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第四章 消せない疑心
Ⅰ 街の有名人
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ベルツ家の馬車で送ってもらい、錬金術師の家に着いたのは十時を十分ほど過ぎた頃だった。この時間なら「早い」と文句を言われることもないだろうと胸を張り、呼び鈴を鳴らすウリカだったが、錬金術師の出迎えはなかった。
もしかしたら調合の最中なのかと思いながら取っ手を引っ張ると、あっけなく扉が開く。
不用心だなぁ、と呟きながらもそっと中に入ったウリカは、なるべく音を立てないように工房へと向かった。
(コソ泥になった気分……)
とはいえ、調合に集中しているときに余計な雑音を立てると怒られるので、これは仕方がない。
工房に着くと、部屋の扉が開けっ放しになっていた。ますます不用心だな、と思いながらそっと中を覗くと、目を見張る光景がそこにはあった。
「大丈夫ですかっ!?」
ウリカが血相を変えたのも無理はない。室内は荒らされた後かのように物が散乱し、部屋の中央に据えられた作業台のすぐ横でウィリアムが倒れていたのだから。
ウリカは急いでうつ伏せた状態の錬金術師に駆け寄った。しかし、頭を打っていたらという思いが過ぎり、迂闊に身体を動かせないまま、その背中を軽く揺するのにとどまった。
「大丈夫ですか、ウィリアムさん?」
先ほどと同じ問いかけを繰り返すと、ウィリアムの体がぴくりと動き、直後にその頭がゆっくりと持ち上がった。虚ろな砂色の瞳が少女へと向けられる。
「一体、何があったんですか? 誰がこんなひどいこと……」
状況から見て、賊でも入ったのでは、と思ってそう問いかけるウリカに、ウィリアムは弱々しく息を吐きだした。
「は……」
「は……?」
「はら…へった……」
「へ?」
ぱたり、とウィリアムが再び突っ伏す。
思ってもみなかった珍回答に、ウリカの思考はしばし沈黙したのであった。
「信っじられない!」
ウィリアム宅の食堂に、ウリカの怒声が響く。呆れと怒りが半々に入り交じった声だった。ちなみにその叫びは事の次第を聞いた感想である。
ウィリアムの説明はこうだ。
◇◆◇◆◇
昨夜ずっと研究に没頭していたら、いつの間にか明け方近くなっていたんだ。さすがに少し休もうと寝室に向かったんだが、ベッドに入る直前に思いついたことがあってな、それを確認するために急いで工房に戻ったんだよ。ああ、急いでいたからドアを閉め忘れたかもしれない……。
だが、いざ調合を始めてみると、想定したように上手くはいかなくて苦戦した。それでも諦めきれなかったんだ。何度も失敗を繰り返している内に光明が見えた気がして、気持ちが先走ってしまったんだろう……道具を取ろうと急激な方向転換をしたのがいけなかった。眩暈を自覚したときには、体のコントロールが利かなくなっていた。そこから記憶がはっきりしないから、多分そこで気を失ったんだろうな……。
目を開けたとき、君の顔が見えて、眩暈の原因に思い至ったんだ。そういえば一昨日君と一緒に食事をとって以降、何も食べていなかった気がするなぁ……と。
◇◆◇◆◇
つまり、空腹と寝不足が要因で倒れただけ、ということらしい。ウィリアムの胃袋は空腹になっても『ぐう~』とは鳴いてくれない欠陥品であるようで、丸一日食事を忘れることも珍しくはないという……。今回は寝不足も重なったのが不幸だった、と自己分析している錬金術師の姿を見れば、誰だって呆れるというものだ。
よく今まで一人でやってこられたものだと、逆に感心する。
ちなみに部屋が散らかっていたのは、倒れたときに作業台にある道具をひっくり返してしまったから、さらに、玄関の施錠を忘れるのはもはや日課、だそうだ。
惨状を目にしたとき、卑劣な賊をどうやって探しだして捕まえるべきか半ば本気で考えたというのに、とんだ肩透かしである。
当の本人は少女の叫びなどどこ吹く風でオムレツを堪能していた。
「君、オムレツ作るの上手いな」
そう。ウリカが作ったオムレツである。手っとり早く用意できるものをと思って、オムレツとサラダを作ってあげたのだ。幸い昨日ウリカが昼食用にと買ってきたパンが残っていたので、それも一緒に出してある。ウィリアム愛用のコーヒーは淹れ方が分からないので、そこは紅茶で我慢してもらった。
「オムレツは卵料理の基礎ですから、みっちり練習しました。当家自慢の腕利きシェフ直伝です」
ふふん、と得意気に胸を張る。練習に練習を重ねて習得したとろとろフワフワな絶品オムレツだ。そんな努力の成果を褒められて悪い気はしない。だが、上げた直後に落とすのがウィリアムという人間だった。
「腕のいいシェフになれそうだ、と市井の子相手なら言えるところだが、さしあたって貴族の令嬢には必要ない技術だな」
「今! 正に! 役に立っています!」
言葉の端々に力を込めて反論する。この人はどうしていつも余計な一言を付けるのか、と憤りが抑えられない。
相変わらずというべきか、彼は意に介した様子もなく言葉を返してきた。
「君が変わり者で助かったよ。九死に一生を得た気分だ」
「こんなことで窮地に陥らないでくださいよ……」
なんだか脱力感に苛まれて、ウリカは怒る気力をなくしてしまった。
「お願いですから、食事と睡眠の両方を忘れるなんてことがないように、気をつけてください」
「どうして?」
ごく常識的な忠告を飛ばしただけなのに心底不思議そうに首をかしげるのはやめてもらいたいものだ。
「あまり人に心配をかけるものではないと思うんですけど」
「俺を心配する人間なんていないよ」
「ここにいます。私が心配なんです」
「ああ……錬金術を習うには、俺にいなくなられると困るからな」
「どうしてそんな刺のある言い方ばかりするんですか?」
「気にするな。君に対してだけじゃない」
どこまでも淡泊な応答に、ウリカは追及するのがバカらしくなって、話題を変えることにした。
「それはそうとウィリアムさん。冷蔵庫の中がほとんど空でしたけど」
オムレツにした理由はそこにもある。どんな料理にしようかと悩めるほどには材料がなかったのだ。
「そういえば、そろそろ月末か……今月中にもう一度来てくれるように言ったのに……」
口のなかでブツブツと独りごちるウィリアムに、子爵令嬢が首をひねる。
「どうかしたんですか?」
「いや……すまないが、家に帰ったらステファン卿に伝えてくれないか。近日中に来てほしい、と」
「分かりました。今夜、伝えておきます」
スポンサーだから契約云々の話でもあるのかな、と深く考えず業務連絡的に返事をすると、食事を終えたウィリアムが立ちあがった。
「それじゃあ、今日は買い物に行くか」
ウィリアムが平然と言い放った言葉に、ウリカは渋面を作った。
「不眠状態じゃないですか。少しは寝なくちゃダメですよ」
そう忠告を飛ばしたというのに、目の前の錬金術師は意に介す様子もなく反論する。
「一晩寝てない程度で死ぬわけでもあるまい」
「本当に寝ていないのは一晩だけなんですか? 昨日もちょっと目が赤くなってた気がするんですけど」
ジト目で質問を投げると、錬金術師はすっと視線を逸らした。図星らしい。これだから研究者という生き物は目が離せないのである。誰かが注意しなければ平気で無理を続けるのだから。
「倒れてから君が来るまでの間は寝ていたぞ」
「そういうのは屁理屈というんですよ」
「分かった分かった。君が帰ったらちゃんと寝るよ。それでいいだろう?」
「それだと夕方過ぎになってしまいます。今すぐ、ちゃんとした睡眠をとってください」
「それでは、君が来た意味がなくなるだろ」
「え……?」
思ってもいなかったウィリアムの言葉に、少女は目を丸くする。彼女の訪問を無下にしないための気遣い、としか取れない発言だったからだ。
刺々しい態度をとっていたかと思うと、不意にこうした優しさを見せる。だから余計に本心が読めなくなるのだ。混乱してしまうから余計な優しさを発揮するのはやめてほしいとさえ思ってしまう。
反応し損ねて沈黙していると、ウィリアムに怪訝な顔をされた。
「どうしたんだ?」
「いえ……ウィリアムさんって、本音が読めなくて厄介な人だなぁ、と思っただけです」
嫌味をない交ぜながらも正直な気持ちを告白すると、青年錬金術師はにやりと不敵に笑った。
「子供に易々と心情を悟られるようでは、大人として立つ瀬がないからな」
子供扱いにムッとする。
「その子供をからかって楽しむなんて大人げないと思うんですけど」
先日冗談で散々からかわれたことをウリカはまだ根に持っていた。
「早く大人になるための経験値だと思えば、腹も立たないんじゃないか?」
だから君はまだ子供なんだ――言外にそんな声が聞こえた気がして、ウリカはいよいよ膨れっ面になった。
「減らず口……」
次の瞬間、吹きだすような吐息が聞こえて、反射的にそちらへと目を向ける。テーブル越しに睨み据えた視線の先には、笑いを堪える錬金術師の顔があった。
「何がおかしいんですか?」
「いや、ずい分と表情豊かな令嬢だな、と思ってね」
