6 / 92
第5.5話 盗賊って本当にいるんですね2
しおりを挟む
「大丈夫か? 盗賊達は全て倒したぞ」
「えっ、あ、へっ?」
(た、倒した? どういう事?)
自分が混乱している間に何があったのかはレイナは見えていなかった。
確かに周りを見ても先程の盗賊らしき者達はいない。
盗賊とは違い、身なりの整った一団がいるだけだ。
彼らが盗賊達を倒したのだが、レイナはまだ混乱している。
その人物は心配するような表情でレイナを見つめた。
(ほ、本当に助かったの?)
何とか気持ちを立て直して、レイナは言葉を発する。
「あ、危ない所をありがとうございます。助かりました」
レイナは感謝の気持ちを込めて頭を下げた。
「ああ運よく近くにいて良かった。少しは落ち着いたか?」
「はい、何とか……」
命の危機がこんなに怖いなんて知らなかった。
レイナは思わず泣きそうになる。
「大丈夫か?」
優しく声を掛けてくれる人物の顔を見てレイナは驚く。
(うわっ、なにこのイケメンさん!)
声に出さなかった自分を褒めたいとレイナは思う。
造形が整い過ぎた人間離れした顔立ち。
こんな時でも感じるのだから相当なものだろう。
「は、はい」
レイナは何とかそれだけを言葉にする。
優しい笑顔を見て助かったのだとレイナは実感した。
その時、その人物の後方にキラッと光った物が一瞬見えた気がしたレイナ。
とっさになのか偶然なのか、分からないがレイナはその人物を突き飛ばす。
実際には彼はよろけただけだが、私って力無いんだなと場違いな事を考えるレイナ。
――ドスッ!
「えっ! ぐぅ!」
レイナの右肩に激痛が走った。
(なに、なに? 熱い? 痛い、痛い! 訳が分からない!)
レイナは視界が段々と歪んでくるのを感じる。
今まで感じた事のない感覚にレイナは困惑し恐怖を覚える。
「矢だ! 盗賊の残りがいるぞ!」
「盗賊の残党だ! 逃がすな!」
どうやら自分の右肩に矢が刺さった事をレイナは理解した。
立っていられなくなったレイナを、その人物が支え抱きかかえる。
「大丈夫か! 痛いと思うが矢を抜くぞ!」
「!?」
(えっ、なに、なにどうするの?)
突然そんな事を言われたら普通は驚くだろうし意味が分からないだろう。
レイナも例に漏れずそう思った。
(待って、待って! 刺さっている矢を抜く? それって痛いよね? いや、絶対痛いでしょ!)
レイナは涙目になりながら断ろうと試みる。
しかし、嫌な音と共に肩に強烈な痛みが襲う。
「ああああっ!……ぐぅぅう」
その人物は有無を言わさずレイナの肩から矢を抜く。
レイナは激痛に叫び声を上げた。
「不味いな、毒矢だ」
レイナは痛みで意識が朦朧としてくるのを感じる。
体が痛みを拒否しているかの様だ。
(えっ、毒? 毒なの?)
「致死性の毒だ! 解毒剤急げ!」
(やだ、やだ死にたくない! せっかくこれから自由を手に出来るかもしれないのに)
迫りくる死への恐怖がレイナを包む。
(毒? やだ、いらない、いらない! 毒なんていらない! た、助けて……)
傷の痛みと死の恐怖にレイナは意識を手放した。
「えっ、あ、へっ?」
(た、倒した? どういう事?)
自分が混乱している間に何があったのかはレイナは見えていなかった。
確かに周りを見ても先程の盗賊らしき者達はいない。
盗賊とは違い、身なりの整った一団がいるだけだ。
彼らが盗賊達を倒したのだが、レイナはまだ混乱している。
その人物は心配するような表情でレイナを見つめた。
(ほ、本当に助かったの?)
何とか気持ちを立て直して、レイナは言葉を発する。
「あ、危ない所をありがとうございます。助かりました」
レイナは感謝の気持ちを込めて頭を下げた。
「ああ運よく近くにいて良かった。少しは落ち着いたか?」
「はい、何とか……」
命の危機がこんなに怖いなんて知らなかった。
レイナは思わず泣きそうになる。
「大丈夫か?」
優しく声を掛けてくれる人物の顔を見てレイナは驚く。
(うわっ、なにこのイケメンさん!)
声に出さなかった自分を褒めたいとレイナは思う。
造形が整い過ぎた人間離れした顔立ち。
こんな時でも感じるのだから相当なものだろう。
「は、はい」
レイナは何とかそれだけを言葉にする。
優しい笑顔を見て助かったのだとレイナは実感した。
その時、その人物の後方にキラッと光った物が一瞬見えた気がしたレイナ。
とっさになのか偶然なのか、分からないがレイナはその人物を突き飛ばす。
実際には彼はよろけただけだが、私って力無いんだなと場違いな事を考えるレイナ。
――ドスッ!
