウィンリーは救済されることになる。以前からウィンリーの実力を知っていた
王太子殿下の計らいで隣国へと招かれ、彼女はその能力を存分に振るうのだった。
そして、その成果はやがて王太子殿下との婚約話にまで発展することに。
さて、ウィンリーを解雇した王国はどうなったかというと……彼女の抜けた穴はとても補填出来ていなかった。
だからといって、戻って来てくれと言われてももう遅い……覆水盆にかえらず。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる