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第17話 休日は楽しいですね
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今日レイナはメイドの仕事が休みだ。
ニコラとサムエルの修行もない。
前世では週休二日で休んでいたので、住み込みで働くメイドの仕事はハードだ。
休みは少ない。
でも新しい事ばかりが刺激的でレイナにとっては楽しかった。
あっという間に毎日が過ぎた感じだ。
でも休みは嬉しい。
何にで暇を潰そうかと思っていたが、【インベントリ】の整理でもしようかとレイナは思い立った。
アンブロウ王国からの出立の時には慌ただしくて碌に中身を確認せず荷物を詰め込んだ。
リーネが昔から入れていた物も確認したいので丁度いいかも。
商人になるなら在庫管理はしっかりしたい。
レイナは中身を確認してみる。
薬草、毒消し、回復薬等の薬関係。
塩、胡椒、砂糖等の香辛料関係。
山菜、きのこ、野草等。
角うさぎの肉、鳥肉等。
ナイフ、短剣。
鍋、包丁。
ロープに手袋、寝袋、テント。
椅子にテーブル、ベッド。
洋服、靴、帽子、雨具等々。
うーん、一体リーネは何を目指していたのかレイナは不思議に思う。
これなら野宿しても生きていけそうな装備だ。
国を出た時に出会った商人のノートンによると、薬草等の薬関係はこちらで売れるらしいので価格を調べようとレイナは思う。
因みに【インベントリ】は時間経過しないので鮮度が落ちない。
現代では考えられない凄い能力だ。
これだけでかなりの事が出来るだろう。
リーネが持っていた事にレイナは感謝した。
しかも【鑑定】の能力も得ることが出来た。
これはもう能力的には商人になれるのは間違いない。
「あとはこれだよね……」
レイナは【インベントリ】からそれを取り出す。
丸く小さいビー玉の様な大きさのそれは毒の塊だ。
表面は柔らかく弾力がある。
表示には毒塊(吸収)とあった。
「これってあの矢の毒ってことだよね……」
リーネの記憶を探ってもこんな物は入れていない。
後ろに(吸収)って書いてあるので【拒絶と吸収】の能力で得られたって事で間違いないだろう。
つまりレイナの体から毒を取り除き【インベントリ】に保管した可能性が高い。
【鑑定】してみると致死性の毒と出る。
やっぱりあの時の矢に付いていた毒で間違いなさそうだ。
致死性と出ているから発動しなかったら、レイナは助からなかったのだろう。
「こわっ!」
とりあえず使う事はないだろうからレイナは【インベントリ】にしまっておく。
しかし【拒絶と吸収】は不思議な能力だ。
【鑑定】しても何も反応しない。
特別な能力って事なのだろうか?
魔導具が壊れてしまう原因がこの能力なのは想像出来た。
分かっていることはレイナが拒絶した物が【インベントリ】に保管されるということ。
それから他人から能力をコピーまたは奪えるって事だ。
これは一番上の兄から【鑑定】が貰えたので間違いないだろう。
でもこの能力は検証しにくい。
親しい人に実験台になって貰うのも気が引ける。
もしもスキルを奪う能力だったら大変だろう。
使いどころをしっかりと見極めないとレイナは考える。
すると、レイナはふと思いつく。
そう言えばこの敷地には畑があった。
広大なのでそんな区画もある。
「場所によって同じものを植えても育ちが違うんじゃよ」
そんな事を作物を育てていた庭師が言っていたとレイナは思い出す。
日光の当たり具合とか、水のやり方が違うとかではないらしい。
たぶん、土の栄養価が違うのだろうという話を庭師はしていた。
売り物にする訳でもなく王族の人間の口に入る訳でもない。
そういう事で庭師はそれ程こだわってはいないみたいだった。
出来た作物は使用人達が食べるぐらいだ。
その代わりに庭や屋敷内に飾る花の育成にはこだわりをもっている様子。
華やかで綺麗な花は手入れが行き届いている。
「おじさん、こんにちは!」
畑で作業していた庭師にレイナは声を掛けた。
「やあ、レイナちゃん今日はどうした?」
「ええ、今日は一日休みなので畑を見せて貰おうかと思いまして」