この発言には意表を突かれた。
「感情が顔に出すぎだろう。貴族の令嬢として、それは大丈夫なのか?」
大丈夫なはずがない。感情が駄々もれていては、思惑渦巻く社交界では、あっという間に底辺に突き落とされてしまう。相手の感情を読みつつ自分はうまく隠す。それがどれだけ大切なことか、ウリカだってよく知っている。だからこそショックだったのだ。
「私、そんなに顔に出てました?」
思わず自分の頬を両手で押さえる。
「ああ。初日から、見ていて飽きない百面相っぷりだったぞ」
ますますショックだ。これまで、気の置けない者以外に感情を駄々もれさせたことはない。表情の裏にうまく隠す方法を母や伯母から学んできたのだ。社交界が怖い世界だと身に染みているから、日頃から気をつけているはずだ。
それがウィリアムに対しては、初対面から感情を無防備に晒していたらしい。しかも指摘されるまで気づかなかった。それだけ無意識に気を抜いていたということなのだろう。ウリカとしては、それが不思議でならなかった。
「なんでだろう……ウィリアムさんとは何故か初対面って感じがしないんですよね」
そう疑問を口にした途端、ウィリアムの顔から笑みが消えた。そのままどこか神妙な面持ちになる。
「? どうかしたんですか?」
「いや、なんでもない。買い物に行くから出かける準備をしておけ」
素っ気なくそう言うと、彼は使用した食器を持って台所へと行ってしまった。
これまでにも急転直下に態度を翻すことはあったが、今回はどこか意味深長な感じがして、ウリカは深い困惑に襲われるのだった。
王都ドルトハイム。その北側に築かれた壁は、皇宮と貴族街を含むいわゆる大都市圏を囲っている。内壁と外壁の間に市井の民が暮らす市民街があり、畑や牧場が点在する郊外は壁の外にあった。それだけに同じ平民であっても、市民街の中と外ではその暮らし向きに大きな違いがある。
畑や牧場では野菜や小麦、肉用の家畜など、食糧の生産が主になる。いわば生きる上で最低限必要になるものを作りだす役目を負っている。
これに対して市民街では、鍛治、建築、裁縫といった、技術者が大半を占める。こちらは人々の生活に利便性や彩りを与えるのが主な役割といえるだろう。
そしてそんな職人たちの生活を支えているのが、食糧や各種素材を調達して販売する者たちだ。
そんな商売人たちの主戦場、商店通りへとウリカたちは来ていた。
ちょうど活気づいてくる時分。通りは多くの人で賑わっている。人波のなかで、ウリカは錬金術師の知名度を目の当たりにしていた。
「あら、ウィル先生。いらっしゃい」
「研究の進み具合はどうですか、ウィル先生」
「この間ウィル先生から頂いたお薬で、主人がすっかり元気になりましたよ」
「今日はオススメの果物があるんですよ。ウィル先生になら、少しお安くしておきますよ」
行く先々で声をかけられ、しかもそれが好意的なものばかりだったのだ。
だが、ウリカも負けてはいない。
「こんにちはウリカ様」
「あら、今日は動きやすそうな格好をされてますね」
「最近姿を見ませんでしたけど、お元気でしたか?」
「そんな髪型も可愛らしくていいですね、ウリカ様」
「ウィリアムさん、街の人たちに馴染んでますね」
「君、市井の人とずい分親しげだな」
二人は声を合わせるように同種の感想をもらしていた。
「ウィリアムさんは変わり者だと聞いていたので、街の人たちから敬遠されているのかと思ってました」
ウリカが率直な感想を述べるのに対して、ウィリアムの見方は実にひねくれていた。
「君が非常識なまでの変わり者であることは知っていたが、市井の民は非常識さの度合いを理解していないらしい。貴族と一般庶民の意識がそれだけ乖離しているということか……興味深いな」
研究者らしい見解ではあるが、ウリカの非常識さを浮き彫りにするような言い草が気にくわない。
「そういえば、君が初日に押しかけてきたとき、少し気になったことがあるんだが……」
憮然と顔をしかめるウリカに追い打ちをかけるような言葉を吐いて、ウィリアムが弟子候補の少女を見る。
「何ですか?」
ブスっとしたままウリカは応じた。ウィリアムの前で感情が駄々もれていても今さらだ、とちょっと気持ちは投げやりだった。
対して錬金術師は、いつも通り気にした素振りも見せずに、こう質問してきたのである。
「君は、家にある本で基礎は身についていると言っていたが、それなら、市井の学校に通う意味はどこにある?」
ウィリアムの問いに、なるほど、と思った。
