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24 魔術騎士団
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馬車に乗ってからもなお渋るロベリアを宥めていると魔術騎士団に到着した。
ロベリアはまず呪術の影響や、体調に問題がないかを魔術騎士団の医師に診てもらうことになった。
私はレオンに連れられて奥の部屋に入る。
その部屋には男性の姿に戻ったライエルさんかいた。魔術騎士団の制服を着ていなければ印象に残りにくい顔立ちで、ついさっきまで美女にしか見えなかったのが嘘のようだ。
それともう一人、魔術騎士団の制服を着た男性がいる。
三十代後半くらいだろうか。厳格そうな顔をしている。その男性が口を開いた。
「レオン、その方が?」
「はい。俺の婚約者のグレイスです。彼女の機転により鞄に付けるチャームに呪術具を紛れさせていることに気付けました」
「ああ。ライエルから先に話は聞いている」
私にその厳しい視線が向けられ、自然と背筋が伸びた。
「グレイス、この方はこの魔術騎士団の副団長だよ」
「あっ、あの、グレイス・ガーフィールと申します」
副団長と聞き、私は慌てて頭を下げた。
「バーゲルトだ。気を楽にしてくれ」
この魔術騎士団で二番目に偉い人だ。私からすれば雲の上の人に等しい。いきなりでそんな人に会うとは思ってもみなかった。
「グレイスさん、むさ苦しいところによくいらしてくれたね」
「い、いえ、とんでもございません……! 少しでもお役に立てたなら幸いです」
厳しい顔をした副団長さんは不意に目を細めて笑う。目尻に皺が寄って、途端に穏やかに見えた。
「それでレオン。その鞄とチャームを見せてもらおうか」
「こちらです」
ロベリアの鞄を副団長さんに渡す。
副団長さんは片眼鏡をかけ、鞄を観察している。特にチャームの部分はじっくりと時間をかけて見ていた。
「レオン、確かにこのチャームに呪術痕跡はある。しかし回路が壊れているんだが」
「ええ、その件なのですが……」
レオンは副団長さんに鞄に私が触ったらあざが浮き出て、呪術により様子のおかしくなっていたロベリアの症状が消えたという一連のことを告げた。
「……なるほど」
副団長さんはしばらく考え込んだ後、私に目を向けた。
「グレイスさんの手を見せていただいてもよろしいか」
「は、はい。どうぞ」
私は手を差し出した。
しかしレオンは眉をぎゅっと寄せ、私と副団長さんの間に割り込む。
「副団長、俺の可愛いグレイスに変なことしないでくださいよ」
「やだ、レオンってばなんてことを言うの!」
「大切な婚約者なのだな。ただ魔術痕跡を辿るだけだ。言っておくが、私は愛する妻以外は、どんな美女にも興味がないのでね」
レオンに変なことを言われても副団長さんは大人の余裕で受け流し、笑っている。
「あの、なんかすみません……」
ライエルさんだけが申し訳なさそうに私に謝罪をした。
改めて、副団長さんからマジマジと手を観察された。
「ふむ……なるほど。チャームに触れたらあざが手のひらに移ったのだな。それも二回目となると、やはり原因はグレイスさんに間違いない」
「わ、私のせいですか……?」
「いや、これは体質……おそらくグレイスさんの加護なのだろう。彼女には非常に高い呪術耐性があるようだ」
私は思いがけない言葉に目を見開いた。
「わ、私がですか!?」
「ああ。もっと言うと、呪術具から回路を破壊し、呪力を吸って呪術具自体を完全に無効化している。だからグレイスさんにはこの手の呪術具が一切通用しないのではないか」
「でも、さっきもそうでしたが、呪術具に触れると熱が出てしまうのです。耐性とは思えなくて……」
「それは吸った呪力が体内に残ることで肉体に負担がかかるからだろう。呪術を受けているせいではない。その状態の時にレオンが触れることで、流し込まれたレオンの魔力とぶつかりあい、相殺されるため、熱が下がると推測される」
「ということは、俺とグレイスの相性が極めてよいということですよね」
レオンは真顔で言い、副団長さんとライエルさんはやれやれという顔をした。
私の方はといえば、多分顔が真っ赤になっていそうだ。
「ま、まあそうだろうが。それにしても稀有な力だ。今回だけでなく、例えば王族など、他国の人間に呪術で命を狙われた際には、グレイスさんとレオンが揃えば無効化出来るのだからな」
私はそれを聞いて目を見開いた。
「わ、私に誰かを救うことが出来るかもしれないってことですか!?」
心臓がドキドキと音を立てている。
何も特技もなく才能もない、ごく平凡でしかないと思っていた私に思わぬ加護があったなんて。
