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35.葛藤※(アルベルト)

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 クリスが持ってきてくれた薬を飲み、俺は、自室のベッドで横になっている。アルベルトは部屋に残っていて、ベッドに腰をかけ心配そうに俺を見下ろす。
 俺の体温を確かめるように、おでこや頬を触っている。体温の低いアルベルトの手が俺の肌の上を滑っていき、くすぐったい。俺はアルベルトの手を取り頬に擦り寄せる。

「アルベルトは、体温が低いから冷たくて気持ちいいな。」

「・・・・・っ!」
 パッと瞬時に手を振りほどかれたことに驚き、寂しさが湧き上がる。

「えっ?なんで?・・・あぁやっぱり風邪移ったらダメだもんな。ごめん。鍛錬中だったんだろ?俺は大丈夫だから戻っていいよ?」

 寂しさは残るが、こればかりは仕方がない。大人しく寝ようと目を瞑ると、ドンっと音がした。驚いてそちらを見るとアルベルトが頭を壁に打ち付けていた。

「ちょっ!何してんだよ!?」
 俺は急なことに起き上がり慌てて止めに入る。壁にもたれかかっていたままのアルベルトの頭が少し俺の方に傾いた。見えたおでこが少し赤くなっている。
 なんて声をかけていいか悩んでいると、アルベルトがボソッと何かを言ったのが聞こえた。

「傍で看病していたいが、必要以上に触ってしまいそうだった・・・。」
 いじけるような、そんな声に笑ってしまう。
「ははっ、もしアルベルトに風邪が移ったら、俺が治癒したらいいよな?」
 俺はアルベルトの横髪をそっと耳に掛け、キスをしようとしたが、口元を手で覆われ出来なかった。
「熱が高いから休んでくれ。私は一度自室に帰る。」
 そういうと転移魔法でも使おうとしたのか、俺の口元から手を離し、後ずさる。俺はアルベルトを逃がすまいと、隊服の袖を摘む。

「行かないで、アルベルト好きだよ?お願い?」
 俺は袖を掴んだまま目を瞑る。アルベルトは優しいから、多分俺の手振り切ることはない、と思う・・・。

 何秒たったかな。そろそろ目開けたいかも。諦めようとした時、そっと触れるか触れないかのキスをされた。思っていた何十倍も軽いキスに物足り無さを感じる。

「足りないよ。もっと。」
 俺は、アルベルトの腰に手を回しもう一度キスをせがむ。
「体調が治ってからにしてくれ。頼むから。・・・ナオトことが大切なんだ。大事にしたい。」

 そう言って俺を離そうとする。俺の事を思って離れようとしてるなら譲れない。アルベルトの身体に回している手に力を込める。そのまま俺が無言のままでいると「なるべく負担にならないようにするからな。」と待ち望んでいた言葉が降ってきた。



 服をはだけさせて、向かい合い俺がアルベルトの上に跨ぐように座る。熱を帯び、固くなるそれはお互いに興奮していることの証明で、恥ずかしくもあるし、嬉しくもある。アルベルトのごつごつとした手が二人分のそれを優しく包み込みゆっくりと扱いていく。俺はアルベルトの首の後ろに手を回す。

 これがいつもは俺の中に入っているのだと考えると欲しくなってしまう。そんなことが頭をぎっているうちに下半身からの刺激が全身に伝わって、声が漏れる。

「んっ、はぁ・・・、あっ。んん。」

 いつもキスをしたり、顔が近くにあることはたくさんあったけど、こんなに長い間この距離で見つめ合うことはなかった。
 至近距離で、自分が感じる顔を見られるのは恥ずかしい。俺は手の甲で顔を隠し、なるべく見せないように目を逸らしてしまう。すぐに顔を隠していた手が退けられキスをされる。

「・・つっ、ふぁ、あっ・・・んぁみっ、ないでぇ」


 アルベルトもちゃんと感じてくれているか心配で見上げると、肩で息をしながら堪えるように俺を眺めている。息を荒くしているアルベルトの吐息も近い。どちらのか分からない先走り液が垂れていく。少しずつ激しくなっていく手の動きに、卑猥な音が耳を犯す。そのうち快楽の波が襲ってくる。
「あっ!んっ、・・・そんなっ、あっ!んっっ、もうっ、あぁ!」


 ドクっと、先端から熱いものが放たれ、身体が震える。

「ごめっ、俺だけイッちゃった。」
 
 イクの我慢できなかった。アルベルトの顔見れない・・・。
 息を整えている間アルベルトは俺の額にキスを落としてくれている。アルベルトにもちゃんと気持ちよくなって欲しい。
 俺は、スッと下に降りていきアルベルトのまだ固いものを舐め上げていく。
「・・・ナオト、・・・っ、無理するなよ。」


 熱が出てて体温が高いから口内も温かくてきっと気持ちいいはず・・・。俺はアルベルトの反応を確かめるように見上げる。
「ふぅちのふぁか、ひもちぃぃ?」

「っ・・・!そこで喋るな!・・・ナオト・・・。」

 舐めている俺の頭をずっと撫でてくれている。咥えてるのが苦しくて、裏筋を舐めたり手で触ったり・・・。時折ビクビクするのが嬉しくて、深くまで咥え込み頭を上下に動かす。


「ナオトっ、もう 離してくれっ!・・・・うっ、っ」

 あっという間にドクドクという脈打ちと、口内に拡がる苦いものを感じる。口で受けとめたものを反射的に飲み込んでしまった。
 苦くて、ドロっとした液体が俺の喉をゆっくり落ちていく。

「んっ、にがい・・・・・。気持ちかった?」

「・・・・。すまない。」

 申し訳なさそうに言うアルベルトに俺はムッとする。
「気持ち良くなって欲しくてしたのに、そんな顔するなよ。アルベルト大好きだよ。」

「あぁ、私もナオトが大好きだ。」




 その後は、アルベルトが汗だくの身体を拭いてくれた。身体を拭く手付きがいつにも増して優しくて、たまには風邪引いても良いかなと思った。
 薬のおかげか事後だからか、上がっていた体温が少しずつ下がっていき、それに並行して意識も薄れていく。俺の隣にはアルベルトが添い寝してくれている。体温を、気持ちを確かめるようにお互いに額を擦り寄せる。そして、アルベルトの香りに包まれながら心地よく眠りについた。
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