市井の学校では基礎しか教えていないからだ。設備や教える側の人材不足が大きな要因としてあげられるが、基礎以上のものを身につけても市井の民には活かせる機会が少ない、という理由もある。
何にせよ、シルヴァーベルヒ邸にある本を読むだけで事足りる程度の知識しか身につかないのは事実だった。ウィリアムの疑問はもっともだ。
「学校に通っているのは、市井の生活を学びたいからです」
「学んでどうする? 貴族令嬢の君がそれを知ったところで、何ができるわけでもないだろう」
ウィリアムの意見は辛辣だった。
市井の生活を理解したところで役に立てられるわけでもないだろう、と言いたいらしい。貴族令嬢など、どうせどこかの貴族に嫁ぐしか能がない、とでも言われた気分になる。
それくらい、その口調からは刺々しさを感じた。こういうとき、自分は嫌われているのかもしれない、と思えて悲しくなるのだ。
だがウィリアムのこうした態度が、もっと根本的なところからきていると知るのに、それほど時間はかからなかった。
「あら、ウリカ様とウィル先生だなんて、珍しいとり合わせですね。ウリカ様がウィル先生のところに弟子入りしたって話は、本当のことだったのね」
野菜売りの夫婦の店に顔を出すと、夫人のほうにそう声をかけられた。いつもはつらつとしている彼女は、ウリカと馬があう人物だった。
「ウィリアムさんって、この街では顔が広いんですね」
折角なので、話し慣れている女将さんに気になる話題を振ってみることにした。
「ウィル先生はあたしたち街のもんが困ってると必ず助けてくれるものでね」
「どうして『先生』なんですか?」
「病気になったとき、よく効く薬を持ってきてくれるから、みんな自然とそう呼ぶようになったんですよ」
「でも、錬金術で作ったお薬は高いと聞いたことがあるんですけど」
「ウィル先生は材料費だけでいいと言ってくださるんですよ。だから下手なお医者にかかるよりずっと安く済むんです。まあ、そうはいっても、ウィル先生も研究でお忙しい身だからね。重病のときだけお願いしてるんですよ」
ひと通りの話を聞いたウリカは、感心する一方で疑問も感じていた。
聞いた限りでは、街医者もウィリアムに薬の調合をお願いすることは珍しいことではなく、それもすべて材料費分しか代金は受けとっていないという話だ。だがそうすると、街で評判の錬金術師の噂を宮廷や社交界で耳にしないのはなぜだろう、と思うのだ。
それを口にすると、旦那さんが笑って答えた。
「ウィル先生は貴族がお嫌いだから、貴族や貴族の御用商人からの依頼は受けないんですよ」
「あんた、ウリカ様の前ではっきり言うことないでしょ」
女将さんにたしなめられた旦那さんが、すまんすまん、と気さくに笑い返す。ウリカはこの砕けた雰囲気が好きだった。
旦那さんが教えてくれた「貴族を嫌っている」という情報のおかげで、ウィリアムの真意の一端は見えたように思う。貴族に対してよい感情を持っていないのなら、ウリカたち貴族への疎雑な態度もうなずけるというものだ。
しかもウィリアムのそれは、おそらく他者が思うよりも根が深いものではないかと想像できた。
錬金術の研究には結構な費用がかかる。貴族階級を市場に選んだほうが資金調達はしやすいし、提供できるものの数も比べものにならなくて、ずっと効率がいいはずだ。
医療関係のものは貴族社会でも需要が高く、それ以外にも、珍しいものを手に入れるために大金を積む珍品コレクターだって存在する。
そんなおいしい市場をあえて避けるなんて、無駄を嫌い効率を求めるウィリアムらしくない意地の張り方だと思えたのだ。
つまりそれだけ、貴族に対する負の感情が働いているのだろう。
だがそれはそれで、また別の疑問が生まれるのだが……。
「貴族のことを良く思っていないのに、どうしてお父様の支援を受けているんでしょう?」
それは純粋な疑問だった。ウィリアムの性格上、嫌って避けるのならば、もっと徹底していそうな気がしたからだ。
子爵令嬢が本人に向けて放った無遠慮な質問に、錬金術師は少し心外そうな表情を浮かべた。
「貴族の体質が好きになれないだけで、貴族階級にいる者すべてを闇雲に嫌っているわけじゃない……けど、そうだな。俺にとってステファン卿は少し特別なんだ……昔から」
「昔から?」
ウリカが首をかしげる。
そういえば以前、ユリウスに対して、先代のベルツ伯爵に会ったことがある、と言っていたときも『昔』という言葉を使っていた気がする。
違和感があった。
ウィリアムがこの国に来たのは昨年のことだと聞いている。昔、と表現するにはあまりに期間が短い。
