上 下
8 / 33

1章「羽なし」と呼ばれた娘⑦

しおりを挟む
 蝙蝠が旋回する中心にいたのは黒ずくめの男。橙色をした黄昏時の太陽光はちょうど影になり、黒いコートが際立って影に溶け込むかのようだ。 

 しかも男は目深に被っていた中折れ帽のつばに手を当てていて、夕花の位置からは顔が見えない。しかし夕花が出てきたのに気付いたのか、帽子を脱いだ。

「神楽夕花……俺の花嫁。君を迎えに来た」

 現れたのは、淡い金色の髪に鮮やかな紅色の瞳、そして、端正な顔立ち。
 ──その顔は、先日助けた、あの金髪の青年だった。

「あ、貴方は……!」
「そうか、あの時は名乗っていなかったな。俺の名は月森白夜つきもりびゃくや。吸血鬼だ。だが、恐れないでほしい。吸血鬼が血を吸って幻羽族の娘を殺してしまうというのは迷信だ」

 彼は夕花に手を差し出した。
 あまりの美貌と涼やかな切れ長の瞳は作り物めいていて、とっつきにくそうにも見えていた。しかし、夕花を見つめて、ふわっと微笑む。そうすると穏やかで優しげに見えた。

 ──この人なら大丈夫かもしれない。

 そう思い、白夜に差し出された手を取ろうとした瞬間、ドンッと突き飛ばす勢いで愛菜に押しのけられてよろめいた。

 愛菜は大きな瞳を潤ませ、白桃のような頬を赤らめて、白夜を見上げる。

「あ、あのっ、初めまして。わたし、神楽愛菜と申します。姉さん──夕花の妹ですっ!」

 その背には、純白の幻羽が黄昏の薄闇に負けないほど白く煌めいている。羽なしの夕花に見せつけるためにわざわざ幻羽を出したのだとわかった。

「愛菜……? そんな娘がいるとは聞いていないが」
「そうですか? じゃあ今、覚えてください、白夜様」

 愛菜はその言葉が、他人には傲慢に聞こえるとは思っていないのだろう。父たちが慌て、白夜も片眉をピクリと上げたが、まったく気付いていない様子だ。

「それで何の用だ」
「姉さんは長女でこの家の後継ぎなんです。しかも仕事をしているから、辞めたくないと、さっきも言っていました。ね、可哀想でしょ?」

 愛菜は勝手なことをペラペラ語りだした。後妻が止める声にも気にする様子はない。

「だから、わたしが姉さんの代わりに参ります」

 ニッコリ微笑む愛菜は、それはそれは愛らしい。幻羽を出している愛菜はまさに天使のようなのだ。愛菜は手荒れのない白い手で白夜の手を握り、小首を傾げた。

「ねえ、白夜様、いいでしょ?」

 愛菜の媚びた声と裏腹に、夕花は肩を丸めて俯く。

 きっと、白夜も愛菜を花嫁にすると言うのだろう。愛菜はそんなわがままの全てが許されるくらい愛らしい。誰もが彼女を愛してしまう。期待なんてしない方がいい。
 そう思った瞬間、パシッという音が響いた。

「──俺に気安く触れるな」 

 白夜が愛菜の手を強引に振り払ったのだ。

 その顔は、夕花に向けるものとは大違いで、まるで別人だ。造作が整っているからこそ、ひどく冷酷に見えた。

「え?」

 愛菜はまさか拒否されるとは思ってもみなかったのか、きょとんと目を丸くする。

「ど、どうして……わたしの何が不満なんですか?」
「何を言う。男の匂いをプンプンさせておいて。汚らわしい。近寄るのも嫌になるほど臭い」
「な、なんですって……!」

 白夜にそう言われ、愛菜はカッと気色ばむ。

「ま、愛菜、男の匂いとはどういうことだ。ま、まさか、どこぞの男と不純なことをしているんじゃないだろうな!」
「ち、違うの父様! こんなの何かの間違いだわ! ね、ねえ白夜様っ⁉︎」

