76 / 94
76.先客
しおりを挟む
俺達は街を出てキラービーの討伐に向かう。
キラービーの生息地までは距離がありそうなので『ハコニワ』内の従魔を召喚したい。
久しぶりだ。
『スピードキャノン』の練習になるし俺達を乗せて走れる従魔がいいな。
あの島の走行用魔獣はグロイやつが多かった。
普通な感じの魔獣だと、たしかグラスウルフがいたな。
とりあえずレベルを100にして召喚してみるか。
<召喚しますか?>
(はい)
地面に魔法陣が浮かびグラスウルフが召喚される。
なんだか久々に召喚したけど上手くいってよかった。
出てきたのは俺が知っている狼よりかなり大きい。
レベルが100だからか、これぐらいになるのだろう。
「大きな狼ですわ。これなら三人一緒に乗れますわね」
詰めれば乗れそうだけど、さすがに三人は狭そうだ。
「もう二匹召喚するから待っててくれ」
「レンヤさん! 大丈夫です。このまま三人で乗っていきましょう!」
「ん? でも狭いだろ?」
「いえ、これぐらいでしたら問題ありませんわ」
「そうですね。いいと思います」
「そうか?」
まあ二人がいいと言うならそれでも構わないけど。
三人なら、なんとか乗れるか。
「で、どういう配置で乗るんだ?」
「そうですね。わたくし、レンヤさん、ネネという感じでどうでしょうか?」
「分かった。やってみるか」
俺達はグラスウルフに乗り込む。
グラスウルフは嫌がる素振りも見せず、大人しくしている。
野生の生き物なら嫌がりそうだけど、従魔契約していると文句も言わず乗せてくれるみたいだ。
「レンヤさん落ちると危ないので、わたくしの前のグラスウルフの毛をつかんでください。ネネはレンヤさんの腰に手を回して落ちないように!」
シーナは小柄なので俺の手の中に体がすっぽりと収まっている。
まるで後ろから抱きしめているみたいだ。
するとシーナは少し頭をずらし俺に持たれかかってきた。
ネネは俺の腰に手をやり後ろからギュッと抱きついてくる。
二人の柔らかさと体温、そして女性特有のいい匂いが分かるぐらい密着している。
「おい、なんだこの体勢は!」
「ふふ、レンヤさんみんなが幸せになれる乗り方ですわ」
きっぱりと言い切るシーナ。
「さ、さすがです。シーナ様!」
ネネも満足しているみたいだ。
まあたしかに俺的にも損は……ない。
むしろ役得と言った方がいいか。
「……じゃあこのまま行くか」
「「はい!」」
二人の元気な声が返ってきた。
俺達は進む。
グラスウルフは俺達三人を乗せているとは思えないほどスムーズに走る。
脚も太いし身体も大きいのでパワーはあるようだ。
振動も少ないしスピードもかなり出るのでレースでも使えそうだな。
「風が気持ちいいですわ」
「ああ、そうだな」
安定感のある走りだ。
あっという間にアミール高原に入った。
リトルに乗ったスララも並走する。
たまにいる魔獣はスララとリトルで倒しているので問題ない。
『ハコニワ』内にドロップアイテムが納品されていく。
さらに強くなるな。
しばらく行くと街道が見えてきた。
「ん? 誰かいるな」
「兵士みたいですわ」
鎧を装備して槍を持った三人組の男たちが街道にいる。
「止まれ!」
そのうちの一人が俺達を制止する。
俺達は少し手前で止まり声を掛ける。
「なにかあったのか?」
「ここから先は強力な魔獣が出るので立入り禁止だ!」
「ああ、キラービーだろ? 俺達は討伐に来た」
「そうか。今さっきそう言って入って行った冒険者がいたぞ」
そう言って俺達を警戒する兵士たち。
「そうなのか。同じ依頼をやるなんてことがあるのか?」
「まあ、今は『スピードキャノン』前なので強い冒険者がこの街に入ってきているから、そんなこともあるかもしれないな」
「依頼が被ることがあるのか?」
「ああ、未解決案件だと早い者勝ちみたいなところがあるからな」
なるほど、そういうものなのかもしれないな。
ましてや俺達は手が空いた時にやればいいと言われていたので、先にやる者が出てきてもおかしくはない。
「君たちは三人でキラービーを討伐するつもりなのか?」
「ああ、そのつもりだけど。普通は6人組が主流なんだっけ?」
「そうだな。基本は6人以上が望ましい。だけどそんな強力な魔獣を従えているなら君たちは強い冒険者なんだろ?」
いや、冒険者ではないんだけどな。
「ギルドカードを見せてもらっていいか?」
「あー、これでいいか?」
俺はグラスウルフから降りてギルドマスターから貰ったカードを見せる。
「なんだこれ? 似ているけど本物か?」
若い兵士は不思議がっている。
ん? ギルドマスターから直接貰ったから間違いないはずなんだが。
「ちょっと待てそれは……」