「そうかい。変わっているね。こんな畑で良ければ幾らでも見てってくれ」
「ありがとうございます」
庭師は人のよさそうな笑顔でレイナの要望を許可する。
畑を確認してみるとやはり場所によって育ち方が違う。
全体的にもそれほど大きな実を付けている物はない。
「おじさん、この一番育ちが悪そうなこれ私が手入れしてもいい?」
「ん? ああいいけど、そこは土が悪いからそれ以上は無理だと思うよ」
「ええ、だからいいんですよ」
結果が分かりやすい。
能力の検証にはもってこいだとレイナは決めた。
土を【鑑定】してみると栄養不足と出た。
やっぱり土が悪いのは間違いない。
「じゃあちょっと森に行ってきますね」
「ん? ああ、土を変えるのかい? 気を付けてな」
「はい。行ってきます」
土を変えれば改善されるとは思うけれど今回は違う。
【拒絶と吸収】を使ってみようとレイナは考えた。
森の土を【鑑定】してみると栄養価の高い土が沢山ある。
落ち葉による腐葉土と動物などの糞による堆肥で栄養が豊かな土だ。
地面に手をかざし栄養を集める様に【拒絶と吸収】と発動させる。
地面が光りしばらくすると光りが収まり発動が終わった。
【インベントリ】を見てみると栄養塊(吸収)とある。
「やった! 思った通り!」
土から栄養だけを取り出せた。
大きさはテニスボールぐらいある。
これを土の上から掛けてもいいけれど、出来るなら根っこに行き渡らせたい。
だから栄養塊を魔力で覆って土に埋め込み根まで移動させる。
そして土の中で破いて中身を流す。
魔力の操作で簡単に出来た。
魔力循環を毎日やっているので、これぐらいならレイナにも可能だ。
「とりあえず栄養分は与えてみたけれど……」
さすがに急激な変化は見られない。
しばらくしたら確認しに来てみようとレイナは畑を後にする。
ニコラとサムエルの修行もない。
前世では週休二日で休んでいたので、住み込みで働くメイドの仕事はハードだ。
休みは少ない。
でも新しい事ばかりが刺激的でレイナにとっては楽しかった。
あっという間に毎日が過ぎた感じだ。
でも休みは嬉しい。
何にで暇を潰そうかと思っていたが、【インベントリ】の整理でもしようかとレイナは思い立った。
アンブロウ王国からの出立の時には慌ただしくて碌に中身を確認せず荷物を詰め込んだ。
リーネが昔から入れていた物も確認したいので丁度いいかも。
商人になるなら在庫管理はしっかりしたい。
レイナは中身を確認してみる。
薬草、毒消し、回復薬等の薬関係。
塩、胡椒、砂糖等の香辛料関係。
山菜、きのこ、野草等。
角うさぎの肉、鳥肉等。
ナイフ、短剣。
鍋、包丁。
ロープに手袋、寝袋、テント。
椅子にテーブル、ベッド。
洋服、靴、帽子、雨具等々。
うーん、一体リーネは何を目指していたのかレイナは不思議に思う。
これなら野宿しても生きていけそうな装備だ。
国を出た時に出会った商人のノートンによると、薬草等の薬関係はこちらで売れるらしいので価格を調べようとレイナは思う。
因みに【インベントリ】は時間経過しないので鮮度が落ちない。
現代では考えられない凄い能力だ。
これだけでかなりの事が出来るだろう。
リーネが持っていた事にレイナは感謝した。
しかも【鑑定】の能力も得ることが出来た。
これはもう能力的には商人になれるのは間違いない。
「あとはこれだよね……」
レイナは【インベントリ】からそれを取り出す。
丸く小さいビー玉の様な大きさのそれは毒の塊だ。
表面は柔らかく弾力がある。
表示には毒塊(吸収)とあった。
「これってあの矢の毒ってことだよね……」
リーネの記憶を探ってもこんな物は入れていない。
後ろに(吸収)って書いてあるので【拒絶と吸収】の能力で得られたって事で間違いないだろう。
つまりレイナの体から毒を取り除き【インベントリ】に保管した可能性が高い。
【鑑定】してみると致死性の毒と出る。
やっぱりあの時の矢に付いていた毒で間違いなさそうだ。
致死性と出ているから発動しなかったら、レイナは助からなかったのだろう。
「こわっ!」
とりあえず使う事はないだろうからレイナは【インベントリ】にしまっておく。
しかし【拒絶と吸収】は不思議な能力だ。
【鑑定】しても何も反応しない。
特別な能力って事なのだろうか?
