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第10話 豪邸ですね
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「ここがイーサンの家なの?」
「ああ、そうだよ」
「す、凄すぎる!」
アンブロウ王国より全てが大きく立派でありレイナが驚くのも無理もない。
大国ともなるとここまで違うのかとレイナは感心する。
居住区の屋敷も門からして大きいし玄関までかなりの距離がある。
自分の家と比べてしまいレイナは違いに愕然とする。
玄関には、ずらりとお迎えの人間達が両側に並ぶ。
「お帰りなさいませ。イーサン様」
「「「お帰りなさいませ。ご主人様!」」」
一人の男性の掛け声から皆腰を折り頭を下げる。
これを見てしまうと本当にイーサンが一国の王子というのが実感出来てしまう。
何だか自分とは住む世界が違うなとレイナは感じざるを得ない。
圧倒されてしまうのは仕方のない事だろう。
「ただいま。サムエル、留守中は問題なかったか?」
「はい。些事はございましたが、特に問題ございません」
「そうか」
サムエルと言われたその人はイーサンから上着と手荷物を受け取り答える。
「イーサン様そちらが例のお嬢様で?」
皆の視線がレイナに集まる。
令嬢として生きてきたリーネは多少は慣れているのだろうが、レイナとしては緊張で腹が痛くなる状況。
視線から逃げ出したいとレイナは願う。
「ああ、事情があって、うちで面倒を見ることになった。とりあえず彼女をメイドとして鍛えてやってくれ」
一番初めに声を掛けて来たサムエルは使用人達のまとめ役だ。
隙の無い感じの人物でパリッとした執事の服装が似合っている。
この人がたぶん執事長じゃないかなとレイナは見当を付ける。
「ほう、メイドとしてでございますか。承知いたしました。メイド長に預けるという事でよろしいでしょうか?」
「ああ、それで構わない。ナタリア頼むぞ」
「はい。承知いたしました」
少し目のきつい年配の女性が返事をする。
見た目からしてメイド長だと分かる人物。
「レイナと申します。よろしくお願いいたします」
リーネっぽい挨拶をレイナはナタリアにする。
「よろしくレイナ。メイド長をしているナタリアといいます。その服装では仕事に差し支えますね。まずは着替えましょうか」
「はい。ナタリア様よろしくお願いいたします」
「レイナ、メイドとしてやっていくのでしたら今後、私の事はメイド長と呼んでください」
「はい。承知いたしました。ナタリアメイド長」
「ええ、それで結構です」
ナタリアの厳しさを知っているイーサンは口を挟む。
「ナタリア程々にな。レイナじゃあ頑張ってな」
「うん、色々ありがとうイーサン……ありがとうございます、イーサン様」
ご主人様に何を言っているんだみたいな雰囲気が周りから伝わってきた。
これやばい奴だ、とレイナは感じる。
一瞬で皆の視線が突き刺さった。
レイナは急いで言い直したが遅かった様だ。
「どうやらレイナは鍛えがいがありそうですね……」
メイド長は笑顔だが目が笑っていない。
やってしまったとレイナは肝を冷やす。
「お、お手柔らかにお願いします」
「分かりました。遠慮なく指導させていただきます」
メイド長はレイナの意見など聞いていない感じで話を進める。
「レイナ、装飾品の類、例えばそのネックレスはメイドの仕事には邪魔になってしまいます。外してください」
「メイド長、ですがこれは……」
認識阻害用のネックレスであり銀色の髪と赤い瞳を隠して生活していこうとしているレイナには必要な物だ。
外す訳にはいかない。
「その……イーサン様とラウルさんには許可を得ています」
「……そうですか。何か訳ありの様ですね。一応確認はさせて貰いますが、いいでしょう。許可しましょう」
「はい。ありがとうございます」
(ふう、メイド長が柔軟な方で良かった)
絶対に取りなさいと言われ無かった事にレイナは安堵する。
「ああ、そうだよ」
「す、凄すぎる!」
アンブロウ王国より全てが大きく立派でありレイナが驚くのも無理もない。
大国ともなるとここまで違うのかとレイナは感心する。
居住区の屋敷も門からして大きいし玄関までかなりの距離がある。
自分の家と比べてしまいレイナは違いに愕然とする。
玄関には、ずらりとお迎えの人間達が両側に並ぶ。
「お帰りなさいませ。イーサン様」
「「「お帰りなさいませ。ご主人様!」」」
一人の男性の掛け声から皆腰を折り頭を下げる。
これを見てしまうと本当にイーサンが一国の王子というのが実感出来てしまう。
何だか自分とは住む世界が違うなとレイナは感じざるを得ない。
圧倒されてしまうのは仕方のない事だろう。
「ただいま。サムエル、留守中は問題なかったか?」
「はい。些事はございましたが、特に問題ございません」
「そうか」
サムエルと言われたその人はイーサンから上着と手荷物を受け取り答える。
「イーサン様そちらが例のお嬢様で?」
皆の視線がレイナに集まる。
令嬢として生きてきたリーネは多少は慣れているのだろうが、レイナとしては緊張で腹が痛くなる状況。
視線から逃げ出したいとレイナは願う。
「ああ、事情があって、うちで面倒を見ることになった。とりあえず彼女をメイドとして鍛えてやってくれ」
一番初めに声を掛けて来たサムエルは使用人達のまとめ役だ。
隙の無い感じの人物でパリッとした執事の服装が似合っている。
この人がたぶん執事長じゃないかなとレイナは見当を付ける。
「ほう、メイドとしてでございますか。承知いたしました。メイド長に預けるという事でよろしいでしょうか?」
「ああ、それで構わない。ナタリア頼むぞ」
「はい。承知いたしました」
少し目のきつい年配の女性が返事をする。
見た目からしてメイド長だと分かる人物。
「レイナと申します。よろしくお願いいたします」
リーネっぽい挨拶をレイナはナタリアにする。
「よろしくレイナ。メイド長をしているナタリアといいます。その服装では仕事に差し支えますね。まずは着替えましょうか」
「はい。ナタリア様よろしくお願いいたします」
「レイナ、メイドとしてやっていくのでしたら今後、私の事はメイド長と呼んでください」
「はい。承知いたしました。ナタリアメイド長」
「ええ、それで結構です」
ナタリアの厳しさを知っているイーサンは口を挟む。
「ナタリア程々にな。レイナじゃあ頑張ってな」
「うん、色々ありがとうイーサン……ありがとうございます、イーサン様」
ご主人様に何を言っているんだみたいな雰囲気が周りから伝わってきた。
これやばい奴だ、とレイナは感じる。
一瞬で皆の視線が突き刺さった。
レイナは急いで言い直したが遅かった様だ。
「どうやらレイナは鍛えがいがありそうですね……」
メイド長は笑顔だが目が笑っていない。
やってしまったとレイナは肝を冷やす。
「お、お手柔らかにお願いします」
「分かりました。遠慮なく指導させていただきます」
メイド長はレイナの意見など聞いていない感じで話を進める。
「レイナ、装飾品の類、例えばそのネックレスはメイドの仕事には邪魔になってしまいます。外してください」
「メイド長、ですがこれは……」
認識阻害用のネックレスであり銀色の髪と赤い瞳を隠して生活していこうとしているレイナには必要な物だ。
外す訳にはいかない。
「その……イーサン様とラウルさんには許可を得ています」
「……そうですか。何か訳ありの様ですね。一応確認はさせて貰いますが、いいでしょう。許可しましょう」
「はい。ありがとうございます」
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