「特殊な加護にはなかなか気が付かないものだ。グレイスさん、貴方にはその力を使い、呪術具で苦しむ人を助けてほしい」
「私に出来ることでしたら、喜んで!」
「しかし、相殺できるくらいの魔力を放出するのは消耗が激しくて危険では?」
ライエルさんはそう言うが、副団長さんは首を横に振った。
「通常であればそうだが、レオンは魔力過多症だ。何度も魔力を流し込んでも問題ない。むしろ多すぎる分、少し減らすくらいでちょうどいいだろうしな」
「やっぱり相性が……」
レオンは嬉しそうにうんうんと頷いている。ライエルさんはそんなレオンに肩をすくめた。
「レオン先輩、いくらグレイスさんが可愛いからってデレデレしすぎじゃないですか?」
「そう言うセリフは俺に一度でも勝ってから言ってくれ」
レオンはそう言って、輝くような笑みを浮かべたのだった。
ロベリアも医師の診察を受け、呪術の影響は完全に抜けているとわかった。
あとはここ数日の不眠不休でレッスンしていた疲労によるものなので、ゆっくり休み、栄養のあるものを食べれば回復するそうだ。
「グレイス……私が助かったのは貴方のおかげよ。ありがとう」
帰りの馬車でロベリアはそう言った。
「ううん。ロベリアが鞄の話をしてくれたでしょう。それがなかったら気が付かなかったもの」
「グレイスだけじゃなく、レオン様も……感謝いたします。貴方のような方ならグレイスをきっと幸せにしてくれるでしょう」
「ああ、任せてほしい。グレイスのことは大切にする」
私はもうずっと顔が真っ赤だ。
ロベリアは私のことをぎゅっと抱きしめる。
「レオン様、でも、もしもグレイスを不幸にしたら、私が絶対許しませんからね!」
「そうならないように気を付ける。グレイスが傷付けられないように俺が守るさ」
「そう……ならよかった。グレイス、いいことを教えてあげる。レオン様に口止めされてたんだけど……」
「え? なんの話?」
「それは……!」
「子供の頃、レオン様はグレイスのスカートを引っ張って転ばせたかったんじゃないのよ。グレイスがトイレの後、スカートがめくれ上がっててドロワーズが丸見えだったのを誰にも見られないように大急ぎで引っ張ったら、力が強すぎたんですって! あはは、おかしいの!」
ロベリアはクスクス笑い出す。
チラッとレオンの方を見たら顔を真っ赤にして目を逸らした。
「……ごめん」
それでロベリアの話が真実なのだと私はわかってしまった。
私は人生で一番というくらい、恥ずかしさに顔を真っ赤にしたのだった。
ロベリアはまず呪術の影響や、体調に問題がないかを魔術騎士団の医師に診てもらうことになった。
私はレオンに連れられて奥の部屋に入る。
その部屋には男性の姿に戻ったライエルさんかいた。魔術騎士団の制服を着ていなければ印象に残りにくい顔立ちで、ついさっきまで美女にしか見えなかったのが嘘のようだ。
それともう一人、魔術騎士団の制服を着た男性がいる。
三十代後半くらいだろうか。厳格そうな顔をしている。その男性が口を開いた。
「レオン、その方が?」
「はい。俺の婚約者のグレイスです。彼女の機転により鞄に付けるチャームに呪術具を紛れさせていることに気付けました」
「ああ。ライエルから先に話は聞いている」
私にその厳しい視線が向けられ、自然と背筋が伸びた。
「グレイス、この方はこの魔術騎士団の副団長だよ」
「あっ、あの、グレイス・ガーフィールと申します」
副団長と聞き、私は慌てて頭を下げた。
「バーゲルトだ。気を楽にしてくれ」
この魔術騎士団で二番目に偉い人だ。私からすれば雲の上の人に等しい。いきなりでそんな人に会うとは思ってもみなかった。
「グレイスさん、むさ苦しいところによくいらしてくれたね」
「い、いえ、とんでもございません……! 少しでもお役に立てたなら幸いです」
厳しい顔をした副団長さんは不意に目を細めて笑う。目尻に皺が寄って、途端に穏やかに見えた。
「それでレオン。その鞄とチャームを見せてもらおうか」
「こちらです」
ロベリアの鞄を副団長さんに渡す。
副団長さんは片眼鏡をかけ、鞄を観察している。特にチャームの部分はじっくりと時間をかけて見ていた。
「レオン、確かにこのチャームに呪術痕跡はある。しかし回路が壊れているんだが」
「ええ、その件なのですが……」
レオンは副団長さんに鞄に私が触ったらあざが浮き出て、呪術により様子のおかしくなっていたロベリアの症状が消えたという一連のことを告げた。
「……なるほど」
副団長さんはしばらく考え込んだ後、私に目を向けた。
「グレイスさんの手を見せていただいてもよろしいか」
「は、はい。どうぞ」
私は手を差し出した。
