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9 次こそ!
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「……それ、ただのデートじゃない」
「ち、違うの! 勝負みたいなものだから!」
その日もまたロベリアとお茶をしていた。
レオンの手土産であるアップルパイはとても美味しかったが、量が多くて食べ切れなかったので、ロベリアを呼んだのだ。
そしてレオンと出かけた経緯を話していたのだが……。
「ええー、だって、図書館はまあ置いておいて、服を買ってもらって、素敵なレストランでランチしたんでしょう。そういうのをデートと言わずしてなんなのよ」
ロベリアはアップルパイにフォークを突き刺しながら言う。
「それは……そこだけ聞けばそういう風に思うかもしれないけど……」
しかし先日のはレオンが私を嫌いになるように差し向ける作戦だったのだ。心情として大違いだ。
「でも、服とレストランはレオン様が店を探しておいてくれたんでしょう。大事にされてるじゃない──わ、このアップルパイ美味しい」
「大事になんて……」
しかし思い返せば、服だってレストラン貸切だって決して安いものではない。そしてどちらも私にとって嬉しいものだった。
今食べているアップルパイも、とっても美味しくて──
私は慌てて首を横に振った。
「違うから! 次はレオンへの嫌がらせをばっちり決めて婚約破棄してもらうんだから!」
「へえー、次も約束したんだ?」
「なによぉ……」
「いいえ、なんでも。それよりこのアップルパイ本当に美味しい!」
「でしょう。一日経ってもパイ生地はサクサクだし、中の林檎フィリングの食感もすごくよくて!」
話が変わってホッとしながら、ロベリアと楽しいお茶の時間を過ごしたのだった。
※※※
そしてまた週末である。
今日の服装は出来るだけ庶民らしい格好、汚れても平気なものと指定して銀鳥に手紙を運ばせた。
「ツィツィー、お手紙運んでくれてありがとう」
ツィツィーとはレオンから渡された銀鳥の名前だ。可愛い声でツィー、ツィーと鳴くのでツィツィーと名付けた。ロベリアには「そのまんまね」と不評だったけれど。
子供の銀鳥は大きさ、形ともハクセキレイによく似ている。ハクセキレイの色をそのまま銀にした感じだ。魔術生物なので、本当の生き物ではないのだが、止まり木に止まって餌をせがむ様子は本物の小鳥のようで可愛らしい。
餌は魔石のクズだ。餌の魔石クズを与えると、ツィツィーは可愛らしい仕草で啄み始めた。
「よーし、行くわよ」
レオンが来たことが告げられ、私は気合を入れた。
「レオン、今日は移動遊園地に行きましょう。昼食のこともちゃんと考えているの。遊園地には飲食の屋台が出ているんですって」
今回の作戦は庶民が行くような場所でデートをすることにしたのだ。しかも子供っぽい遊園地というチョイス。食事は屋台のものと徹底させる。
移動遊園地のことは本で読んだことがあるくらいだけれど、ガラからどういう場所なのかは聞いてある。
「……移動遊園地」
レオンは軽く眉を寄せ、考えるように顎に手を当てた。
「そうよ。場所は調べておいたから、行きましょう」
「ああ、だから汚れても構わない服なのか」
「ええ。私も歩き回りやすい服と靴にしたのよ」
貴族に見えないようにガラにチェックしてもらったから問題ないはずだ。
レオンはじっと私を見て言った。
「……グレイスは何を着ても似合う」
──むむ、それってつまり、私には庶民の服がお似合いだってこと?