 白夜は慌てている愛菜を無視して言った。

亘理わたり、約束の金を」
「はーいっ!」

 この場にいない声がしたと思った途端、中空を旋回していた蝙蝠がするっと溶けるように形が歪み、人の姿に変わっていた。白夜をご主人と呼んで迎えに来たあの少年だ。

 彼はさっと門から出ていったと思いきや、腕に大きな風呂敷包みを抱えてトコトコと戻ってきた。

「こちら、神楽夕花様を花嫁として月森家にいただく、そのお約束のお金でございまーす。ええと、借金の同額ですねー」

 少年──亘理は大きな風呂敷包みを開き、揉めている父と愛菜の足元にドサッと投げた。その札束の数といったら、ゆうに数千万はありそうだ。彼らの視線が風呂敷包みに吸い寄せられる。

「ふう、重かったぁ」

 やれやれとばかりに亘理は細い腕で汗を拭うような仕草をしている。
 あまりの金額に呆然としていた夕花は、白夜に手を握られた。

「あ……」
「さあ、今のうちに行こうか」

 見れば、父と後妻はまるで餓鬼のように札束に群がっている。ゾッとするような光景だ。

「……泣いていたのか」

 そう言って、白夜は夕花の目の下を優しく撫でた。鮮やかな紅色の瞳が、夕花の目を覗き込む。心臓がドキッと大きく跳ねた。

「君を助けに来た。もう泣かなくていい」

 どうして、そう聞き返そうとした時、愛菜が食ってかかってきた。また押しのけられそうになった夕花は白夜の背中に庇われた。

 しかし愛菜は諦めずに白夜の腕に縋り付く。

「ま、待ちなさいよ! どうしてわたしじゃなくて姉さんなのっ⁉︎ 姉さんは出来損ないの羽なしで、わたしはこんなに綺麗な幻羽を出せるのよ。顔だってわたしの方が姉さんよりずっと美人じゃない。みんなそう言ってるわ。地味で陰気なその人より、わたしの方がずっと上でしょ⁉︎」

 夕花は愛菜の言葉に顔を歪め、真実を口にした。

「そ、そうです。私は羽なしで……幻羽族として、出来損ないなんです」

 夕花は震える声でそう言った。愛菜の言っていることは全て真実なのだ。
 愛菜は夕花が同意したことで、ニタッと満足そうな笑みを浮かべた。

 夕花は俯いて地面を見つめた。
 きっと羽なしなどいらないと言われてしまうのだろう。そう考えると震えが込み上げる。今度こそ全てを失う。居場所も、心の拠り所さえも。

 夕花は震える手を握り、白夜に向かって頭を下げた。

「黙っていて……申し訳ありません……」

 自分のような出来損ないを好んで嫁にもらおうとする人など、いるはずがない。白夜もきっとそうだ。このまま愛菜の思い通りになってしまうのたろう。

 しかし白夜は夕花を離そうとはしなかった。

「話とやらはそれだけか。なら、それ以上、夕花に近付くな!」 

 白夜は眉を顰め、愛菜を睨む。その紅色の瞳が一瞬、ギラッと光った。

「……ひっ!」

 愛菜は恐怖に顔を歪ませ、よろめきながら数歩下がり、その場にペタリと尻餅をついた。

 白夜が何かをしたのだろうか。ただ睨み付けただけだというのに、愛菜は真っ青になってガクガクと震えている。

「夕花よりお前の方が美人だと? 笑わせるな」

 白夜はそう言って指をパチンと鳴らした。

 ──次の瞬間、夕花は白無垢を身に纏っていた。
 艶のある白の絹地に、白で花模様の刺繍が施されている。夕方の柔らかな橙色に照らされ、刺繍のわずかな凹凸が乱反射し、白一色の着物だというのに、幾重にも光り輝いて見えた。

「えっ……こ、これは……?」

 夕花はきょとんとして、己の着ているものに視線を落とす。まさかこれも吸血鬼の異能の力なのだろうか。

「花嫁に花嫁衣装を着せるのは当然だろう? それから、これも」

 白夜は夕花の顎をクイッと上げさせ、耳の上に大ぶりの白い花を差し込んだ。ふわっと花の甘い香りが漂う。

「少しだけじっとしてくれ。紅を塗るだけだ」

 そう言いながら薬指で夕花の唇をなぞった。白夜は目を細め、夕花をじっくりと見つめる。その鮮やかな紅色の瞳に吸い込まれてしまいそうな心地がしていた。

「背を丸めず、顔を上げて、まっすぐに。ほら、俺の花嫁は誰よりも美しい」

 白夜は支えるように夕花の背中に腕を回し、夕花に父の方を向かせた。

「お、お前、本当に夕花か……?」

 父の目が驚愕に見開いた。後妻も、早紀も、そして尻餅をついたままの愛菜までもが、夕花を見てポカンと口を開けている。

 どういうことか夕花すらも理解できず、目をぱちぱちとする。

 亘理だけが得意そうに言った。

「夕花様、唇に紅を差しただけで、とっても美人じゃないですか。肌が綺麗で色も白いから、白粉すら必要ないんでしょうね」
「夕花の本当の美しさを、見る目のないお前たちは気付かなかったのだな」