後ろにいた少し年配の兵士が、若い兵士からカードを受け取り確認している。
「こ、これはギルドマスター直轄のカードじゃないか! 俺も初めて見たぞ」
「直轄のカード!」
「ああ、通常の冒険者の枠にとらわれない強者に渡されるらしい。その強さはSランクの冒険者を超えるといわれている……」
「まさか……」
なんか凄い驚いているぞ。
身分証になるとはいっていたけど、ここまでとは。
ただの記録用カードじゃなかったんだな。
「ギルドマスターの推薦なら間違いないでしょう。お通りください」
「いいのか?」
「はい。ですが先ほども言いましたが先客が戦闘中と思われます」
「問題あるのか?」
「ええ、後から参戦した場合には報酬面で、もめることがあります」
なるほど。たしかに取り分をどうするかとか面倒そうだ。
下手に手を出さない方がいいかもしれない。
「分かった。様子を見ながらやってみる」
「ご武運を!」
俺達はキラービーの元に向かう。
キラービーの生息地までは距離がありそうなので『ハコニワ』内の従魔を召喚したい。
久しぶりだ。
『スピードキャノン』の練習になるし俺達を乗せて走れる従魔がいいな。
あの島の走行用魔獣はグロイやつが多かった。
普通な感じの魔獣だと、たしかグラスウルフがいたな。
とりあえずレベルを100にして召喚してみるか。
<召喚しますか?>
(はい)
地面に魔法陣が浮かびグラスウルフが召喚される。
なんだか久々に召喚したけど上手くいってよかった。
出てきたのは俺が知っている狼よりかなり大きい。
レベルが100だからか、これぐらいになるのだろう。
「大きな狼ですわ。これなら三人一緒に乗れますわね」
詰めれば乗れそうだけど、さすがに三人は狭そうだ。
「もう二匹召喚するから待っててくれ」
「レンヤさん! 大丈夫です。このまま三人で乗っていきましょう!」
「ん? でも狭いだろ?」
「いえ、これぐらいでしたら問題ありませんわ」
「そうですね。いいと思います」
「そうか?」
まあ二人がいいと言うならそれでも構わないけど。
三人なら、なんとか乗れるか。
「で、どういう配置で乗るんだ?」
「そうですね。わたくし、レンヤさん、ネネという感じでどうでしょうか?」
「分かった。やってみるか」
俺達はグラスウルフに乗り込む。
グラスウルフは嫌がる素振りも見せず、大人しくしている。
野生の生き物なら嫌がりそうだけど、従魔契約していると文句も言わず乗せてくれるみたいだ。
「レンヤさん落ちると危ないので、わたくしの前のグラスウルフの毛をつかんでください。ネネはレンヤさんの腰に手を回して落ちないように!」
シーナは小柄なので俺の手の中に体がすっぽりと収まっている。
まるで後ろから抱きしめているみたいだ。
するとシーナは少し頭をずらし俺に持たれかかってきた。
ネネは俺の腰に手をやり後ろからギュッと抱きついてくる。
二人の柔らかさと体温、そして女性特有のいい匂いが分かるぐらい密着している。
「おい、なんだこの体勢は!」
「ふふ、レンヤさんみんなが幸せになれる乗り方ですわ」
きっぱりと言い切るシーナ。
「さ、さすがです。シーナ様!」
ネネも満足しているみたいだ。
まあたしかに俺的にも損は……ない。
むしろ役得と言った方がいいか。
「……じゃあこのまま行くか」
「「はい!」」
二人の元気な声が返ってきた。
俺達は進む。
グラスウルフは俺達三人を乗せているとは思えないほどスムーズに走る。
脚も太いし身体も大きいのでパワーはあるようだ。
振動も少ないしスピードもかなり出るのでレースでも使えそうだな。
「風が気持ちいいですわ」
「ああ、そうだな」
安定感のある走りだ。
あっという間にアミール高原に入った。
リトルに乗ったスララも並走する。
たまにいる魔獣はスララとリトルで倒しているので問題ない。
『ハコニワ』内にドロップアイテムが納品されていく。
さらに強くなるな。
しばらく行くと街道が見えてきた。
「ん? 誰かいるな」
「兵士みたいですわ」
鎧を装備して槍を持った三人組の男たちが街道にいる。
「止まれ!」
そのうちの一人が俺達を制止する。
俺達は少し手前で止まり声を掛ける。
「なにかあったのか?」
「ここから先は強力な魔獣が出るので立入り禁止だ!」
「ああ、キラービーだろ? 俺達は討伐に来た」
「そうか。今さっきそう言って入って行った冒険者がいたぞ」
そう言って俺達を警戒する兵士たち。
「そうなのか。同じ依頼をやるなんてことがあるのか?」
「まあ、今は『スピードキャノン』前なので強い冒険者がこの街に入ってきているから、そんなこともあるかもしれないな」
「依頼が被ることがあるのか?」
「ああ、未解決案件だと早い者勝ちみたいなところがあるからな」