確かに高貴さは自分でも足りていないと思うけれど。
「レオンは……あまり似合わないわね」
レオンの服装はグレーのシャツに黒のパンツ。確かに汚れても平気なのだろうし、レオンにしては地味な服だ。シャツの形状も流行り廃りのないシンプルなものだが、どうしても顔の良さのせいで妙に目立つ。
しかし顔ばかりはどうしようもない。隠すわけにはいかないし。
今も困ったように首を傾げるレオンの顔が良すぎて眩しい。発光でもしているのだろうか。
「この服ではダメだったか?」
「……まあいいわ。行きましょう」
「そうだな」
しかしお父様が真っ青な顔で私の行く手を遮った。
「ま、待ちなさい。グレイス、レオン殿をどこにお連れする気だ」
「移動遊園地です」
「そ、そんな場所に!? 高位の貴族が行くような場所ではない。ああいうところは治安もよくないのだよ。いい子だから考え直しなさい!」
お父様は痙攣でも起こしているのかというくらいの速度で首をブルブル横に振った。
予想通り反対のようだ。
移動遊園地は普段は何もない野原にある。繁華街からはむしろ遠いくらいだ。
庶民は子供でも行くのだし、それほど治安が悪い場所とは思わない。しかし頭の硬いお父様には理解出来ないのだろう。
「もう、お父様! 平気です。私だって子供じゃありません!」
「世間知らずのお前だから心配なんじゃないか」
「ガーフィール伯爵、グレイスの好きなようにさせてもらえませんか。グレイスのことはご安心ください。魔術騎士の誇りにかけて、俺が彼女の身をお守りしますから」
「……レオン殿がそう言うのであれば……」
ようやく折れたお父様に「行ってきます」と言い、表に出た。
「あのねレオン、移動遊園地まで、臨時の乗合馬車が出ているんですって! ちゃんと馬車の乗り場も調べたの」
私は自信満々でそう言った。
「……グレイス。乗合馬車は、多分一時間に一本くらいしか出ていない」
「そうなの!?」
「ああ。今からだとかなり待つことになるだろう。うちの馬車で行こう。まだ帰していないから」
「うーん、仕方ないわね」
お父様のせいで足止めを食らったから遅くなってしまったのだ。
レオンの馬車に乗り、無事に移動遊園地に着いた。
しかしふと思った。
やっぱり乗合馬車で行けばよかったんじゃないかしら。レオンをうんと待たせて、うんざりさせたら私のこと嫌いになったかもしれないのに。
けれどもう着いてしまったからには仕方がない。
気を取り直して移動遊園地の門を潜った。
「わあ……!」
目の前にキラキラした空間が広がっていた。
回転木馬や乗り物の遊具、高い壁に囲まれた迷路にミラーハウス。
おもちゃやお菓子を売る屋台がずらりと並んでいる。
昼間だというのに光る魔石があちこちに飾られていて、どこもかしこも輝いていた。
人も多くて賑やか。道ゆく人々の笑顔が眩しいこと。
お祭りのような光景に思わず目が釘付けになる。
「すごい……!」
「移動遊園地って聞いていたが、随分本格的なんだな。ここ、元は何もない野原のはずだが」
「そうよね。レオンも初めて来たの?」
「ああ……魔術騎士団の任務で、まだまだ何もない野原の時に見回りに来たくらいだ」
「じゃあ、余計にすごいのがわかるわね! ねえ、あれって何かしら。あっちの屋台も気になるわ」
私はたまらず、キョロキョロとしてしまった。
「楽しそうだな、グレイス」
「……実は本で読んで、一度来てみたかったの。でもお父様はこういうのよく思わないみたいだし……」
気付けばレオンに本心を明かしていた。
ハッと我に返ったがもう遅い。
「ち、違うから! 今のなし! これはレオンへの嫌がらせなの!」
「……ああ、わかってるよ」
レオンは私に耳打ちをする。
