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15.勘違い

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<データが不足しています>

(うおっ! 久々に天の声をきいたよ)

「どうかされましたか?」

 シーナとネネは不思議そうにこちらをみている。

「ああ、大丈夫だ」

 久しぶりに聞いたので驚いた。

<『ハコニワ』より供物が届きました>

 インベントリを確認すると《分析の種》が届いている。
 これを使えってことか。
 使用っと。

<スキル『分析』を覚えました>

 だんだんとスキルも簡単に覚えられるようになってきたな。
 なになに。

 『分析』相手の情報が『鑑定』以上に細部までわかる。

 これって人間に使用していいのか?
 まあ必要だから種を送ってきたんだろうけど。

 プライバシーの侵害がこの世界にないことを祈ろう。

(いや、あるよな……)

 『分析』を使い『ハコニワ』に二人のデータをおくる。
 すると直ぐに二人分の洋服一式と靴がインベントリに届く。

「こんなのしかないけれど、今のよりは動きやすいと思うぞ」

 俺はきちんと折りたたまれている洋服と靴を手渡す。

「ありがとうございます。とても綺麗な服と靴ですわね」
「本当ですねシーナ様。新品の様です」

(まあ、作りたてだからね)

「それからこれを使って身体を拭いてくれ」

 水が入った桶とタオルを渡す。
 二人共、戦闘で汚れてしまっている。
 特にネネは傷が多かったので血の跡も目立つ。

 本来なら風呂を作ってあげたいところだけれど、今はこれで我慢してもらおう。

「そんなに水の入った桶まで収納されているなんて、おかしいですわね……」

 信じられないというような目でシーナは俺を見る。

「そうなのか? ほら、スープやココアの大きい版と思えば不思議じゃないだろ」
「普通はそんな量の水はマジックバッグには入りませんわ」
「……まあ上位版だからな」

 俺はボロが出そうなのでこの場から退散することにした。

「じゃあ俺は周囲を見張ってくるから、その間に着替えてくれ」
「はい。ありがとうございます」

 俺は二人に背を向けその場を離れる。
 さすがに着替えを見る訳にはいかない。
 彼女たちも俺がここにいては着替えにくいだろう。

「しかし魔境島か……」

 外界から孤立した島であり罪人を裁く処刑島。
 ずいぶんと大掛かりなことだ。
 大昔の賢者が作ったとのことだけど、まさかこれもあの女神の仕業なのか?

 ダンジョンの続きの可能性もあるかもしれない。
 普通の街や村に行けないのが不思議だ。
 何か理由があるのだろうか?

 ある程度強くなったら島の外を目指したいと思う。
 今は脱出の方法は分からない。
 『ハコニワ』に船を作ってもらうのもいいのだろうけれど。
 あの嵐の中海を渡るのは自殺行為だろう。

 ウイングボードで上空から突破なら可能性があるかもしれないけど……。

 しばらく周囲を歩いていると着替え終わったと声がかかる。
 戻ってみると。

「おお~!」

 着替え終わった彼女たちを改めてみると、とても似合っている。
 間違いなく二人共、美少女だ。 
 
 シーナはふわっとした茶色の髪で、育ちの良さか気品あるたたずまい。
 ネネは黒髪のストレートで意志の強そうな瞳だけど、優しそうな笑顔が印象的だ。
 二人共髪が邪魔にならないように後ろで結び、ポニーテールにしている。

「不思議なのですが、お借りした服がわたくし用に仕立てられた物のようですわ……」
「私の服もサイズが調度いいですね」

 そりゃそうだろ、がっちり採寸してるしね。
 『分析』スキルは優秀なようだ。

「良かった。二人共よく似合っているよ」

 ネネは少しタイトな感じだが動きを阻害しない服装なので、剣を扱う彼女にはいいだろう。

「シーナは魔法使いって感じか?」

 ネネとは違い上半身はゆったりとしたオープンショルダーのトップスだ。
 『分析』により最適な服装を『ハコニワ』が判断して作ったのだろう。

「そうですわね。今は封印されていますけれど光の魔法が使えますわ」

 王族が罪人となった場合、魔力を封印するのがシーナ達の国の決まりらしい。
 シーナもこちらに来る前に封印されて魔法が使えなくなったようだ。

「魔法が使えるなら『浄化』を使って身体を綺麗にしたいところなのですけれど」
「すみませんシーナ様、わたしは『浄化』を使えないので」

 たしかにタオルでは全ては綺麗にできないだろう。
 そんな魔法があるなら直ぐにでも使いたいほど汚れていたからな。
 俺も『浄化』スキルを覚えたいな。

「そうだ、シーナ」
「はい。なんでしょうレンヤさん」
「シーナのそれ封印じゃないぞ」
「えっ?」

 戸惑うシーナ。
 言っている意味がよくわからないようだ。

「封印で魔法を使えないようにされているはずなのですけれど……」

 やはり気付いていないか。
 俺は『鑑定』でステータスが見えるので彼女の状態がわかる。
 彼女には伝えたほうがいいだろう。

「それ封印じゃなくて……」

 彼女は不安そうに俺を見つめて息をのむ……。

「呪いだよ」
「!?」

 俺はシーナに告げた。
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