ウリカの抱いた疑問に気づいているのかいないのか、ウィリアムは視線をどこか遠くへと泳がせて言葉を続けた。
「ステファン卿には、恩と……恨みがあるんだ」
ぽつりともらしたその声は、穏やかとも思えるほど、とても静かに響いた。
もしかしたら調合の最中なのかと思いながら取っ手を引っ張ると、あっけなく扉が開く。
不用心だなぁ、と呟きながらもそっと中に入ったウリカは、なるべく音を立てないように工房へと向かった。
(コソ泥になった気分……)
とはいえ、調合に集中しているときに余計な雑音を立てると怒られるので、これは仕方がない。
工房に着くと、部屋の扉が開けっ放しになっていた。ますます不用心だな、と思いながらそっと中を覗くと、目を見張る光景がそこにはあった。
「大丈夫ですかっ!?」
ウリカが血相を変えたのも無理はない。室内は荒らされた後かのように物が散乱し、部屋の中央に据えられた作業台のすぐ横でウィリアムが倒れていたのだから。
ウリカは急いでうつ伏せた状態の錬金術師に駆け寄った。しかし、頭を打っていたらという思いが過ぎり、迂闊に身体を動かせないまま、その背中を軽く揺するのにとどまった。
「大丈夫ですか、ウィリアムさん?」
先ほどと同じ問いかけを繰り返すと、ウィリアムの体がぴくりと動き、直後にその頭がゆっくりと持ち上がった。虚ろな砂色の瞳が少女へと向けられる。
「一体、何があったんですか? 誰がこんなひどいこと……」
状況から見て、賊でも入ったのでは、と思ってそう問いかけるウリカに、ウィリアムは弱々しく息を吐きだした。
「は……」
「は……?」
「はら…へった……」
「へ?」
ぱたり、とウィリアムが再び突っ伏す。
思ってもみなかった珍回答に、ウリカの思考はしばし沈黙したのであった。
「信っじられない!」
ウィリアム宅の食堂に、ウリカの怒声が響く。呆れと怒りが半々に入り交じった声だった。ちなみにその叫びは事の次第を聞いた感想である。
ウィリアムの説明はこうだ。
◇◆◇◆◇
昨夜ずっと研究に没頭していたら、いつの間にか明け方近くなっていたんだ。さすがに少し休もうと寝室に向かったんだが、ベッドに入る直前に思いついたことがあってな、それを確認するために急いで工房に戻ったんだよ。ああ、急いでいたからドアを閉め忘れたかもしれない……。
だが、いざ調合を始めてみると、想定したように上手くはいかなくて苦戦した。それでも諦めきれなかったんだ。何度も失敗を繰り返している内に光明が見えた気がして、気持ちが先走ってしまったんだろう……道具を取ろうと急激な方向転換をしたのがいけなかった。眩暈を自覚したときには、体のコントロールが利かなくなっていた。そこから記憶がはっきりしないから、多分そこで気を失ったんだろうな……。
目を開けたとき、君の顔が見えて、眩暈の原因に思い至ったんだ。そういえば一昨日君と一緒に食事をとって以降、何も食べていなかった気がするなぁ……と。
◇◆◇◆◇
つまり、空腹と寝不足が要因で倒れただけ、ということらしい。ウィリアムの胃袋は空腹になっても『ぐう~』とは鳴いてくれない欠陥品であるようで、丸一日食事を忘れることも珍しくはないという……。今回は寝不足も重なったのが不幸だった、と自己分析している錬金術師の姿を見れば、誰だって呆れるというものだ。
よく今まで一人でやってこられたものだと、逆に感心する。
ちなみに部屋が散らかっていたのは、倒れたときに作業台にある道具をひっくり返してしまったから、さらに、玄関の施錠を忘れるのはもはや日課、だそうだ。
惨状を目にしたとき、卑劣な賊をどうやって探しだして捕まえるべきか半ば本気で考えたというのに、とんだ肩透かしである。
当の本人は少女の叫びなどどこ吹く風でオムレツを堪能していた。
「君、オムレツ作るの上手いな」
そう。ウリカが作ったオムレツである。手っとり早く用意できるものをと思って、オムレツとサラダを作ってあげたのだ。幸い昨日ウリカが昼食用にと買ってきたパンが残っていたので、それも一緒に出してある。ウィリアム愛用のコーヒーは淹れ方が分からないので、そこは紅茶で我慢してもらった。
「オムレツは卵料理の基礎ですから、みっちり練習しました。当家自慢の腕利きシェフ直伝です」
ふふん、と得意気に胸を張る。練習に練習を重ねて習得したとろとろフワフワな絶品オムレツだ。そんな努力の成果を褒められて悪い気はしない。だが、上げた直後に落とすのがウィリアムという人間だった。
「腕のいいシェフになれそうだ、と市井の子相手なら言えるところだが、さしあたって貴族の令嬢には必要ない技術だな」
「今! 正に! 役に立っています!」
言葉の端々に力を込めて反論する。この人はどうしていつも余計な一言を付けるのか、と憤りが抑えられない。
相変わらずというべきか、彼は意に介した様子もなく言葉を返してきた。
「君が変わり者で助かったよ。九死に一生を得た気分だ」
「こんなことで窮地に陥らないでくださいよ……」
なんだか脱力感に苛まれて、ウリカは怒る気力をなくしてしまった。
「お願いですから、食事と睡眠の両方を忘れるなんてことがないように、気をつけてください」
「どうして?」
ごく常識的な忠告を飛ばしただけなのに心底不思議そうに首をかしげるのはやめてもらいたいものだ。
「あまり人に心配をかけるものではないと思うんですけど」
「俺を心配する人間なんていないよ」
「ここにいます。私が心配なんです」
「ああ……錬金術を習うには、俺にいなくなられると困るからな」
「どうしてそんな刺のある言い方ばかりするんですか?」
「気にするな。君に対してだけじゃない」
どこまでも淡泊な応答に、ウリカは追及するのがバカらしくなって、話題を変えることにした。
「それはそうとウィリアムさん。冷蔵庫の中がほとんど空でしたけど」
オムレツにした理由はそこにもある。どんな料理にしようかと悩めるほどには材料がなかったのだ。
「そういえば、そろそろ月末か……今月中にもう一度来てくれるように言ったのに……」
口のなかでブツブツと独りごちるウィリアムに、子爵令嬢が首をひねる。
「どうかしたんですか?」
「いや……すまないが、家に帰ったらステファン卿に伝えてくれないか。近日中に来てほしい、と」
「分かりました。今夜、伝えておきます」
スポンサーだから契約云々の話でもあるのかな、と深く考えず業務連絡的に返事をすると、食事を終えたウィリアムが立ちあがった。
「それじゃあ、今日は買い物に行くか」
ウィリアムが平然と言い放った言葉に、ウリカは渋面を作った。
「不眠状態じゃないですか。少しは寝なくちゃダメですよ」
そう忠告を飛ばしたというのに、目の前の錬金術師は意に介す様子もなく反論する。
「一晩寝てない程度で死ぬわけでもあるまい」
「本当に寝ていないのは一晩だけなんですか? 昨日もちょっと目が赤くなってた気がするんですけど」
ジト目で質問を投げると、錬金術師はすっと視線を逸らした。図星らしい。これだから研究者という生き物は目が離せないのである。誰かが注意しなければ平気で無理を続けるのだから。
「倒れてから君が来るまでの間は寝ていたぞ」
「そういうのは屁理屈というんですよ」
「分かった分かった。君が帰ったらちゃんと寝るよ。それでいいだろう?」
「それだと夕方過ぎになってしまいます。今すぐ、ちゃんとした睡眠をとってください」
「それでは、君が来た意味がなくなるだろ」
「え……?」
思ってもいなかったウィリアムの言葉に、少女は目を丸くする。彼女の訪問を無下にしないための気遣い、としか取れない発言だったからだ。
刺々しい態度をとっていたかと思うと、不意にこうした優しさを見せる。だから余計に本心が読めなくなるのだ。混乱してしまうから余計な優しさを発揮するのはやめてほしいとさえ思ってしまう。
反応し損ねて沈黙していると、ウィリアムに怪訝な顔をされた。
「どうしたんだ?」
「いえ……ウィリアムさんって、本音が読めなくて厄介な人だなぁ、と思っただけです」
嫌味をない交ぜながらも正直な気持ちを告白すると、青年錬金術師はにやりと不敵に笑った。
「子供に易々と心情を悟られるようでは、大人として立つ瀬がないからな」
子供扱いにムッとする。
「その子供をからかって楽しむなんて大人げないと思うんですけど」
先日冗談で散々からかわれたことをウリカはまだ根に持っていた。
「早く大人になるための経験値だと思えば、腹も立たないんじゃないか?」
だから君はまだ子供なんだ――言外にそんな声が聞こえた気がして、ウリカはいよいよ膨れっ面になった。
「減らず口……」
次の瞬間、吹きだすような吐息が聞こえて、反射的にそちらへと目を向ける。テーブル越しに睨み据えた視線の先には、笑いを堪える錬金術師の顔があった。
「何がおかしいんですか?」
「いや、ずい分と表情豊かな令嬢だな、と思ってね」
この発言には意表を突かれた。
「感情が顔に出すぎだろう。貴族の令嬢として、それは大丈夫なのか?」
大丈夫なはずがない。感情が駄々もれていては、思惑渦巻く社交界では、あっという間に底辺に突き落とされてしまう。相手の感情を読みつつ自分はうまく隠す。それがどれだけ大切なことか、ウリカだってよく知っている。だからこそショックだったのだ。