「グレイスは俺が楽しめないと思う場所を、頑張って考えてくれたんだよな?」
「そ、そうよ!」
「じゃあ、行こうか。君の気になるものを全部見てみよう」
レオンは私の手を握り、ギョッと肩がはねた。
「どうして私の手を握るのよ!」
「そりゃあはぐれないためさ。こんなに人が多いからな」
「確かに……すごく混んでるものね。し、仕方ないわよね……」
私はレオンの手をそっと握り返した。
「ち、違うの! 勝負みたいなものだから!」
その日もまたロベリアとお茶をしていた。
レオンの手土産であるアップルパイはとても美味しかったが、量が多くて食べ切れなかったので、ロベリアを呼んだのだ。
そしてレオンと出かけた経緯を話していたのだが……。
「ええー、だって、図書館はまあ置いておいて、服を買ってもらって、素敵なレストランでランチしたんでしょう。そういうのをデートと言わずしてなんなのよ」
ロベリアはアップルパイにフォークを突き刺しながら言う。
「それは……そこだけ聞けばそういう風に思うかもしれないけど……」
しかし先日のはレオンが私を嫌いになるように差し向ける作戦だったのだ。心情として大違いだ。
「でも、服とレストランはレオン様が店を探しておいてくれたんでしょう。大事にされてるじゃない──わ、このアップルパイ美味しい」
「大事になんて……」
しかし思い返せば、服だってレストラン貸切だって決して安いものではない。そしてどちらも私にとって嬉しいものだった。
今食べているアップルパイも、とっても美味しくて──
私は慌てて首を横に振った。
「違うから! 次はレオンへの嫌がらせをばっちり決めて婚約破棄してもらうんだから!」
「へえー、次も約束したんだ?」
「なによぉ……」
「いいえ、なんでも。それよりこのアップルパイ本当に美味しい!」
「でしょう。一日経ってもパイ生地はサクサクだし、中の林檎フィリングの食感もすごくよくて!」
話が変わってホッとしながら、ロベリアと楽しいお茶の時間を過ごしたのだった。
※※※
そしてまた週末である。
今日の服装は出来るだけ庶民らしい格好、汚れても平気なものと指定して銀鳥に手紙を運ばせた。
「ツィツィー、お手紙運んでくれてありがとう」
ツィツィーとはレオンから渡された銀鳥の名前だ。可愛い声でツィー、ツィーと鳴くのでツィツィーと名付けた。ロベリアには「そのまんまね」と不評だったけれど。
子供の銀鳥は大きさ、形ともハクセキレイによく似ている。ハクセキレイの色をそのまま銀にした感じだ。魔術生物なので、本当の生き物ではないのだが、止まり木に止まって餌をせがむ様子は本物の小鳥のようで可愛らしい。
餌は魔石のクズだ。餌の魔石クズを与えると、ツィツィーは可愛らしい仕草で啄み始めた。
「よーし、行くわよ」
レオンが来たことが告げられ、私は気合を入れた。
「レオン、今日は移動遊園地に行きましょう。昼食のこともちゃんと考えているの。遊園地には飲食の屋台が出ているんですって」
今回の作戦は庶民が行くような場所でデートをすることにしたのだ。しかも子供っぽい遊園地というチョイス。食事は屋台のものと徹底させる。
移動遊園地のことは本で読んだことがあるくらいだけれど、ガラからどういう場所なのかは聞いてある。
「……移動遊園地」
レオンは軽く眉を寄せ、考えるように顎に手を当てた。
「そうよ。場所は調べておいたから、行きましょう」
「ああ、だから汚れても構わない服なのか」
「ええ。私も歩き回りやすい服と靴にしたのよ」
貴族に見えないようにガラにチェックしてもらったから問題ないはずだ。
レオンはじっと私を見て言った。
「……グレイスは何を着ても似合う」
──むむ、それってつまり、私には庶民の服がお似合いだってこと?