 白夜はそう父たちに吐き捨てた。
 父はまな板の上の魚のように口をパクパクさせている。

「あ、夕花、ま、待ってくれ──」
「そこで止まれ」

 白夜がそう言うと、夕花に手を伸ばしていた父は、ビクンッと震え体が硬直したように動くのを止めていた。

「契約通り、今後、夕花に近付くことは許さない。彼女は俺の花嫁だ。何か用事がある場合は俺を通せ。もし契約を破った場合……その金を返してもらう」

 白夜はそのまま振り返りもせず、夕花の肩を抱いて神楽家の門を出た。

「さあ夕花、家に帰ろう」
「で、でも、私は羽なしなんです……! 貴方の花嫁に相応しくありません」
「相応しいかどうかは俺が決める。そして俺は夕花に決めた」

 白夜はそう言って、夕花の黒髪に口付けを落とした。髪に挿した白い花だけでなく、白夜からも同じ甘い香りがする。
 夕花はカアッと頬が熱くなるのを感じた。心臓もドクンと激しく震える。

 もしかするとそれがきっかけだったのか。

 突然、くらり、と目眩がした。立て続けに体がずっしり重くなり、足がもつれる。
 転んでしまう、そう思った時、さっと白夜に横抱きにされていた。夕花は白夜に抱かれたまま目を白黒させる。

「あっ……」
「顔色が悪い。大丈夫、そのまま楽にするといい」

 白夜は細身で筋骨隆々ではないが、その腕はしっかりと夕花を抱きかかえ、びくともしない安定感があった。

 夕花は不思議と安らいだ気持ちになり、力を抜いた。
 音が遠ざかり、視界も白黒になっていく。ただ、白夜の甘い香りだけを感じる。

 夕花には長年の疲労が蓄積していた上、この数時間で様々なことが立て続けに起こり、精神的にも限界が来ていたのだろう。

 張り詰めていた糸がプッツリと切れるように、夕花の意識は遠のいていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

生贄の花嫁~鬼の総領様と身代わり婚~

硝子町玻璃
キャラ文芸
旧題:化け猫姉妹の身代わり婚 多くの人々があやかしの血を引く現代。 猫又族の東條家の長女である霞は、妹の雅とともに平穏な日々を送っていた。 けれどある日、雅に縁談が舞い込む。 お相手は鬼族を統べる鬼灯家の次期当主である鬼灯蓮。 絶対的権力を持つ鬼灯家に逆らうことが出来ず、両親は了承。雅も縁談を受け入れることにしたが…… 「私が雅の代わりに鬼灯家に行く。私がお嫁に行くよ!」 妹を守るために自分が鬼灯家に嫁ぐと決心した霞。 しかしそんな彼女を待っていたのは、絶世の美青年だった。

異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました

平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。 騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。 そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

百合系サキュバス達に一目惚れされた

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。 神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。 追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。 居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。 小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※アルファポリス先行公開。 ※表紙はAIにより作成したものです。

後宮で立派な継母になるために

絹乃
キャラ文芸
母である皇后を喪った4歳の蒼海(ツァンハイ)皇女。未来視のできる皇女の養育者は見つからない。妃嬪の一人である玲華(リンホア)は皇女の継母となることを誓う。しかし玲華の兄が不穏な動きをする。そして玲華の元にやって来たのは、侍女に扮した麗しの青年、凌星(リンシー)だった。凌星は皇子であり、未来を語る蒼海の監視と玲華の兄の様子を探るために派遣された。玲華が得意の側寫術(プロファイリング)を駆使し、娘や凌星と共に兄の陰謀を阻止する継母後宮ミステリー。※表紙は、てんぱる様のフリー素材をお借りしています。

処理中です...