「私、そんなに顔に出てました?」
思わず自分の頬を両手で押さえる。
「ああ。初日から、見ていて飽きない百面相っぷりだったぞ」
ますますショックだ。これまで、気の置けない者以外に感情を駄々もれさせたことはない。表情の裏にうまく隠す方法を母や伯母から学んできたのだ。社交界が怖い世界だと身に染みているから、日頃から気をつけているはずだ。
それがウィリアムに対しては、初対面から感情を無防備に晒していたらしい。しかも指摘されるまで気づかなかった。それだけ無意識に気を抜いていたということなのだろう。ウリカとしては、それが不思議でならなかった。
「なんでだろう……ウィリアムさんとは何故か初対面って感じがしないんですよね」
そう疑問を口にした途端、ウィリアムの顔から笑みが消えた。そのままどこか神妙な面持ちになる。
「? どうかしたんですか?」
「いや、なんでもない。買い物に行くから出かける準備をしておけ」
素っ気なくそう言うと、彼は使用した食器を持って台所へと行ってしまった。
これまでにも急転直下に態度を翻すことはあったが、今回はどこか意味深長な感じがして、ウリカは深い困惑に襲われるのだった。
王都ドルトハイム。その北側に築かれた壁は、皇宮と貴族街を含むいわゆる大都市圏を囲っている。内壁と外壁の間に市井の民が暮らす市民街があり、畑や牧場が点在する郊外は壁の外にあった。それだけに同じ平民であっても、市民街の中と外ではその暮らし向きに大きな違いがある。
畑や牧場では野菜や小麦、肉用の家畜など、食糧の生産が主になる。いわば生きる上で最低限必要になるものを作りだす役目を負っている。
これに対して市民街では、鍛治、建築、裁縫といった、技術者が大半を占める。こちらは人々の生活に利便性や彩りを与えるのが主な役割といえるだろう。
そしてそんな職人たちの生活を支えているのが、食糧や各種素材を調達して販売する者たちだ。
そんな商売人たちの主戦場、商店通りへとウリカたちは来ていた。
ちょうど活気づいてくる時分。通りは多くの人で賑わっている。人波のなかで、ウリカは錬金術師の知名度を目の当たりにしていた。
「あら、ウィル先生。いらっしゃい」
「研究の進み具合はどうですか、ウィル先生」
「この間ウィル先生から頂いたお薬で、主人がすっかり元気になりましたよ」
「今日はオススメの果物があるんですよ。ウィル先生になら、少しお安くしておきますよ」
行く先々で声をかけられ、しかもそれが好意的なものばかりだったのだ。
だが、ウリカも負けてはいない。
「こんにちはウリカ様」
「あら、今日は動きやすそうな格好をされてますね」
「最近姿を見ませんでしたけど、お元気でしたか?」
「そんな髪型も可愛らしくていいですね、ウリカ様」
「ウィリアムさん、街の人たちに馴染んでますね」
「君、市井の人とずい分親しげだな」
二人は声を合わせるように同種の感想をもらしていた。
「ウィリアムさんは変わり者だと聞いていたので、街の人たちから敬遠されているのかと思ってました」
ウリカが率直な感想を述べるのに対して、ウィリアムの見方は実にひねくれていた。
「君が非常識なまでの変わり者であることは知っていたが、市井の民は非常識さの度合いを理解していないらしい。貴族と一般庶民の意識がそれだけ乖離しているということか……興味深いな」
研究者らしい見解ではあるが、ウリカの非常識さを浮き彫りにするような言い草が気にくわない。
「そういえば、君が初日に押しかけてきたとき、少し気になったことがあるんだが……」
憮然と顔をしかめるウリカに追い打ちをかけるような言葉を吐いて、ウィリアムが弟子候補の少女を見る。
「何ですか?」
ブスっとしたままウリカは応じた。ウィリアムの前で感情が駄々もれていても今さらだ、とちょっと気持ちは投げやりだった。
対して錬金術師は、いつも通り気にした素振りも見せずに、こう質問してきたのである。
「君は、家にある本で基礎は身についていると言っていたが、それなら、市井の学校に通う意味はどこにある?」
ウィリアムの問いに、なるほど、と思った。
市井の学校では基礎しか教えていないからだ。設備や教える側の人材不足が大きな要因としてあげられるが、基礎以上のものを身につけても市井の民には活かせる機会が少ない、という理由もある。
何にせよ、シルヴァーベルヒ邸にある本を読むだけで事足りる程度の知識しか身につかないのは事実だった。ウィリアムの疑問はもっともだ。
「学校に通っているのは、市井の生活を学びたいからです」