なるほど、そういうものなのかもしれないな。
ましてや俺達は手が空いた時にやればいいと言われていたので、先にやる者が出てきてもおかしくはない。
「君たちは三人でキラービーを討伐するつもりなのか?」
「ああ、そのつもりだけど。普通は6人組が主流なんだっけ?」
「そうだな。基本は6人以上が望ましい。だけどそんな強力な魔獣を従えているなら君たちは強い冒険者なんだろ?」
いや、冒険者ではないんだけどな。
「ギルドカードを見せてもらっていいか?」
「あー、これでいいか?」
俺はグラスウルフから降りてギルドマスターから貰ったカードを見せる。
「なんだこれ? 似ているけど本物か?」
若い兵士は不思議がっている。
ん? ギルドマスターから直接貰ったから間違いないはずなんだが。
「ちょっと待てそれは……」
後ろにいた少し年配の兵士が、若い兵士からカードを受け取り確認している。
「こ、これはギルドマスター直轄のカードじゃないか! 俺も初めて見たぞ」
「直轄のカード!」
「ああ、通常の冒険者の枠にとらわれない強者に渡されるらしい。その強さはSランクの冒険者を超えるといわれている……」
「まさか……」
なんか凄い驚いているぞ。
身分証になるとはいっていたけど、ここまでとは。
ただの記録用カードじゃなかったんだな。
「ギルドマスターの推薦なら間違いないでしょう。お通りください」
「いいのか?」
「はい。ですが先ほども言いましたが先客が戦闘中と思われます」
「問題あるのか?」
「ええ、後から参戦した場合には報酬面で、もめることがあります」
なるほど。たしかに取り分をどうするかとか面倒そうだ。
下手に手を出さない方がいいかもしれない。
「分かった。様子を見ながらやってみる」
「ご武運を!」
俺達はキラービーの元に向かう。
0
お気に入りに追加
1,382
あなたにおすすめの小説
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる
シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。
そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。
なんでも見通せるという万物を見通す目だった。
目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。
これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!?
その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。
魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。
※他サイトでも連載しています。
大体21:30分ごろに更新してます。
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺若葉
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
はずれスキル『模倣』で廃村スローライフ!
さとう
ファンタジー
異世界にクラス丸ごと召喚され、一人一つずつスキルを与えられたけど……俺、有馬慧(ありまけい)のスキルは『模倣』でした。おかげで、クラスのカースト上位連中が持つ『勇者』や『聖女』や『賢者』をコピーしまくったが……自分たちが活躍できないとの理由でカースト上位連中にハメられ、なんと追放されてしまう。
しかも、追放先はとっくの昔に滅んだ廃村……しかもしかも、せっかくコピーしたスキルは初期化されてしまった。
とりあえず、廃村でしばらく暮らすことを決意したのだが、俺に前に『女神の遣い』とかいう猫が現れこう言った。
『女神様、あんたに頼みたいことあるんだって』
これは……異世界召喚の真実を知った俺、有馬慧が送る廃村スローライフ。そして、魔王討伐とかやってるクラスメイトたちがいかに小さいことで騒いでいるのかを知る物語。
ユニークスキル【課金】で自由に生きる!!
穂高稲穂
ファンタジー
27歳の夏、狐野春人は心臓発作を起こして急死した。
転生した俺は狐の半獣人だった。
異世界だ。
人並みにそういう知識があったから、新たな人生に心が踊る。
突如発現するチートスキル課金。
地球では激務の会社で使い潰されたが、チートスキル課金を駆使してこの人生では自由に生きる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる