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第25話 困惑ですね
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「レイナ嬢。実際のところイーサン様とはどうなのですか?」
「恋人では無いのですか?」
騎士団の体格のいい男性達に囲まれて質問攻めなんていう経験はあまりないだろう。
レイナも初めての事にどぎまぎしてしまう。
騎士達の中に入るとレイナなんて子供サイズだ。
今は訓練が終わり一緒に食事を取っている。
是非一緒にと誘って貰ったレイナは、お邪魔している状態。
そして何故かイーサンとレイナとの関係の話になってしまった。
「いえ、恋人ではありませんよ」
何故かそういう風にとらえる人間が多い。
初めにバレンがレイナを紹介した仕方が悪かったのだろう。
誤解を招く様な言い方があったのは間違いない。
だからと、レイナはきちんと説明してみる。
盗賊に襲われている所を助けて貰って、メイドとして雇われた事。
そして雇用関係であり特別な感情は無いという事を告げた。
勿論、命の恩人であるので感謝はしているし、イーサンに好意は持っている。
しかしそれが恋愛的なものかと言われるとレイナにもよく分かっていないと言うのが本当のところ。
「貴女に対するイーサン様の接し方が普通の女性と違っていたから、恋人なのかと思っていました」
何処かでイーサンとレイナの事を見ていた人間がいたらしい。
第二騎士団の騎士団達の中で噂になっていたようだ。
「確かに俺もそう感じたな。実際兄上の事はどう思っているんだ?」
バレンも団員たちに追従してくる。
「ち、ちょっとバレン様まで何を言っているのですか!」
「好意ぐらいはあるのだろう?」
答えないと許されない雰囲気。
どうしてこんな事にと考えるも、答えなければ終わらない雰囲気なので、半ばやけくそ気味にレイナは言う。
「き、嫌いでは……ありませんわ」
「「「おおっ!」」」
その言葉に周囲がどよめく。
「でもまだ恋人ではないなら俺が立候補します!」
「あっ、ずるいぞ、お前! 俺もする!」
「じゃあ俺も!」
(えっ、なにどういうこと?)
何故か自分がモテている事にレイナは困惑する。
団員達とは今日出会ったばかりだ。
リーネの時も『神木れいな』だった時もモテた記憶はない。
突然の事に驚いてしまうのは仕方がないだろう。
そんなレイナの戸惑った態度にバレンが言う。
「ここでは回復が出来る若い娘なんて貴重だからな」
「そうなのですか?」
「ああ、高位の回復魔法を使える者は一握りだ」
「いえ、私はそれほど回復魔法は得意ではないのですけれど……」
「いや、気付いていないのか? かなりのレベルだと思うぞ」
「えっ!」
そうなのだろうか?
レイナは他の人の回復魔法を見た事無いのでよく分からないと言うのが正直なところ。
もし威力が上がっているのなら、ニコラにやってもらっている魔力循環の修行のお陰なのだろうとレイナは考える。
でも始めよりは成長したとは思うけれど、高位ではないだろうとレイナの思考は自分の回復魔法の精度に向かってしまう。
そんなレイナの脱線をバレンが引き戻す。
「まあ、見目麗しい女性が回復も使えるなんて、野郎どもには刺激が強すぎるって事だ。嫁にしたい奴は沢山いるさ」
「は、はあ。嫁ですか……」
バレンはどうしても恋愛関係の方に話を持っていきたい様だ。
レイナはそんな展開に圧倒されてしまう。
「まあ、第二騎士団としては歓迎という事だ。またいつでも来てくれ」
「はい。ありがとうございます……」
第二騎士団からの帰り道、イーサンの事を思い出すとレイナは顔が熱くなるのを感じる。
どうしても彼の事を意識してしまう。
「もう、今度どんな顔をして会えばいいのよ」
恥ずかしさを振り払うかのように、レイナの独り言だけが辺りに響いた。
「恋人では無いのですか?」
騎士団の体格のいい男性達に囲まれて質問攻めなんていう経験はあまりないだろう。
レイナも初めての事にどぎまぎしてしまう。
騎士達の中に入るとレイナなんて子供サイズだ。
今は訓練が終わり一緒に食事を取っている。
是非一緒にと誘って貰ったレイナは、お邪魔している状態。
そして何故かイーサンとレイナとの関係の話になってしまった。
「いえ、恋人ではありませんよ」
何故かそういう風にとらえる人間が多い。
初めにバレンがレイナを紹介した仕方が悪かったのだろう。
誤解を招く様な言い方があったのは間違いない。
だからと、レイナはきちんと説明してみる。
盗賊に襲われている所を助けて貰って、メイドとして雇われた事。
そして雇用関係であり特別な感情は無いという事を告げた。
勿論、命の恩人であるので感謝はしているし、イーサンに好意は持っている。
しかしそれが恋愛的なものかと言われるとレイナにもよく分かっていないと言うのが本当のところ。
「貴女に対するイーサン様の接し方が普通の女性と違っていたから、恋人なのかと思っていました」
何処かでイーサンとレイナの事を見ていた人間がいたらしい。
第二騎士団の騎士団達の中で噂になっていたようだ。
「確かに俺もそう感じたな。実際兄上の事はどう思っているんだ?」
バレンも団員たちに追従してくる。
「ち、ちょっとバレン様まで何を言っているのですか!」
「好意ぐらいはあるのだろう?」
答えないと許されない雰囲気。
どうしてこんな事にと考えるも、答えなければ終わらない雰囲気なので、半ばやけくそ気味にレイナは言う。
「き、嫌いでは……ありませんわ」
「「「おおっ!」」」
その言葉に周囲がどよめく。
「でもまだ恋人ではないなら俺が立候補します!」
「あっ、ずるいぞ、お前! 俺もする!」
「じゃあ俺も!」
(えっ、なにどういうこと?)
何故か自分がモテている事にレイナは困惑する。
団員達とは今日出会ったばかりだ。
リーネの時も『神木れいな』だった時もモテた記憶はない。
突然の事に驚いてしまうのは仕方がないだろう。
そんなレイナの戸惑った態度にバレンが言う。
「ここでは回復が出来る若い娘なんて貴重だからな」
「そうなのですか?」
「ああ、高位の回復魔法を使える者は一握りだ」
「いえ、私はそれほど回復魔法は得意ではないのですけれど……」
「いや、気付いていないのか? かなりのレベルだと思うぞ」
「えっ!」
そうなのだろうか?
レイナは他の人の回復魔法を見た事無いのでよく分からないと言うのが正直なところ。
もし威力が上がっているのなら、ニコラにやってもらっている魔力循環の修行のお陰なのだろうとレイナは考える。
でも始めよりは成長したとは思うけれど、高位ではないだろうとレイナの思考は自分の回復魔法の精度に向かってしまう。
そんなレイナの脱線をバレンが引き戻す。
「まあ、見目麗しい女性が回復も使えるなんて、野郎どもには刺激が強すぎるって事だ。嫁にしたい奴は沢山いるさ」
「は、はあ。嫁ですか……」
バレンはどうしても恋愛関係の方に話を持っていきたい様だ。
レイナはそんな展開に圧倒されてしまう。
「まあ、第二騎士団としては歓迎という事だ。またいつでも来てくれ」
「はい。ありがとうございます……」
第二騎士団からの帰り道、イーサンの事を思い出すとレイナは顔が熱くなるのを感じる。
どうしても彼の事を意識してしまう。
「もう、今度どんな顔をして会えばいいのよ」
恥ずかしさを振り払うかのように、レイナの独り言だけが辺りに響いた。
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