魔導具が壊れてしまう原因がこの能力なのは想像出来た。
分かっていることはレイナが拒絶した物が【インベントリ】に保管されるということ。
それから他人から能力をコピーまたは奪えるって事だ。
これは一番上の兄から【鑑定】が貰えたので間違いないだろう。
でもこの能力は検証しにくい。
親しい人に実験台になって貰うのも気が引ける。
もしもスキルを奪う能力だったら大変だろう。
使いどころをしっかりと見極めないとレイナは考える。
すると、レイナはふと思いつく。
そう言えばこの敷地には畑があった。
広大なのでそんな区画もある。
「場所によって同じものを植えても育ちが違うんじゃよ」
そんな事を作物を育てていた庭師が言っていたとレイナは思い出す。
日光の当たり具合とか、水のやり方が違うとかではないらしい。
たぶん、土の栄養価が違うのだろうという話を庭師はしていた。
売り物にする訳でもなく王族の人間の口に入る訳でもない。
そういう事で庭師はそれ程こだわってはいないみたいだった。
出来た作物は使用人達が食べるぐらいだ。
その代わりに庭や屋敷内に飾る花の育成にはこだわりをもっている様子。
華やかで綺麗な花は手入れが行き届いている。
「おじさん、こんにちは!」
畑で作業していた庭師にレイナは声を掛けた。
「やあ、レイナちゃん今日はどうした?」
「ええ、今日は一日休みなので畑を見せて貰おうかと思いまして」
「そうかい。変わっているね。こんな畑で良ければ幾らでも見てってくれ」
「ありがとうございます」
庭師は人のよさそうな笑顔でレイナの要望を許可する。
畑を確認してみるとやはり場所によって育ち方が違う。
全体的にもそれほど大きな実を付けている物はない。
「おじさん、この一番育ちが悪そうなこれ私が手入れしてもいい?」
「ん? ああいいけど、そこは土が悪いからそれ以上は無理だと思うよ」
「ええ、だからいいんですよ」
結果が分かりやすい。
能力の検証にはもってこいだとレイナは決めた。
土を【鑑定】してみると栄養不足と出た。
やっぱり土が悪いのは間違いない。
「じゃあちょっと森に行ってきますね」
「ん? ああ、土を変えるのかい? 気を付けてな」
「はい。行ってきます」
土を変えれば改善されるとは思うけれど今回は違う。
【拒絶と吸収】を使ってみようとレイナは考えた。
森の土を【鑑定】してみると栄養価の高い土が沢山ある。
落ち葉による腐葉土と動物などの糞による堆肥で栄養が豊かな土だ。
地面に手をかざし栄養を集める様に【拒絶と吸収】と発動させる。
地面が光りしばらくすると光りが収まり発動が終わった。
【インベントリ】を見てみると栄養塊(吸収)とある。
「やった! 思った通り!」
土から栄養だけを取り出せた。
大きさはテニスボールぐらいある。
これを土の上から掛けてもいいけれど、出来るなら根っこに行き渡らせたい。
だから栄養塊を魔力で覆って土に埋め込み根まで移動させる。
そして土の中で破いて中身を流す。
魔力の操作で簡単に出来た。
魔力循環を毎日やっているので、これぐらいならレイナにも可能だ。
「とりあえず栄養分は与えてみたけれど……」
さすがに急激な変化は見られない。
しばらくしたら確認しに来てみようとレイナは畑を後にする。
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