「学んでどうする? 貴族令嬢の君がそれを知ったところで、何ができるわけでもないだろう」
ウィリアムの意見は辛辣だった。
市井の生活を理解したところで役に立てられるわけでもないだろう、と言いたいらしい。貴族令嬢など、どうせどこかの貴族に嫁ぐしか能がない、とでも言われた気分になる。
それくらい、その口調からは刺々しさを感じた。こういうとき、自分は嫌われているのかもしれない、と思えて悲しくなるのだ。
だがウィリアムのこうした態度が、もっと根本的なところからきていると知るのに、それほど時間はかからなかった。
「あら、ウリカ様とウィル先生だなんて、珍しいとり合わせですね。ウリカ様がウィル先生のところに弟子入りしたって話は、本当のことだったのね」
野菜売りの夫婦の店に顔を出すと、夫人のほうにそう声をかけられた。いつもはつらつとしている彼女は、ウリカと馬があう人物だった。
「ウィリアムさんって、この街では顔が広いんですね」
折角なので、話し慣れている女将さんに気になる話題を振ってみることにした。
「ウィル先生はあたしたち街のもんが困ってると必ず助けてくれるものでね」
「どうして『先生』なんですか?」
「病気になったとき、よく効く薬を持ってきてくれるから、みんな自然とそう呼ぶようになったんですよ」
「でも、錬金術で作ったお薬は高いと聞いたことがあるんですけど」
「ウィル先生は材料費だけでいいと言ってくださるんですよ。だから下手なお医者にかかるよりずっと安く済むんです。まあ、そうはいっても、ウィル先生も研究でお忙しい身だからね。重病のときだけお願いしてるんですよ」
ひと通りの話を聞いたウリカは、感心する一方で疑問も感じていた。
聞いた限りでは、街医者もウィリアムに薬の調合をお願いすることは珍しいことではなく、それもすべて材料費分しか代金は受けとっていないという話だ。だがそうすると、街で評判の錬金術師の噂を宮廷や社交界で耳にしないのはなぜだろう、と思うのだ。
それを口にすると、旦那さんが笑って答えた。
「ウィル先生は貴族がお嫌いだから、貴族や貴族の御用商人からの依頼は受けないんですよ」
「あんた、ウリカ様の前ではっきり言うことないでしょ」
女将さんにたしなめられた旦那さんが、すまんすまん、と気さくに笑い返す。ウリカはこの砕けた雰囲気が好きだった。
旦那さんが教えてくれた「貴族を嫌っている」という情報のおかげで、ウィリアムの真意の一端は見えたように思う。貴族に対してよい感情を持っていないのなら、ウリカたち貴族への疎雑な態度もうなずけるというものだ。
しかもウィリアムのそれは、おそらく他者が思うよりも根が深いものではないかと想像できた。
錬金術の研究には結構な費用がかかる。貴族階級を市場に選んだほうが資金調達はしやすいし、提供できるものの数も比べものにならなくて、ずっと効率がいいはずだ。
医療関係のものは貴族社会でも需要が高く、それ以外にも、珍しいものを手に入れるために大金を積む珍品コレクターだって存在する。
そんなおいしい市場をあえて避けるなんて、無駄を嫌い効率を求めるウィリアムらしくない意地の張り方だと思えたのだ。
つまりそれだけ、貴族に対する負の感情が働いているのだろう。
だがそれはそれで、また別の疑問が生まれるのだが……。
「貴族のことを良く思っていないのに、どうしてお父様の支援を受けているんでしょう?」
それは純粋な疑問だった。ウィリアムの性格上、嫌って避けるのならば、もっと徹底していそうな気がしたからだ。
子爵令嬢が本人に向けて放った無遠慮な質問に、錬金術師は少し心外そうな表情を浮かべた。
「貴族の体質が好きになれないだけで、貴族階級にいる者すべてを闇雲に嫌っているわけじゃない……けど、そうだな。俺にとってステファン卿は少し特別なんだ……昔から」
「昔から?」
ウリカが首をかしげる。
そういえば以前、ユリウスに対して、先代のベルツ伯爵に会ったことがある、と言っていたときも『昔』という言葉を使っていた気がする。
違和感があった。
ウィリアムがこの国に来たのは昨年のことだと聞いている。昔、と表現するにはあまりに期間が短い。
ウリカの抱いた疑問に気づいているのかいないのか、ウィリアムは視線をどこか遠くへと泳がせて言葉を続けた。
「ステファン卿には、恩と……恨みがあるんだ」
ぽつりともらしたその声は、穏やかとも思えるほど、とても静かに響いた。
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