しかしレオンは眉をぎゅっと寄せ、私と副団長さんの間に割り込む。
「副団長、俺の可愛いグレイスに変なことしないでくださいよ」
「やだ、レオンってばなんてことを言うの!」
「大切な婚約者なのだな。ただ魔術痕跡を辿るだけだ。言っておくが、私は愛する妻以外は、どんな美女にも興味がないのでね」
レオンに変なことを言われても副団長さんは大人の余裕で受け流し、笑っている。
「あの、なんかすみません……」
ライエルさんだけが申し訳なさそうに私に謝罪をした。
改めて、副団長さんからマジマジと手を観察された。
「ふむ……なるほど。チャームに触れたらあざが手のひらに移ったのだな。それも二回目となると、やはり原因はグレイスさんに間違いない」
「わ、私のせいですか……?」
「いや、これは体質……おそらくグレイスさんの加護なのだろう。彼女には非常に高い呪術耐性があるようだ」
私は思いがけない言葉に目を見開いた。
「わ、私がですか!?」
「ああ。もっと言うと、呪術具から回路を破壊し、呪力を吸って呪術具自体を完全に無効化している。だからグレイスさんにはこの手の呪術具が一切通用しないのではないか」
「でも、さっきもそうでしたが、呪術具に触れると熱が出てしまうのです。耐性とは思えなくて……」
「それは吸った呪力が体内に残ることで肉体に負担がかかるからだろう。呪術を受けているせいではない。その状態の時にレオンが触れることで、流し込まれたレオンの魔力とぶつかりあい、相殺されるため、熱が下がると推測される」
「ということは、俺とグレイスの相性が極めてよいということですよね」
レオンは真顔で言い、副団長さんとライエルさんはやれやれという顔をした。
私の方はといえば、多分顔が真っ赤になっていそうだ。
「ま、まあそうだろうが。それにしても稀有な力だ。今回だけでなく、例えば王族など、他国の人間に呪術で命を狙われた際には、グレイスさんとレオンが揃えば無効化出来るのだからな」
私はそれを聞いて目を見開いた。
「わ、私に誰かを救うことが出来るかもしれないってことですか!?」
心臓がドキドキと音を立てている。
何も特技もなく才能もない、ごく平凡でしかないと思っていた私に思わぬ加護があったなんて。
「特殊な加護にはなかなか気が付かないものだ。グレイスさん、貴方にはその力を使い、呪術具で苦しむ人を助けてほしい」
「私に出来ることでしたら、喜んで!」
「しかし、相殺できるくらいの魔力を放出するのは消耗が激しくて危険では?」
ライエルさんはそう言うが、副団長さんは首を横に振った。
「通常であればそうだが、レオンは魔力過多症だ。何度も魔力を流し込んでも問題ない。むしろ多すぎる分、少し減らすくらいでちょうどいいだろうしな」
「やっぱり相性が……」
レオンは嬉しそうにうんうんと頷いている。ライエルさんはそんなレオンに肩をすくめた。
「レオン先輩、いくらグレイスさんが可愛いからってデレデレしすぎじゃないですか?」
「そう言うセリフは俺に一度でも勝ってから言ってくれ」
レオンはそう言って、輝くような笑みを浮かべたのだった。
ロベリアも医師の診察を受け、呪術の影響は完全に抜けているとわかった。
あとはここ数日の不眠不休でレッスンしていた疲労によるものなので、ゆっくり休み、栄養のあるものを食べれば回復するそうだ。
「グレイス……私が助かったのは貴方のおかげよ。ありがとう」
帰りの馬車でロベリアはそう言った。
「ううん。ロベリアが鞄の話をしてくれたでしょう。それがなかったら気が付かなかったもの」
「グレイスだけじゃなく、レオン様も……感謝いたします。貴方のような方ならグレイスをきっと幸せにしてくれるでしょう」
「ああ、任せてほしい。グレイスのことは大切にする」
私はもうずっと顔が真っ赤だ。
ロベリアは私のことをぎゅっと抱きしめる。
「レオン様、でも、もしもグレイスを不幸にしたら、私が絶対許しませんからね!」
「そうならないように気を付ける。グレイスが傷付けられないように俺が守るさ」
「そう……ならよかった。グレイス、いいことを教えてあげる。レオン様に口止めされてたんだけど……」
「え? なんの話?」
「それは……!」
「子供の頃、レオン様はグレイスのスカートを引っ張って転ばせたかったんじゃないのよ。グレイスがトイレの後、スカートがめくれ上がっててドロワーズが丸見えだったのを誰にも見られないように大急ぎで引っ張ったら、力が強すぎたんですって! あはは、おかしいの!」
ロベリアはクスクス笑い出す。
チラッとレオンの方を見たら顔を真っ赤にして目を逸らした。
「……ごめん」
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