異世界に飛ばされたけど『ハコニワ』スキルで無双しながら帰還を目指す

かるぼな

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45.顔合わせ

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 俺は《魔導船》を海賊船の横に付ける。
 とりあえず荷物を運び出さないとな。
 海賊船に飛び乗りいう。

「お待たせ。これから俺の船に荷物を運ぶよ」
「おおきにレンヤはん。仲間の許可はとれたんやね」
「ああ、荷物はロープが掛かっているのでいいのか?」
「せやね。でも男手が必要かもしれへんね」

 パッと見た感じ一人では無理そうな大きさだ。
 海賊たちは大人数で運んでいたのだろう。

 でも俺にはこれがある。
 荷物に手を当てるとスッと消える。
 インベントリ内に収納すると荷物1と表示された。

「!? なんや、マジックバッグ? いやインベントリやないか!」
 
 いままであった荷物が消えてアヤメは驚いたみたいだ。

「インベントリを知っているのか?」
「う、うん、見るのは初めてやね。商人の間では憧れのスキルなんよ」

 たしかに荷物が大量に入って出し入れ自由な能力は、商人にとっては欲しい能力だろう。

「マルティ……いやアヤメさん……いやアヤメは持ってないのか?」

 キッ、キッと睨んで最後にニコッとしたのでアヤメと呼ぶのが正解なのだろう。

「持ってへんのよ。凄く欲しいんやけどね」
「そっか」

 俺は次々と荷物をインベントリに入れていく。
 こんな大きな荷物が収納されてしまうんだから凄い能力だとおもう。
 どこに収納されているのかは未だ謎だけどな。

「ますますレンヤはんに興味が出てきたんよ」

 そんなことを言い始めるアヤメは興味津々といった表情で俺の手元を見つめている。

「こんなもんかな?」

 ロープが掛かっていた荷物はあらかた収納し終えた。

「せやね。あとは海賊達の荷物も持っていってええんやで」

 なんでも海賊や盗賊を討伐した戦利品は討伐者が貰っていいことになっているらしい。

「せやから、インベントリを持っているレンヤはんなら、根こそぎ持っていけるやろ。なんなら後でうちで引き取ってもええよ」

 この中には盗品も結構あるのだろう。
 それを貰ってしまうのは少し気が引ける。
 しかしアヤメも引き取ってくれると言っているし何が役に立つか分からない。
 置いていっても仕方がないので貰っていくことに決めた。

 武器や防具、金品などもあった。
 海賊達は結構手広くやっていたのかもしれない。

「あいつらはここらでは有名な海賊なんよ。だからうちも護衛を何人か雇っていたんだけど……多勢に無勢やったね……」

 アヤメ達が乗っていた船には護衛も乗っていたのだろう。
 全てやられてしまい船ごと焼かれてしまったようだ。
 悔しさが込み上げてかアヤメは唇を噛む。

「王都までは俺たちが守るよ」

 少しでもアヤメの不安を取り除きたくて俺はいう。

「ん? ふふ、借りがいっぱい出来てしもうたなぁ」

 そんな気持ちが伝わったのかアヤメは笑顔で答える。
 それから船内を周り大体回収し終えた。
 あとは特に必要な物はなさそうだ。

「じゃあそろそろ俺の船に行こうか」
「でもどうやって降りるん? ロープを掛ける感じやろか?」

 海賊船の方が大きいので俺の船とはかなりの段差がある。
 鍛えているならともかく普通の人が飛び降りるのには無理がある。

「ああ、こうやって降りよう」

 俺は魔力を『変化』させた《魔手》でアヤメをつかむ。

「なっ! なんやね」

 後ろから包み込むように、大きな手の形をした魔力で持ち上げている状態だ。
 急に鷲掴みにされて焦っているアヤメをそのまま船に降ろしてやる。
 さらに侍女さんと海賊の親分もつかみ俺の船に降ろす。
 親分は腕の痛みからか気絶しているみたいでぐったりしている。
 最後に俺は船に飛び降りた。

「びっくりしたわ。なんか後ろから掴まれたと思ったら持ち上がって!」

 興奮気味に話すアヤメは目をパチクリしている。

「色々な能力を持っているんやねレンヤはんは」

「この人たちが人質になってた方たちですわね」

 船に戻るとシーナが声をかけてくる。

「ああそうだ。アヤメとその侍女さんだ」
「アヤメいいます。お二人とも迷惑かけてしもうてすまんね」
「す、すみませんよろしくお願いします」

「シーナといいます。ご無事で良かったですわ」
「ネネです。困った時はお互い様ですよ」

 それぞれあいさつが終わったところで俺はいう。

「で、そこで転がっているのが海賊の親分だ。役人に引き渡すので一緒に連れてきた」

 とりあえず倉庫にでも縛って入れておくことにした。
 扱いが雑なのは仕方がないだろう。

「しかし仲間の方がこんなに可愛い子達なんてレンヤはんもやりますね。嫁はん達ですの?」
「「はい」」

 と、間髪入れずに答えるシーナとネネ。

「いや、大切な仲間達だよ」

 と、訂正する俺。
 間違いは正しておかないとな。

「ふーん、そうなんや。二人は不満そうやけど」
「さあな。とりあえずは王都とやらを目指そうか」
「せやね。案内させてもらいます」

「そういえばあの船はどうするのでしょうかレンヤさん」

 ネネがそんなことを聞いてきた。
 たしかに海賊船をこんなところに放置しておくのもどうかとはおもう。
 インベントリに入れるにはさすがに大きいんじゃないかな?
 
<『ハコニワ』内のドックになら収納可能です>

(ドックか)

 『ハコニワ』に直接納入みたいな感じか。
 だったらここはスララの出番だな。

「スララいけるか?」

(だいじょうぶー)

 というとスララは海賊船に飛び乗る。
 スララの能力ならこれぐらいの段差は楽勝だ。
 『探知』で確認してみると船の上でスララは分体を出し等間隔に配置している。
 そしてその間を繋ぐと巨大なスララとなり海賊船を飲み込んでいく。
 
 スーッと上から溶かされるように海賊船は消えていった。
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