確かに高貴さは自分でも足りていないと思うけれど。
「レオンは……あまり似合わないわね」
レオンの服装はグレーのシャツに黒のパンツ。確かに汚れても平気なのだろうし、レオンにしては地味な服だ。シャツの形状も流行り廃りのないシンプルなものだが、どうしても顔の良さのせいで妙に目立つ。
しかし顔ばかりはどうしようもない。隠すわけにはいかないし。
今も困ったように首を傾げるレオンの顔が良すぎて眩しい。発光でもしているのだろうか。
「この服ではダメだったか?」
「……まあいいわ。行きましょう」
「そうだな」
しかしお父様が真っ青な顔で私の行く手を遮った。
「ま、待ちなさい。グレイス、レオン殿をどこにお連れする気だ」
「移動遊園地です」
「そ、そんな場所に!? 高位の貴族が行くような場所ではない。ああいうところは治安もよくないのだよ。いい子だから考え直しなさい!」
お父様は痙攣でも起こしているのかというくらいの速度で首をブルブル横に振った。
予想通り反対のようだ。
移動遊園地は普段は何もない野原にある。繁華街からはむしろ遠いくらいだ。
庶民は子供でも行くのだし、それほど治安が悪い場所とは思わない。しかし頭の硬いお父様には理解出来ないのだろう。
「もう、お父様! 平気です。私だって子供じゃありません!」
「世間知らずのお前だから心配なんじゃないか」
「ガーフィール伯爵、グレイスの好きなようにさせてもらえませんか。グレイスのことはご安心ください。魔術騎士の誇りにかけて、俺が彼女の身をお守りしますから」
「……レオン殿がそう言うのであれば……」
ようやく折れたお父様に「行ってきます」と言い、表に出た。
「あのねレオン、移動遊園地まで、臨時の乗合馬車が出ているんですって! ちゃんと馬車の乗り場も調べたの」
私は自信満々でそう言った。
「……グレイス。乗合馬車は、多分一時間に一本くらいしか出ていない」
「そうなの!?」
「ああ。今からだとかなり待つことになるだろう。うちの馬車で行こう。まだ帰していないから」
「うーん、仕方ないわね」
お父様のせいで足止めを食らったから遅くなってしまったのだ。
レオンの馬車に乗り、無事に移動遊園地に着いた。
しかしふと思った。
やっぱり乗合馬車で行けばよかったんじゃないかしら。レオンをうんと待たせて、うんざりさせたら私のこと嫌いになったかもしれないのに。
けれどもう着いてしまったからには仕方がない。
気を取り直して移動遊園地の門を潜った。
「わあ……!」
目の前にキラキラした空間が広がっていた。
回転木馬や乗り物の遊具、高い壁に囲まれた迷路にミラーハウス。
おもちゃやお菓子を売る屋台がずらりと並んでいる。
昼間だというのに光る魔石があちこちに飾られていて、どこもかしこも輝いていた。
人も多くて賑やか。道ゆく人々の笑顔が眩しいこと。
お祭りのような光景に思わず目が釘付けになる。
「すごい……!」
「移動遊園地って聞いていたが、随分本格的なんだな。ここ、元は何もない野原のはずだが」
「そうよね。レオンも初めて来たの?」
「ああ……魔術騎士団の任務で、まだまだ何もない野原の時に見回りに来たくらいだ」
「じゃあ、余計にすごいのがわかるわね! ねえ、あれって何かしら。あっちの屋台も気になるわ」
私はたまらず、キョロキョロとしてしまった。
「楽しそうだな、グレイス」
「……実は本で読んで、一度来てみたかったの。でもお父様はこういうのよく思わないみたいだし……」
気付けばレオンに本心を明かしていた。
ハッと我に返ったがもう遅い。
「ち、違うから! 今のなし! これはレオンへの嫌がらせなの!」
「……ああ、わかってるよ」
レオンは私に耳打ちをする。
「グレイスは俺が楽しめないと思う場所を、頑張って考えてくれたんだよな?」
「そ、そうよ!」
「じゃあ、行こうか。君の気になるものを全部見てみよう」
レオンは私の手を握り、ギョッと肩がはねた。
「どうして私の手を握るのよ!」
「そりゃあはぐれないためさ。こんなに人が多いからな」
「確かに……すごく混んでるものね。し、仕方ないわよね……」
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