「えっ! ぐぅ!」
レイナの右肩に激痛が走った。
(なに、なに? 熱い? 痛い、痛い! 訳が分からない!)
レイナは視界が段々と歪んでくるのを感じる。
今まで感じた事のない感覚にレイナは困惑し恐怖を覚える。
「矢だ! 盗賊の残りがいるぞ!」
「盗賊の残党だ! 逃がすな!」
どうやら自分の右肩に矢が刺さった事をレイナは理解した。
立っていられなくなったレイナを、その人物が支え抱きかかえる。
「大丈夫か! 痛いと思うが矢を抜くぞ!」
「!?」
(えっ、なに、なにどうするの?)
突然そんな事を言われたら普通は驚くだろうし意味が分からないだろう。
レイナも例に漏れずそう思った。
(待って、待って! 刺さっている矢を抜く? それって痛いよね? いや、絶対痛いでしょ!)
レイナは涙目になりながら断ろうと試みる。
しかし、嫌な音と共に肩に強烈な痛みが襲う。
「ああああっ!……ぐぅぅう」
その人物は有無を言わさずレイナの肩から矢を抜く。
レイナは激痛に叫び声を上げた。
「不味いな、毒矢だ」
レイナは痛みで意識が朦朧としてくるのを感じる。
体が痛みを拒否しているかの様だ。
(えっ、毒? 毒なの?)
「致死性の毒だ! 解毒剤急げ!」
(やだ、やだ死にたくない! せっかくこれから自由を手に出来るかもしれないのに)
迫りくる死への恐怖がレイナを包む。
(毒? やだ、いらない、いらない! 毒なんていらない! た、助けて……)
傷の痛みと死の恐怖にレイナは意識を手放した。
12
お気に入りに追加
3,299
あなたにおすすめの小説
精霊に好かれた私は世界最強らしいのだが
天色茜
ファンタジー
普通の女子高校生、朝野明莉沙(あさのありさ)は、ある日突然異世界召喚され、勇者として戦ってくれといわれる。
だが、同じく異世界召喚された他の二人との差別的な扱いに怒りを覚える。その上冤罪にされ、魔物に襲われた際にも誰も手を差し伸べてくれず、崖から転落してしまう。
その後、自分の異常な体質に気づき...!?
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
追放聖女。自由気ままに生きていく ~聖魔法?そんなの知らないのです!~
夕姫
ファンタジー
「アリーゼ=ホーリーロック。お前をカトリーナ教会の聖女の任務から破門にする。話しは以上だ。荷物をまとめてここから立ち去れこの「異端の魔女」が!」
カトリーナ教会の聖女として在籍していたアリーゼは聖女の証である「聖痕」と言う身体のどこかに刻まれている痣がなくなり、聖魔法が使えなくなってしまう。
それを同じカトリーナ教会の聖女マルセナにオイゲン大司教に密告されることで、「異端の魔女」扱いを受け教会から破門にされてしまった。そう聖魔法が使えない聖女など「いらん」と。
でもアリーゼはめげなかった。逆にそんな小さな教会の聖女ではなく、逆に世界を旅して世界の聖女になればいいのだと。そして自分を追い出したこと後悔させてやる。聖魔法?そんなの知らないのです!と。
そんなアリーゼは誰よりも「本」で培った知識が豊富だった。自分の意識の中に「世界書庫」と呼ばれる今まで読んだ本の内容を記憶する能力があり、その知識を生かし、時には人類の叡知と呼ばれる崇高な知識、熟練冒険者のようなサバイバル知識、子供が知っているような知識、そして間違った知識など……旅先の人々を助けながら冒険をしていく。そうこれは世界中の人々を助ける存在の『聖女』になるための物語。
※追放物なので多少『ざまぁ』要素はありますが、W主人公なのでタグはありません。
※基本はアリーゼ様のほのぼの旅がメインです。
※追放側のマルセナsideもよろしくです。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
種から始める生産チート~なんでも実る世界樹を手に入れたけど、ホントに何でも実ったんですが!?(旧題:世界樹の王)
十一屋 翠
ファンタジー
とある冒険で大怪我を負った冒険者セイルは、パーティ引退を強制されてしまう。
そんな彼に残されたのは、ダンジョンで見つけたたった一つの木の実だけ。
だがこれこそが、ありとあらゆるものを生み出す世界樹の種だったのだ。
世界樹から現れた幼き聖霊はセイルを自らの主と認めると、この世のあらゆるものを実らせ、彼に様々な恩恵を与えるのだった。
お腹が空けばお肉を実らせ、生活の為にと家具を生み、更に敵が襲ってきたら大量の仲間まで!?
これは世界樹に愛された男が、文字通り全てを手に入れる幸せな物語。
この作品は小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる